アイコン的なクラシックスタイルと最新テクノロジーによる安心感を両立!! インディアン・モーターサイクルの新世代クラシック「チーフ・ヴィンテージ」とは
アメリカンバイクの象徴として長い歴史を誇る「インディアン・モーターサイクル」の最新モデル「チーフ・ヴィンテージ」は、往年の優雅なスタイルを色濃く受け継ぎながら、現代の電子制御や快適装備を融合させた1台です。米国ロサンゼルスで開催された「チーフ・ヴィンテージ」の新型車発表会で聞いた、その特徴を解説します。
伝統を受け継ぐ最新のビンテージ
インディアン・モーターサイクル(以下インディアンMC)は、1901年創業という長い歴史を持つアメリカの老舗バイクメーカーです。数あるモデルのなかでも「Chief(チーフ)」という名前は特別な存在で、1920年代前半から続くブランドの象徴的なシリーズです。
今回発表された新型「Chief Vintage(チーフ・ヴィンテージ)」は、その伝統ある「チーフ」シリーズのデザインや雰囲気を大切にしながら、現代の技術で安全性や快適性を高めたモデルです。
見た目の大きな特徴は、前後のタイヤを深く覆うスカートフェンダーと呼ばれるクラシックなデザインを採用したこと。これまでもインディアンMCのラインナップにスカートフェンダーを装着したモデルがありましたが、今回は「チーフ・ヴィンテージ」ジのために、新たにデザインし直した新作。タイヤの上を滑らかに覆うそのカタチは、昔のアメリカンバイクらしい優雅さを感じさせます。
また、エンジンまわりも空冷Vツインというだけでなく、OHVという伝統的な構造を採用しており、走行風でエンジンを冷却するための大きなフィンが並ぶ姿は迫力があります。

一方で、中身はしっかり現代的です。電子制御スロットルや、エンジンのキャラクターが変化する複数のライドモードなどを搭載し、走り方やライダーの好みに合わせてライドモードを選び、走りの特性を変えることができます。メーターにはタッチスクリーンが採用され、スマートフォンのように直感的な操作も可能です。
つまり「チーフ・ヴィンテージ」は、「昔ながらの美しいアメリカンスタイルを楽しみたいけれど、扱いやすさや安心感も重視したい」というライダーにぴったりの1台で、歴史を感じながら、現代の快適さで走ることができるというわけです。
クラシックスタイルと先進装備の融合
新型「チーフ・ヴィンテージ」の最大の特徴は、伝統的なシルエットとモダンな機能のバランスの良さです。
まずデザイン面では、前後のスカートフェンダーが目を引きます。タイヤを大きく覆うこの形状は、1940年代から50年代に掛けて販売された、インディアンMCのビンテージモデル「チーフ」に採用されていたフェンダーをモチーフにしたものです。
さらに、サドルを現代風にアレンジしたシートを新たにデザインするほか、フロントフェンダー先端のヘッドドレスと呼ぶ装飾など、細部までこだわりが感じられます。こうした装備によって、佇んでいるだけでもオーラを感じます。

排気量1890ccのV型2気筒エンジンはOHVという古いメカニズムを採用していますが、エンジン内パーツの摩耗を防ぎ、またエンジン内を冷却するために張りめぐらせたエンジンオイルの経路を徹底的に研究したほか、コンピューターによってエンジン内の温度を常に管理し、停車中に一定以上の条件になるとV型2気筒エンジンの、ライダーに近い後ろ側シリンダーの爆発を自動的に停止し、温度上昇を抑えるシステムを採用しています。
それによってエンジンの耐久性を上げるとともに、エンジン熱による不快感を解消し、ライダーの快適性を向上させる「リアシリンダーディアクティベーション」システムも搭載しています。
よほど注意して観察していない限り、このシステムが作動して1気筒が休止しているときも気がつきません。そして再び走り出して2気筒がフルで稼働したときもとても自然で、こちらも気がつかないほどです。
そしてエンジンの回転数が2000回転付近で最大トルクの90%近くを発揮し、アクセルを少し開けるだけでも車体は力強く前に進みます。電子制御によって、パワーの出方は扱いやすく調整されているので、初心者でも安心してライディングを楽しめるのも、「チーフ・ヴィンテージ」の特徴です。

また、走行モードは「スポーツ」「スタンダード」「ツアー」の3種類があります。スポーツは元気よく走りたいとき、ツアーはゆったり長距離を走りたいときに適しています。このようにボタンひとつでキャラクターを変えられるのは、現代的なバイクならではの機能です。
足まわりには安定性を重視した設計が施されています。幅が極端に広すぎないリアタイヤを採用することで、見た目の迫力を保ちながらも、曲がりやすさを確保しています。クラシックな見た目ですが、実際の操作感は意外なほど素直です。
メーターは丸型デザインですが、内部はデジタル表示です。スマホと連携することも可能で、見た目と機能の両立が図られています。
伝統を大切にしながらも、現代の使いやすさをきちんと取り入れている点が「チーフ・ヴィンテージ」の魅力なのです。
大排気量でも安心の乗り味
実際に「チーフ・ヴィンテージ」に乗ってみると、まず感じるのは“安心感”です。見た目は大きく重厚ですが、走り出すと意外なほど安定しています。
重心が低く設計されているため、ゆっくり走る場面でもフラつきにくい印象です。それなのに、山道や街中では軽快に走ります。リアタイヤが極端に太すぎないため、ハンドル操作に対して自然に車体が素直に反応してくれるのです。だから、見た目以上に車体もバイクの反応も軽い、と感じるでしょう。
エンジンは大排気量ならではの余裕があります。アクセルを大きく開けなくても、力強く加速します。大排気量クルーザー初心者にとっては「エンジンを回さなくても進んでくれる」という感覚は安心材料になるでしょう。エンジンの鼓動感はしっかり感じられますが、振動が過度に不快になることはありません。

クルーザーは車体構成上リア周りが重く、リアタイヤを中心にブレーキを掛けます。「チーフ・ヴィンテージ」も、そのセオリーを守ればシングルディスクタイプのフロントブレーキでも不満はありません。リアブレーキディスクはフロントブレーキディスクと同じ大きさなので、制動力も高いのです。
ハンドル位置はやや幅広で、背筋を自然に伸ばした姿勢になります。無理な前傾姿勢にならないため、長時間のツーリングでも疲れにくい設計です。
宙に浮いたようなデザインのフローティングシートは、見た目は薄めですが、シート形状やシートクッションを徹底的に研究することで、見た目とは裏腹の乗り心地。今回の試乗では約200kmを乗りましたが、シートに不満を感じることはありませんでした。
車体もエンジンも大きな大型クルーザーは、ベテランライダーであっても走らせるのに二の足を踏みがちです。でも「チーフ・ヴィンテージ」は扱いやすく軽快。見た目はクラシックで気難しそうなのに、乗ると優しく楽しいバイクです。
伝統的なアメリカンスタイルに憧れがあるけれど、不安もあるというライダーにとって、安心してチャレンジできるモデルだと言えるでしょう。
歴史あるデザインを楽しみながら、快適で安定した走りを味わえる1台です。
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インディアンモーターサイクル新型「チーフ・ヴィンテージ」の価格(消費税10%込み)は338万円からとなっています。
Writer: 河野正士
国内外問わず、幅広いフィールドでオートバイ関係の取材、 執筆活動を行う。オートバイ・メーカーのwebサイトなども担当しているため、繋がりも強く、事前情報などにも精通。
海外試乗会などにも積極的に参加している。

















