記憶薄れる重要指名手配「八田與一容疑者」 クルマでバイクに追突する殺傷事件 全国11都道府県で情報提供呼びかける
大分県別府市でバイク2台に追突し、ライダーを殺傷しようとした事件。容疑者の八田與一(はったよいち)が逃走して5年目に突入しました。時間の経過とともに薄れる関心を呼び戻そうと、全国11都道府県で情報提供の呼びかけが行われました。
東京では東京駅と渋谷駅でチラシ配布
大分県別府市の県道52号線、「山の手」交差点で信号待ちをするバイク2台に、八田與一(はったよいち)容疑者(29歳)が運転する軽乗用車が追突したのは、2022年6月29日19時45分頃のことです。
前方の信号が赤信号にも関わらず、軽乗用車は100km/hに及ぶ高速でバイクに衝突。当時19歳の男子大学生1人を死亡させ、もう1人の男子大学生に軽傷を負わせました。
事故発生当初、大分県警は道路交通法違反のひき逃げとして捜査を開始。2025年6月に殺人及び殺人未遂容疑を加えて逮捕状を請求しました。
加速してブレーキ痕なく衝突している凶悪性、裸足で逃走、着ていた衣服を脱ぎ捨てている悪質性を重視したと考えられています。
警察庁からも、その当時14人目の重要指名手配の1人に指定されました。ひき逃げによる事件が重要指名手配に指定されることは過去に例がありません。
発生から5年目を迎えることを前に、大分県警は新たな動画を公開。その上で、同県を含めて全国11都道府県で、改めて事件の情報提供を求める活動を行いました。
事件発生日にあわせた情報提供の呼びかけは、昨年の6都道府県から大きく拡大しました。主要都市となる北海道、宮城県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、広島県、愛媛県、福岡県、沖縄県と大分県で実施されています。
東京都では、午後から東京駅と渋谷駅の2カ所で、全身写真や髪型の違う顔写真などを掲載して新たに作成したチラシが配布され、情報提供が求められました。大分県警刑事部は次のように話します。
「事件発生から4年が経過し、世の中の記憶も薄れつつある。今一度、悲惨な事件に関心を持っていただき、八田與一被疑者の情報をお寄せいただきたい」(捜査1係次席)
バイク追う軽自動車に異常性の一端?
通りすがりに見かけたバイクに、八田容疑者が執拗に殺意を抱いた様子が分かる動画も一部に公開されました。
新たに公開された動画には、事件発生1分前に、被害者の1台が通過、そのすぐ後に八田容疑者が運転する軽自動車が追いかける様子が残されています。

2人の被害者と八田容疑者には、面識がありませんでした。接点はほぼなく、日中に湯布院にツーリングに出かけたバイク2台が、バイクを止めて別府市内の商業施設で買い物を終えた時、八田容疑者が駐車場の出口で大学生を見とがめたことを、地元の大分放送などが被害者の証言として報道しています。商業施設から事故現場までの距離は、わずか数100メートル。事件の異様さは、こんなところにも現れています。
2026年5月29日、遺族ら被害者が求めた損害賠償訴訟で福岡高裁は、八田容疑者に遺族に対して2億円、九死に一生を得た被害者に対して約450万円の支払いを命じました。しかし、八田容疑者の行方は依然として分かりません。
八田容疑者には今も懸賞金がかけられています。警察行政が提供する捜査特別報奨金上限額300万円と、早期解決を願う会が積み増した上限額500万円の合計800万円です。これまでに約1万3000件の情報が寄せられました。
クルマを使った動機の見えない殺人事件。夜の交差点で4輪車から意味もなく追突される恐怖は、どれくらいのものだったのか。
少しでも解決につながる情報を、大分県別府警察署捜査本部(0977-21-2131)で受け付けています。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。




