カスタムの一歩として人気のパーツ ハンドルバーの種類とそれぞれが生まれた歴史的背景

ハンドルバーの種類と、それぞれが生まれた歴史的背景とは

 現在では様々なパーツメーカーが多くのハンドルバーをリリースしていますが、ここからはWidth(幅)、Rise(高さ)、Pull Back(引きしろ)などの形状の違いや生まれた歴史的背景などをタイプ別に、それぞれを簡単に解説させて頂きたいと思います。

スピードスターバー

●スピードスターバー
1948年製パンヘッドまで純正で採用されていたスプリンガーフォークに取り付けられていたタイプのハンドルバー。厳密にいえばレーサーのWR等で見られたベントの角度が少なくライズの低いハンドルがスピードスターと呼ばれています。

●ハリウッドバー
スプリンガーフォークに装着する後付のクロスバーを一体化した構造のハンドルです。もともとは振動対策やハンドルバーの剛性強化などが目的だったのですが、後の時代になるとクロスバー部分はアンメーター(電圧計)等のマウントとしても活用されました。ジャックトレイシー製や布製の風防などを組み合わせるのも定番です。

●フランダースハンドル
1945年に創業されたFLANDERS COMPANY製のハンドルバーです。形状の違いによって細かくナンバリングされ、乗り手に応じた様々な選択肢が用意されていました。ポジションとしてはグリップ位置が下がり、乗車時に「伏せやすい」ものとなっています。ドッグボーンライザーやヘリングスライザーと組み合わせるのも定番です。

●エイプハンガー
ハンドルのグリップ位置が肩ぐらいの高さとなるチョッパー定番のパーツです。Ape Hangerという言葉の直訳どおり、猿が木にぶら下がっているような乗車姿勢が名の由来です。1950年代のFormica(フォーマイカ)製の椅子の脚がちょうどハーレーのハンドルと同じく1インチ径だったことと、その形状から当時の若者が愛車に取り付けたのが始まりといわれています。現在は様々なメーカーから高さや幅、曲がり具合などが異なるものがリリースされる人気のパーツです。

●スカイハイバー
エイプハンガーより更にグリップ位置が高く、パーツ名のとおり、空にそびえるような高さのハンドルバーです。基本として乗車時に肩よりグリップ位置が高くなるものは、スカイハイにカテゴライズするのが適切でしょう。

Zバー

●Zバー
鋼材を曲げるパイプベンダーを持たないガレージビルダーがパイプを切断し、溶接することで生み出されたといわれるハンドルバーです。アルファベットのZの形状に似ていることからZ-Barと呼ばれており、ライズの高さや角度など造り手によって形状に個性が現れます。

●ドラッグバー
1/4マイル(402.33m)の直線で競われるドラッグレースから生まれたハンドルバーです。スタート前、リアタイヤを空転させるバーンナウトがやりやすく、直線でも抑えの効く直線的な形状が特徴です。ちなみに角度がまったくついていない直線状のものはブーム・スティックと呼ばれています。低めのライザーと組み合わせればレーシーな雰囲気になるのは勿論、高めのライザーと組み合わせればChopperにもマッチする人気のパーツです。

●ライザーバー
その名のとおりライザーとハンドルバーを一体化したプロダクツです。定番はドラッグバーなどの高さの低いハンドルと4から6インチの長さのストレートライザーを組み合わせたものですが、ライザー部が手前に引かれプルバックとなったものや短いライザー部とエイプハンガーを組み合わせたものなどが存在します。

●アタッカーバー
写真をご覧になればお分かりのとおり、“コの字”のような形状となったハンドルバーです。純正スプリンガーに装着されていたハンドルの両端を短く切断し、ドッグボーンライザーと組み合わせることや、短めのライザーに装着するのが定番です。

ティラーバー

●ティラーバー
英語を直訳すると“分げつ”、名詞だと“耕運機”となるように、まさに農機具に取り付けられたような形状のハンドルバーです。メインフレームを伸ばし、低く長い車体の“ディガー”スタイルのカスタムでも楽なポジションでハンドルが届くよう1970年代に北カリフォルニアで発祥されたハンドルバーといわれています。

●4ベンド・6ベンドバー
フレームのメインチューブやダウンチューブを伸ばし、ネックの位置が高くなったロングフォークチョッパーでも操作可能なよう、手前に引かれたハンドルバーです。4箇所が曲げられたものは4ベンド、6箇所のものは6ベンドというように曲がり(ベント)の数で名称が分けられます。

●バックホーン
写真のように基本、左右分割形状で手前に緩やかなアールを描く曲線のハンドルです。多くのものは強度を確保する為、左右のハンドルがパイプで繋げられています。羊の角の形に似ているというのが名の由来の理由です。ラムホーンバーとも呼ばれています。

●プルバックバー(イーグルハンドル)
ネック位置の高いチョッパーは勿論、純正のハーレー、ローライダーやソフテイルなどでも採用される形状のハンドルバーです。エイプハンガーより左右に絞られた形状と手前に低く引かれたグリップ位置が特徴です。ハーレー=白頭鷲がイメージキャラクターであることからか70~80年代の日本ではイーグルハンドルなどとも呼ばれていました。

●ローライズバー
その名のとおり、あくまでも低いライズ(高さ)で幅広いスタイルのハンドルバーです。もともとパンヘッドエンジンを搭載したハイドラグライドやデュオグライドなどで採用されていたワイドなハンドルを更に低いフォルムにしたことが始まりであると考えられます。90年代には極端に幅広のビーチクルーザーバーというものもありましたが、現在のカスタムシーンではあまり見ることはありません。

●ダートトラックバー
60年代のKRや70年代のXRなど、フラットトラックレースで活躍したハーレー・ダビッドソン製レーシングバイクなどに採用されていた形状のハンドルバーです。オーバル(楕円)でフラットなダートコースを周回する競技に優れるよう押さえの効く低いライズと若干、幅広い形状が特徴です。

●スーパーバー
ハンドル単体では一見するとダートトラックバーに似ていますが、より低いライズと狭い幅となったハンドルバーです。80年代のAMAスーパーバイクレースの車両などに見られた低めのパイプハンドルが元であると考えられます。ロングライザーと組み合わせることでチョッパーにも、現在、流行中のクラブスタイルのマシンでも定番となっています。

●セパレートハンドル
ハーレーカスタムやChopperの世界ではマイノリティですが、左右のフロントフォークそれぞれに装着するセパレートハンドルもカスタムの手法としては一般的です。そのスタイルのとおり、レーシングバイクを彷彿させるマシンやカフェレーサーは勿論、ドラッグレーサー的なマシンにもマッチします。マグラやトマゼリなどのメーカーが知られています。

※ ※ ※

 このように様々なスタイルに応じて、バリエーションの広がりを見せるハンドルバーですが、忘れてはならないのが操作を司る機能パーツである、という点ではないでしょうか。たとえばネック位置の高いロングフォークチョッパーに高さのあるエイプハンガーを取り付けたところで、よほど大柄な人でなければ操作出来ないでしょうし、コンパクトな車体の車両にティラーバーや6ベンドなどを取り付けても窮屈なポジションとなってしまいます。

 自分の体格と目指すバイクのスタイル……この二つを念頭に置き、パーツを選ぶことでカスタムバイク・ライフがより楽しく充実したものになるのは、きっと間違いありません。

【了】

カスタムバイクで見られるハンドルバーの形状(19枚)

画像ギャラリー

Writer: 渡辺まこと

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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