2019年10月国内導入のカワサキ「KLX230」シリーズ 「闘う4スト」KLX250と何が違う?
オフロードのフラッグシップ「KX」シリーズを意識したデザイン
カワサキ「KLX230」は、大きなくくりでみれば同ジャンルのバイクとして挙げられるヤマハ「セロー250」やホンダ「CRF250L ローダウン仕様」よりもシート高が55mm高い885mmに設定されていますが、これはデザインの面が大きく関係しているようです。
カワサキ「KLX230」シリーズのデザイナーを担当した小林稔さんは、その特徴について次のように話します。
「私はアメリカ向けのモデルを中心にデザインしていまして、ユーティリティビークルを数種類、ジェットスキー、そしてここ2世代くらいのモトクロスのモデルを担当してきました。
KLX230/230Rのスタイリングの方向性ですが、当社のオフロードモデルのフラッグシップであるモトクロッサー『KX』シリーズのイメージに沿って進めることにしました。KLX230のコンセプトには乗りやすいということもありますが、スポーティーな操縦性も持ち合わせていますので、その部分をデザインに打ち出しています。
デザインキーワードには『Aggressive』(攻撃的)と『Agile』(俊敏)を設定していますが、これは『KX』と同じものです。『KX』と同じキーワードを掲げ、『KX』と同じデザイナーが手掛けることで、本格的なモトクロッサースタイルのイメージをこのモデルに落とし込んでいます。
このモデルのデザインの最大の特徴は、ロングシュラウドです。ロングシュラウドは『KX』の2016年モデルから取り入れたもので、エルゴノミクス(使いやすい道具にするための設計・デザイン)を追求したロングシュラウドを採用しています。これは新興国モデルとなるKLX150などでもすでに採用しています。現在では、ライムグリーンのロングシュラウドはカワサキのオフロードモデルのアイコンになっています。
このロングシュラウドを採用した一番の理由は機能面で、ライダーが移動する範囲に部品の継ぎ目が無いため、ポジション移動が容易になります。これは体重移動を頻繁に行うオフロード・ライディングでは大切な要素だと思います。モックアップの時点で研究モトクロスライダーに乗ってもらい、入念にライディングポジションを確認した上で形状を決めていきました。
デザイン面においてもライムグリーンの大型パーツがサイドに配置されますので、ひと目でカワサキとわかる特徴的なスタイリングを表現することが出来ます。
KLX230Rにおいては、全体のスタイルとしては本格的なモトクロッサー同様、水平基調のプロポーションを強調したスタイリングとしています。
リアフェンダーが跳ね上がっていますが、これは豊かなホイールトラベルを予感させる形状で、フロントフェンダーはKXと同様のイメージとし、アグレッシブな雰囲気としています。また、縦断面を多くして剛性をもたせるような形状にもなっています。
アグレッシブなデザインを取り込んだ公道仕様車「KLX230R」
KLX230Rをベースに保安部品を装着したKLX230に関しては、ヘッドライトカバー、マフラーカバーが追加されています。シートに関してはKLX230Rよりも幅が広く、乗り心地の良いシート形状にしています。リアフラップはオフロードモデルらしい、細いシェイプのものを採用しました。
ガソリンタンクは上下分割タイプのものを採用し、ストリートモデルとしての十分なタンク容量(7.4L)を確保しながら、高さを低くすることでモトクロッサーのような、タンクからシートがフラットにつながるラインを実現できました。
また、明るさを重視したヘッドライトですが、それを包むヘッドライトカウルも他のストリートモデルと同じようなアグレッシブなデザインとしています。
最後にアクセサリーについてですが、スキッドプレートやフレームカバー、ハンドルカバー、KLX230用のキャリアやETCケースなどについては新規でデザインしたものになります」。
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KLX230シリーズの開発チームによると、ヘッドライトに関しては、近年主流になりつつあるLEDの導入も検討されましたが、新興国での安定したパーツ供給やユーザーが購入しやすい金額とするため見送られたといいます。
2019年10月1日に発売される「KLX230R」は価格(消費税込)51万7000円、10月15日発売の「KLX230」は価格(消費税込)49万5000円となっています。
【了】