スズキ「バーグマン200」に見る実力主義 平凡こそ長くつきあえるのかもしれない

スクーターをもっと身近なものにできないか、その発想から生まれたのが「バーグマン200」です。道幅の狭い市街地でも、キビキビ乗りこなせるジャストサイズのボディは2人乗りでもゆったり。試乗してみると“ちょうどいい”って、こういうことなのだとわかるのでした。

存在は地味だが、根強く支持される

 えっ、そんなのあったっけ? こんなことを言ったらタイヘン失礼ですが、「バーグマン200」はハッキリ言って地味です。しかし、スズキのラインナップにしっかり名を連ねているからには、それだけのワケがありまして、根強いファンに支持されていることを筆者はよく知っています。

スズキ「バーグマン200」に乗る筆者(青木タカオ)

 そもそもスズキには、ビッグスクーターブームの頃から『スカイウェイブ』があり、250を中心に400、さらには650なんていうスクーターにおける国内メーカー最大モデルも有しているのでした。

 スカブー(あっ、スカイウェイブはビクスクブームの頃にはこう呼ばれていました)は、スズキのホームページを見るとまだ載っていますが、「生産終了」とありますので、どうやら今後は“バーグマン”がスズキ・ビッグスクーターの中核を担っていく模様です。その証拠に最近、「バーグマン400」がニューモデルとして登場。優雅でしなやかなスタイリングが魅力となっています。

 そもそもバーグマンは昔から海外向けモデルとして存在し、シティコミューターの熟成市場であるヨーロッパ、さらには200あたりだともう上級機種として扱われるアジア市場で実績は充分すぎるのでした。どちらかというと、スカイウェイブが日本向けで、もともと世界では『バーグマン』の方が名が通っていると言っていいかもしれません。

軽快、だが落ち着いて走れる!

 本題に入りますが、「バーグマン200」のサイズ感がじつに秀逸なことをまずお伝えしなければなりません。ビグスクブームの頃は、ライバルのマジェ(マジェスティ)やフォルツァもみんな文字通りビッグだったので気になりませんでしたが、いま改めてスカブーを見るとデカすぎます。

スズキ「バーグマン200」と筆者(青木タカオ)

 気軽に乗って、狭いところもスイスイ行けるのが、本来の持ち味のはずなのに、当時は大きいほど良しとされていた風潮もあったと記憶しています。その点、「バーグマン200」はちょうどいい。ライディングポジションもジャストフィットし、大きすぎず窮屈でもありません。シート高は735mmと低く、身長175cmの筆者(青木タカオ)の場合、両足カカトまでベッタリ地面に届きます。

 高速道路にも乗れる軽2輪車枠となりますが、首都高など都市高速を走ってもドッシリと落ち着いていて、ゆったりした気持ちで乗れるのです。走りは平凡ですが、ナニも悪くありません。平凡で結構、毎日の通勤にも頼もしい相棒となってくれるでしょう。

ゆったりとした乗車姿勢と落ち着いた走りを実現したスズキ「バーグマン200」

 最近は原付2種(125cc)と車体を共通化し、150や155ccエンジンで軽2輪車枠とするモデルも利便性の高さから人気は上昇傾向ですが、安定感という点ではやはり「バーグマン200」に軍配が上がります。フロント13インチ、リア12インチの足まわりで、乗り心地もラグジュアリー。すばしっこさでは、小さな150または155ccモデルにかないませんが、乗車姿勢、デザインを含めても落ち着いて走るにはコチラがいいでしょう。

奇抜さなんて要らない、正統派の強み

 ウインドシールドも機能重視で大きくて、デザインも馴染みあるもの。機能面もミニマムで、スカブーの250に搭載されていた7速マニュアルモードも選べる電子制御式CVTや、キーレススタートシステムなどはありません。ユーザーの中には“そんなの要りませんよ”っていう人が確実にいるんですよね。

テールエンドのボリューム感にビグスクを彷彿とさせるボリューム感が残っているスズキ「バーグマン200」

 シート下の収納スペースも、かつてはゴルフバッグが入るとか大きさを競いあったものです。しかし、「バーグマン200」のトランクは広いけれど浅い形状で、ヘルメット2個を収納できると謳っていますが、1つは横向きにしてギリギリ入るかどうかという感じ。しかし、よく考えると充分ではないでしょうか。容量41L、最大積載許容重量3kg。足らなければ、トップケースを付ければいいんです。シートを開くと同時に照明が点く、優しさも付け加えておきましょう。

 最後になぜか名残惜しいので、停まっている姿を見回していると、テールエンドのボリューム感にビグスクを彷彿とさせるボリューム感が残っているではありませんか。このスタイルが好きな人もいるわけで、後続車から見ても堂々たるものです。それでいてフロントはシャープに絞り込まれていて、運転席からは幅広感はなく、よく考えられています。さすがは、海外で鍛え上げられた実力者。ツウ好みな1台です。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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