気分は「美女と野獣」? ヤマハの大型3輪バイク「NIKEN GT」に身長158cmの女性ライダーが試乗!
トルクのモンスターだけど走りはジェントル! 気分は「美女と野獣」
まずはエンジンスタート。ハンドルのセンターあたりにあるイグニッションキーをオンにして、ハンドコントロールにあるセルスイッチを押すだけで簡単に始動します。排気量845ccnの水冷4ストローク直列3気筒エンジンが動き出し、ゴロゴロとした低音を響かせます。振動、排気音ともにほどよく抑えられていて、心地よい鼓動感があります。
NIKENにはエンジン特性を3つのモードから選べるD-MODE(走行モード切替システム)を搭載しています。1モードは「最もスポーティなエンジンレスポンスを楽しめるモード」、2モードは「スムーズかつスポーティな走行フィーリングを低速から高速まで楽しめる、さまざまな走行条件に適したモード」、3モードは「2モードより穏やかで扱いやすい出力特性を楽しめるモード」となっています。セレクトレバーは右側のハンドコントロールにあり、メーターにどのモードになっているか表示されます。
また、2モード選択式のTCS(トラクション・コントロール・システム)も搭載されていますが、これは後輪の滑りを制御してくれる機能で、路面状況やライダーの好みに応じて選択できる2モード選択式となっています。
制御の強さは1が「弱」、2が「強」、そして「オフ」も選択可能で、メーター左下のスイッチボタンで操作出来ます。ツーリングでの快適性向上に貢献するクルーズコントロールシステムも採用していますが、今回は市街地走行がメインなので体験はできなさそう。最初はD-MODE「3」のTCS「1」で走行してみました。
停車時の足つきの悪さはありますが、走り出してしまえばあまり関係ありません。操作感は2輪とほぼ同じ。ブレーキング、コーナリングともにトライクやサイドカーのような違和感はありません。しっかり「バイク」しています。アクセルと開けると、トルクフルに加速し、重量級マシンならではの爽快感を味わえます! コーナーの接地感もしっかりあって安定感がハンパありません。私の場合、座る位置をタンクから握りコブシ1つ半分くらい後方にすると収まりのイイ感じでした。
慣れてきたところで信号待ちの時に1モードへ! 停止線前でスタンバイし、信号の合図でアクセルを大きく開けてみました。たちまちエンジンが目を覚ましたように加速。瞬間、「あ、やらかしたかも」と思いました(笑)。すると即座にTCSが発動。車体は暴れることなく、ガッツリ路面を捉えながらグングン加速します。コレはエキサイティング! アドレナリンが吹き出るような加速力だけど、車体は安定していてスムーズ。とってもジェントルなのです。
そこで思い浮かんだのが童話「美女と野獣」でした。ルックスとパワーはモンスターなのですが、中身は優しい王子様というお話。決して私が美女というワケではありません(笑)が、豪快なパワーをしっかり受け止めてくれる車体に安心感や信頼感が生まれ、純粋に走る楽しさ、操る楽しさを満喫させてくれる感じがしました。
クイックシフトシステム搭載でクラッチ操作によるストレスを軽減
ちなみに好みがあると思いますが、中低速でのパーシャル走行が多く、走行環境がめまぐるしく変わる市街地走行では2モードがいいかもしれません。
クラッチレバーは思ったよりも軽くて、手が疲れません。シフトアップする時にシフトペダルの動きを検知すると、ギアの駆動トルクを瞬間的にキャンセルしてくれるクイックシフトシステム(QSS)も装備しているので、クラッチを切らずにシフトアップができます。反動も少ないのでストレスを感じず、かなり楽しめました。
結論としては、標準体型の女性でも大型二輪免許を所有していて普通の大型バイクに乗れる技術力があれば操作出来ると思います。問題は取りまわしなどの停車時の扱い方、そして乗り手のモチベーションではないでしょうか?
私だったら、両足のつま先がしっかり接地するまでシート高は下げたいところ。価格はNIKEN GTが198万円、NIKENが181万5000円 (共に消費税10%込)で、受注生産で販売されています。装備の充実ぶりを考えたらGTからカスタムした方が安く仕上がりそうです。単体で自立できないバイクは、ライダーの恐怖心が強く影響してしまいます。取りまわしにはコツと慣れが必要なので、まずは試乗してみることが一番のオススメです。
【了】