電子制御サスペンションとDCTを搭載 ホンダの最新アドベンチャーバイクとは?

ホンダの新型アドベンチャーバイク「CRF1100Lアフリカツイン・アドベンチャー・スポーツ」の電子制御サスペンションとDCT搭載車両の走行性能をテストしました。

どこまでも行ける! 快適性をグッと引き上げてきた

 ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン・アドベンチャー・スポーツ」(以下アドベンチャー・スポーツ)は、スタンダードの「CRF1100Lアフリカツイン」より一目でツーリングアメニティに富むバイクであることが解ります。

ホンダ「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCT」に試乗する筆者(松井勉)

 ウインドプロテクション性能の高いスクリーン、ラゲッジキャリア、コーナリングライトを備えたフロントマスク、容量24リットルに増量されたビッグタンクなど、長距離、冒険ツアーの相棒としてパッケージされています。

 さらにテスト車両は、電子制御サスペンション・システムを装備した「ES」モデルです。これはショーワ製EERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)、通称「イーラ」を前後サスペンションに装備しています。

 このEERAは、内蔵されたストロークセンサーで走行状態に応じて瞬時にサスペンションの減衰特性を最適化するシステムで、その応答性の早さが自慢です。システムそのものはダカールラリーを走るワークスマシン「CRF450RALLY」でも実践テストが重ねられ、初代同様、現代のアフリカツインにもダカールのDNAはしっかり封入されているのです。

ホンダ「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES DCT」

 肩慣らしにオフロードコースを走ります。連続ギャップを越える時でも、ローダウンながらフルストロークに至るまでの踏ん張りがきいている印象です。細かなギャップも綺麗に吸収しています(※受注期間限定でサスペンションストロークを圧縮しないアフリカツイン〈s〉タイプ登場により「LD:ローダウン」という表記はされなくなりました)。

 タイヤのグリップを密に感じやすく、グリップからの滑りだしも穏やかになっているように感じます。車体のボリュームが異なるのに、スタンダードのアフリカツイン並みに軽快に感じるのは、車体、サスペンション、エンジン特性などの恩恵です。

 同モデルでローダウンからスタンダードサスペンションに乗り換えて走り出すと、その印象はさらに好転し、コースの一部では路面が良くなったかのようです。

 EERAはソレノイドバルブが100分の1秒単位で減衰圧を発生させる積層シムの間隔を調整し、そこを流れるオイルの流量を微妙に調整することで変化させる構造だけに、実際これだけ乗ったらその作動の自然さに違いを感じずに走ってしまうほどです。とにかくオフロードでの好印象を検証すべく、一般道に(ローダウン仕様で)走りだします。

EERAが搭載されるのは「アドベンチャー・スポーツ」のみ

 最初に驚いたのは、アスファルトの小ジワ、ひずみを綺麗になめて行くこと。車体姿勢に変化が少なく、ここでも滑らか路面を走っている印象です。EERAはライディングモードでも変化するので、同じギャップを同じ速度で、異なるモードで試してみることにしました。

 アスファルトを「URBAN」、「TOUR」で比較すると、乗り心地はURBANのデフォルト設定された足周りがソフトかつピッチングをおさえた印象となり、TOURでは引き締まった印象ながら、トンとグリップなどにキックバックを感じる面があります。しかし旋回性に関してはシャープさがある、というもの。私自身は雲の絨毯のように感じたURBANでの乗り味が気に入りました。

 この点を開発者に話すと、TOURモードは簡単な荷物の積載や、ペースの速いツーリングを想定したとのことで納得です。EERAのもうひとつのメリットは、ライダー1人、1人+ラゲッジ、2人乗り、2人乗り+ラゲッジというように、荷重設定に合わせて停車時にボタンひとつでスプリングのイニシャルプリロードを電動で調整してくれることです。

 ダイヤルなどで調整するマニュアルサスペンションだと、つい面倒で怠ってしまうもの。そうすると、積載量や2人乗りでヘッドライトがロービームにも関わらず、対向車や前走車に幻惑することにもなりかねません。その点を考えても、EERAはアドベンチャーバイクにとって素晴らしいアプリケーションです。

左側のフロントフォーク上部には電子制御サスペンション・システムの減衰圧調整部品が組み込まれる

 もちろん、峠道でも好印象でした。下りのカーブ手前で減速するとき、ストロークの長いサスペンションはノーズダイブも大きめに出てしまうものですが、その姿勢変化をEERAは適度なピッチングにとどめてくれます。

 つっぱり感がなく、しっとりタイヤを押しつける印象が良質な走りの時間を楽しませてくれます。なにより、オフロードコースでも感じたDCTのブリッピングがワインディングではさらに映えるのです。

 気持ち良く駆け抜けるコーナー、アドベンチャーバイクは走行環境の変化に即対応する機敏性の高さも必須科目です。その点で、アドベンチャー・スポーツは文句無しでした。

アドベンチャー・スポーツには旋回時の傾斜角度に応じて照射範囲が3段階に切り替わる「コーナリングライト」を標準装備

 今回はTFTモニターを使って「アップル・カープレイ」などをミラーリングできる機能までは試すことはできませんでしたが、オートクルーズコントロールや新装備の数々が満たすツーリングマインドは新しいアフリカツインの象徴でもあり、さらにその部分を煮詰めたアドベンチャー・スポーツとEERA、DCTという組み合わせでは、ほかのモデルにない魅力を感じた次第です。

 アフリカツインをベースにツーリング装備が追加された「CRF1100L Africa Twin Adventure Sports」の価格(消費税10%込み)は180万4000円から、カラーリングは「パールグレアホワイト(トリコロール)」と「ダークネスブラックメタリック」の2色設定となっています。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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