650台の二輪エントリーを数えるYOKOHAMA HCS その頂点に輝くビルダー渾身のハーレー・カスタム

2019年12月1日に開催されたカスタムカー・バイクの祭典YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOWでは様々なスタイルの車両が展示されました。2019年の同イベントのコンテストで頂点に輝いたカスタムバイクとはどのような車両なのでしょうか。

珠玉のカスタムバイク650台の頂点に立つ条件とは?

 カスタムバイク枠の出展で650台、カーショー枠での出展で400台を数え、今年も盛況のうちに幕を閉じたYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー:以下HCS)ですが、日本最高峰のカスタムマシンが集う同イベントで、頂点である『ベスト・オブ・ショー』に輝くためには、様々な条件が存在します。

1968年式ハーレーFLHをベースにし、徹底的に手が加えられているにも関わらず、些かの『違和感』を感じさせないシュアショット製のマシン。この完成度の高さは見事です

 アメリカン・カスタム的な思考で手掛けられたカスタムマシンやチョッパーを語る上で最も重要な要素である『独創性』や『スタイル』、それに加味される形で『走行性能』や『溶接や板金などの金属加工の技術』、美しい『ペイントワーク』など審査のポイントは数多くあるのですが、あらゆる部分で前述の条件を高いレベルで満たしたものが、ベストの栄冠に輝くのは言うまでもありません。

 ちなみに2019年のHCSからは、審査の公正さをより高めるため、知見のある審査員十数名がジャッジペーパーを用いて先に挙げた項目をそれぞれポイント制で審査。その合計得点でアワードを決定することになったのですが、そうした中、HCS2019で頂点に輝いた千葉のショップ「シュアショット」による車両は、ベスト・オブ・ショーモーターサイクルを「狙うべくして狙い、獲るべくして獲った」一台といえるかもしれません。

製作者が掲げたコンセプトとは?

 実際、製作者の相川拓也氏によると「オーナー様よりオーダーを頂いたのは、“ショーで勝てるようなシュアショットらしい”もの」だったそうですが、そうした中、相川氏が自問自答して得た解答が「スリムでバランスの取れたシルエット」と「速さを感じるスタイリングとディテール」とのこと。

車両のアイキャッチであるフレームやマフラーの取り回しが印象に残るリアビューからの姿。見る者に分かりやすく個性的なスタイルを演出します

 またHCSの基本テーマである“ホットロッド”という部分を意識し、「チョッパーらしいアメリカンな遊び心」と「ホットロッドらしい機能性」を一台の中で表現するに至ったそうです。

 ベース車両は1968年式のハーレー「FLH」ですがシリンダーヘッドをアルミ削り出しのSpeed&Science社製に換装し、ケーヒン製バタフライキャブを二連で装備。その上で点火を現代的なDYNA2000iに変更し、ハイリフト・カムシャフトを組み込んだあたりに「エンジンのコンロッドがホットになるチューニング」が語源となる“ホットロッド”らしい理念を感じさせます。

 また、このマシンではフレームもハーレーのハイドラグライド(1957年生産までの純正リジッドフレーム)タイプをモディファイし、ワンオフ(一品もの)で製作していますが、メインフレーム下のサイドフレームをダブルタイプとすることでドラッグレーサー的なイメージを構築し、右サイドのリア側はフレームにマフラーが“中通し”となるよう加工。やはり、こうした部分でもホットロッドらしい“機能性”とチョッパーらしい“遊び心”と“独創性”が見事に表現されています。

マシン名として掲げた「K2」とは?

 ちなみにこの車両のショーネームは“K2”と名付けられているのですが、聞けばその由来はカラコルム山脈にある世界最難関と言われる山の名前とのことです。2008年からHCSへのエントリーをスタートし、その頂点に立つことの難しさを知るシュアショットの相川拓也氏ですが、やはり今年の車両は「難攻不落の最高峰を狙ったものだった」と語ります。

2003年より千葉県八街市でシュアショットを営む相川拓也氏はHCS2017でもベスト・アメリカンを受賞。2019年で待望のベスト・オブ・ショーモーターサイクルを獲得です

 毎年12月の第一週、神奈川県のパシフィコ横浜に日本最高峰の“アメリカン・カスタム”が一堂に会し、開催されているYOKOHAMA HCSですが、そこでは、ただ奇抜な車両が評価されるワケではありません。

 やはり『モーターサイクル』として機能が成立した上で『オリジナリティ』を持ち、『スタイリッシュでクール』なマシンがその頂点に輝きます。見る者にも跨るオーナーにも夢を与えるのがカスタムバイクの存在意義です。
 
 そうしたことを踏まえて見てもシュアショットによる『K2』と名付けられたこの一台は、まさに今年のHCSの頂点に相応しい出来栄えではないでしょうか。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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