通気口だらけのスポーティなサイクルヘルメット 安全性に加え求められる機能と最近のトレンドとは?

走るうえで欠かせないヘルメットはとても重要なプロテクション装備です。モーターサイクル同様一般道を2輪で走る自転車にはサイクリングヘルメットがありますが、カタチはだいぶ異なります。どのような機能が求められているのでしょうか?

軽くて涼しい、サイクリングヘルメットの秘密

 スポーツサイクルまわりのギアの中で、とくに目覚ましい進化を遂げているもののひとつがサイクリング用のヘルメットです。もっとも、サイクリングヘルメットはまだ歴史が浅く、自転車ロードレースの最高峰『ツール・ド・フランス』であっても、全区間でヘルメット着用が義務化されたのは2000年代半ばになってからのことです。

万が一の状況から自分の身を護るためにも、自転車に乗る際はヘルメットの着用を習慣として身につけておきたい

 サイクリングヘルメットの存在意義はもちろん頭部の保護のためですが、エンジンである人間に負荷を与えないよう、安全性を確保しつつ「軽さ」と「快適性」(フィッティングや通気性など)を追及した設計になっています。

 ロードレース競技でヘルメットの普及が遅れたのは、それを着用することでパフォーマンスが低下することを危惧した選手達から強い反発があったためです。その結果、現代のサイクリングヘルメットは衝撃を吸収する発泡スチロール製のライナーに樹脂製のシェルを接着する構造となっており、被っているのを忘れてしまうぐらい軽量にできています。

 帽体全体に空けられた通気口は、走行風を頭部へと導き冷却するためのものです。気温の高い日では頭部に熱がこもると熱中症のリスクが格段に高まるからです。

 近年ではここに「空力」というキーワードも加わり、各メーカーが技術を競い合っています。高性能なヘルメットというのはこの3つの要件を高度に最適化したものと言えます。サイクリングヘルメットの最新トレンドを見てみましょう。

■LAZER(レイザー)「Bullet2.0AF(バレット2.0アジアンフィット)」

LAZER「Bullet2.0AF」標準装備の着脱可能なマグネット式レンズを装着した状態(写真提供:シマノ)

 ここ数年、高速化が進むロードバイクの世界では「エアロ」、つまり空力性能の追及がエンジニアリング上の大きなテーマとなっていますが、その流れはウェアやヘルメットにも波及しています。

 ベルギーのヘルメットブランド、レイザーの「Bullet2.0AF」は、スライド式のベンチレーションを備えることで空力性能と通気性の両立を図ったモデルです。一般的にサイクリング用ヘルメットでは通気性と空力性能というのは相反関係にあり、ベンチレーションで空気を積極的に取り込むほど空気抵抗は大きくなります。

レンズを使用しないときは後頭部に収納可能(写真提供:シマノ)

 Bullet2.0AFはシチュエーションに応じてベンチレーション量を調整することができるのが大きな特徴です。あまり速度が出ない登り坂ではベンチレーションを開いて通気性を優先し、平坦や下りでの高速走行時はベンチレーションを塞いで空力性能を最大限に発揮することができるのです。

 モーターサイクル用ヘルメットのようなシールドを備えるのも、近年のトレンドのひとつです。従来までのヘルメット+サングラスよりも空気抵抗を低減するだけではなく、レンズが曇りにくいといったメリットがあり、Bullet2.0AFはマグネット着脱式のシールドを採用しています。また後部には視認性を高めるためのLEDライトも内蔵されています。

■Kabuto(カブト)「FLAIR(フレアー)」

Kabuto「FLAIR」(写真提供:オージーケーカブト)

 ロードバイクでのレースやサイクリングは長時間に渡って前傾姿勢を取ることになるため、ヘルメットのほんの僅かな重量の違いが首や肩への疲労に繋がり、パフォーマンスを低下させます。したがって他の条件が一定ならば、1gでも軽い方が良いヘルメットと言えます。

 Kabutoはサイクリングヘルメットのマーケットでは名実ともに日本のトップブランドとして認知されています。この「FLAIR」は、そんなKabutoが誇る超軽量モデルです。

 肉抜きされたポリカーボネイト製シェルと高性能ポリスチレンを用いたライナーを組み合わせることで、安全性を損なうことなく、重量170g(Mサイズ)という驚異的な軽さを実現しています。

■SENA(セナ)「R1(アールワン)」

SENA「R1」

 モーターサイクル用のインカムでお馴染みのSENA(セナ)ですが、じつはインカム内蔵の革新的なサイクリングヘルメットもラインナップしています。この「R1」は最大4人のユーザーと会話を楽しみながらサイクリングができます。耳をふさがない構造なので、周囲の環境音もしっかり認識できるのが特徴です。

 また、Bluetooth4.1でスマートフォンなどと接続することで、ナビ案内や音楽のほか、フィットネスアプリからの心拍数、速度などの情報を聞きながら走ることもできます。R1同士の通話は最長900mまで可能。重量も380g(Mサイズ)と、なかなか軽量です。

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 モーターサイクルとは違った機能や性能が求められる自転車用のヘルメットは、デザインも特徴的でまだまだ進化を続けそうです。今後どのようなヘルメットが登場するのか、注目したいところです。

【了】

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Writer: 佐藤旅宇(ライター)

オートバイ専門誌『MOTONAVI』、自転車専門誌『BICYCLE NAVI』の編集記者を経てフリーライターに。クルマ、バイク、自転車、アウトドアのメディアを中心に活動中。バイクは16歳のときに購入したヤマハRZ50(1HK)を皮切りに現在まで20台以上乗り継ぐ。自身のサイト『GoGo-GaGa!』も運営する1978年生まれ。

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