2輪専用の最新技術 サスペンションサプライヤー『ショーワ』がもたらす豊かなバイクライフに期待!

1938年に設立した日本のメーカー『ショーワ(SHOWA)』は、国内外に拠点を置く2輪、4輪のサスペンションサプライヤーです。2輪専用の最新技術、電子制御サスペンションが発表されました。

バイクメーカーへ供給される電子制御サスペンション技術を体験

『ショーワ(SHOWA)』というメーカーをご存じですか? 2輪、4輪のサスペンションサプライヤーとして、強いメーカーとしてお馴染みです。

ショーワの専用テストコースで最新の電子制御サスペンションを搭載する車両に試乗(筆者:松井勉)

 そのショーワが2020年9月29日、2輪メディアを栃木県にある同社のテストコース、塩谷プルービンググラウンドに招き、最新技術を体験する「ショーワ・テクノロジー・エクスペリエンス2020」を開催。取材をしてきました。

 今回のテーマは、市販車に投入されている電子制御サスペンション技術をベースに、今後投入可能な技術を解りやすく体験するというもの。なかでも「ハイトフレックス」と名付けられた、停止直前に車高を下げ、足つき性を高める機構や、路面からの入力が車体姿勢を極力乱さないように電子制御でサスペンションの減衰特性を適宜変化させる「スカイフック」制御、人、荷物など荷重に反応して姿勢変化を自動的に調整をするシステム、またジャンプを検知して着地に備える機能などなど、興味深いものが目白押しなのです。

 ワークショップ形式で、そうした機構の作動原理、電子制御ステアリングダンパーの紹介など、まさに盛りだくさんの取材会となったのです。

 ショーワの2輪用電子制御サスペンション「EERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)」(イーラと読みます)は、4輪からの技術転用ではなくロール、ピッチ、ヨーなど2輪車特有の動きに合わせショーワの技術が投入されています。

ショーワの2輪用電子制御サスペンション「EERA」制御イメージ図

 その制御にはブレーキ圧力、車輪速度、エンジン回転数やスロットル開度、ギアポジション、車体の姿勢など様々な情報から、EERAは前後ダンパーの減衰圧を1000分の1秒単位で最適に制御するマップが組まれています。その制御を駆動させるリニアなソレノイドバルブを用いることで、減衰圧変化を滑らかにしているのも特徴です。

 用意された試乗車は、舗装路用にホンダ「CRF1100Lアフリカツイン・アドベンチャースポーツ」、未舗装路用に「CRF1100Lアフリカツイン」が用意されました。テストコース内には、でこぼこが連続する波状路、直線路、そして世界にある荒れた路面の見本市のような特殊路、ワインディング路、特設オフロードコースが整備されています。

波状路+直線路+特殊路

 アフリカツイン・アドベンチャースポーツで走行しました。スカイフック制御を盛り込み、制御のON/OFFで機能を体験する比較試乗です。OFFの状態をノーマルとするならば、もともとEERA搭載のアフリカツインの完成度は高く、差が分かるのかな? と心配になるレベルです。一周走りスカイフック制御をON、再度波状路からスタート。

ショーワの専用テストコース、塩谷プルービンググラウンドで試乗

 違いは走りだしてすぐに解りました。まずは乗り心地がフラットでスムーズなこと。さっき通過した波状路がまるで平坦な路面に感じるほど。それは特殊路でも同様で、路面の継ぎ目、スピードバンプ、アスファルトのシワを再現した道すら素晴らしい快適性に。

 直線路で加速、減速時の車体姿勢の変化や、高速で急激な車線変更を繰り返してみました。スカイフック制御が入ると、制御なしと比較して動き過ぎ感が激減、安定感が増し、グリップの良いタイヤに履き替えたような安心感に。サスペンションが変わるとバイクの印象が変わることを体験しました。

ハンドリング周回路

 ハンドリング路は一般のサーキットと異なり、サスペンションを鍛えるためのいわば難コース。狭く荒れた路面があり、しかもアップダウンとカーブのコンビネーションで荷重が抜ける、かかる、という変化が多いなかで加速、減速、旋回の操作を要求します。

ハイトフレックス(HEIGHTFLEX)

 電子制御をサスペンションに内蔵する油圧ジャッキを使い、停止前に車高を下げ、足つき性を向上させる機構です。走り出すと路面のうねりでストロークするサスペンションの動きで油圧ジャッキをポンピングし、再び車高を上げるというもの。実際、下がるのは瞬間的かつ自然で、通常車高に復帰するには路面ギャップがあれば10秒以内で復帰、平滑路だともう少し時間がかかるものの走行に支障は感じません。

 これは素晴らしい。とくにアドベンチャーバイクは舗装路、未舗装路など路面を問わず、走破性のためにサスペンションストローク量や最低地上高が必要で、それが足つき性とトレードオフの関係になります。これまでライダーの体格を軸にしていた足つき性を、コロンブスの卵的発想で解決。ライダーの体格という人の基本的多様性を見事に吸収します。次期モデル即採用でお願いします、メーカーさん!

自動車高調整機能(Ride Hight)

 この機能は車体に掛かる荷重に対し、自動で姿勢を補正するもの。いわゆるスプリングプリロードを自動調整する機構です。最初は左右に荷物をいれたケースを装着し、補正制御がない状態で走り出します。20kgの荷重によりリアが下がり、乗り味としてはフロントが軽く上り、下りの路面変化で乗り味が変わる状況です。

 次に車高自動調整制御を入れて走ると、前後バランスが補正されて安心感が増し、走行フィールが自然になります。フルアジャスタブルサスペンションに含まれるスプリングイニシャルプリロード調整を自動でしてくれるので、調整のために停まる必要もなければ荷物を下ろしたら元に戻す必要もありません。ツーリング中にマニュアル(手動)で前後の調整をするのは正直面倒なもの。これも普及して欲しい機能です。

スカイフック制御(Skyhook Control)

 サスペンションストロークの長いアフリカツインの場合、スカイフック制御で得られるベネフィットの多さは想像以上でした。

ショーワのスカイフック制御イメージ図

 前後のピッチングの少なさ、旋回時に沈む車体の制御など車体の動きをスマートに吸収。テストコースではより快適性が上がるのを実感しました。タイヤの接地性を上げグリップ力を高めていることでもあり、リラックスしてライディングを楽しめます。「大正解!」な足です。

速度依存減衰圧調整

 これぞEERAの真骨頂という印象でした。テストコースという限られた試乗なだけに全てを試せたワケではありませんが、9回裏、一打逆点の場面で出てきたホームランバッターのような頼もしさがあります。とにかく良い、完全に良い、という印象を短時間でつかめたことは間違い無く、可能性が高い制御だと感じました。

※ ※ ※

 結論として、電子制御サスペンションはそれそのものを装備するだけではなく、制御マップの煮つめが勝負です。シミュレーション技術などのデジタル技術はもちろん、人が走り造ること、またその技術伝承が必須なはず。その点で体験版ながらよく煮つめられているところに感心しました。

 電子制御サスペンションが持つ明日は、ライダーの暮らしそのものを豊にする、という印象でした。今後どのメーカーのどの機種に採用されるかは未定ですが、ハイトフレックスのように、今の常識が非常識になる日が近いことを感じました。ショーワ、いいね!

【了】

【画像】ショーワの2輪専用電子制御サスペンション技術に、思わず「いいね!」(8枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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