そのライディングスタイルはナゼ? 暇つぶし議論に真実は見えず ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.76~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、大股を開いてバイクに乗る人の姿を見てさまざまな仮説を立てますが、真実は分からないと言います。どういうことなのでしょうか?

“なぜなぜキノシタくん”のライディングスタイル説、どれも違うが……

「暴走族って、なんで大股開くんてすかねぇ。カッコ悪いのに……」

ライディングスタイルもさることながら、バイクのカスタマイズも個性的

 友人と、素朴な疑問をぶつけ合ってヒマつぶし。つまらないことに疑問を抱くのは僕(筆者:木下隆之)の癖だ。常に「なぜなんだろう?」と、疑いを持っている。世の中が当たり前にしてきたことをもう一度疑い、本質を理解したくなるのである。

 と言えば賢い知的青年のように聞こえるかもしれないけれど、つまりは性格が素直じゃないことでもあるし、ついつい物事を横目で見てしまう意地悪な性格なのである。

 でもそれが編集者に引っかかったようで“なぜなぜキノシタくん”的な本コラムを連載中であるし、ほかのメディアでもたくさんの執筆依頼をいただいている。レースでもスポーティングディレクターを拝命、つまりはチームの知恵袋的の立場なのだが、そんなこんなも「それって本当?」と、一旦は疑ってみる、ひねくれた性格だからだろう。

 というわけで、冒頭の「暴走族大股開論」なのだが、侃侃諤々、様々な意見が飛び交った。や●ざや渡世人の「虚勢やハッタリ説」はつまり「エリマキトカゲ説」と意味合いは同じだ。暴走族の大股開きは、体を大きく見せる小動物の威嚇行動と共通しているというわけだ。

「反抗心の現れ説」もある。生徒が担任の先生の一言一句に反抗するように、教習所の教官に言われた「ニーグリップしなさい」への反発なのだ、と。「真っ直ぐ並べ!」と言われると、絶対にダラダラする奴の心理である。

プロレーシングドライバーであり、2020年シーズンは『BMW Team Studie』のスポーティングディレクターも務めた筆者(木下隆之)。バイクに関する素朴な疑問を本コラムで連載中

 僕がもっとも気に入った説が「鳶職のニッカポッカ説」である。膝から下が異様に太く広がるニッカポッカは、現場職人の制服でもある。それが有用な理由は様々。足が動かしやすく、バランスがとりやすい。とくに高所で働く職人には都合が良いらしい。鉄パイプやコンクリート片が散乱している工事現場では、ニッカポッカのふくらみがセンサーの役割をしているとも言われている。いわば「猫のひげ説」でもある。さらに、風の強さが測れるというのだ。強風による転落事故を避けるために、高所作業では風への注意は怠れない。それはバイクも同様で、風圧から速度を演算しているのではないか? と想像したわけだ。つまり、暴走族は理工学的な理由によって、理論的なスタイルでライディングしているのではないか? と論じたわけである。

 すると、友人たちは総意でこう言った。

「違うし……」

 真実が知りたいですね。

【了】

【画像】「木下隆之の、またがっちゃいました」の画像を見る(3枚)

画像ギャラリー

Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

最新記事