別次元の速さで飛ぶ国際宇宙ステーションに感動? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.77~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、地上約400km上空を移動している国際宇宙ステーションにドッキングしたプログレス補給船を見て、宇宙は近所だと言います。どういうことなのでしょうか?

移動時間だけで言ったら、伊豆も宇宙も変わらない……?

 国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)に物資を運ぶロシアの「プログレス補給船」が無事ドッキングに成功した、と言っても、最近ではその程度のニュースでは、さして驚かなくなってしまった。

地上から約400km上空に建設された国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)には宇宙飛行士が滞在しており、プログレス補給船による物資輸送は欠かせない

 ケネディ宇宙センターからアポロ11号が打ち上げられたのが1969年7月20日のこと。ニール・アームストロング船長が青い地球を見たその頃、宇宙という存在がずいぶんと近づいていることをまだ小学生だった僕(筆者:木下隆之)は実感したけれど、同時に、宇宙はそれだけにむしろ遠く、まさに宇宙が果てしなく広いこと知った。

 あれから50年以上経ち、そんな宇宙で生活している人がいて、メシやドリンクを地球から届けられる時代になった。ずいぶんと宇宙は身近になったものである。

 プログレス補給船は、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられてからたった3時間40分でISSにたどり着いたというから驚きである。月やISSが遠く離れていることは知っているけれど、移動の難易度という点ではそれほどの隔たりはない。そんなISSに、たった3時間40分、途中、地球の周回軌道を2周寄り道したというから、これはもう「近所」と言っていい。地上の南米アマゾンだって、日本から1日以上かかるのだから……。

 僕がスーパー耐久レース参戦のために新幹線で移動した東京-岡山間は、3時間33分だった。崎陽軒のシウマイ弁当をペロリとやって、スマホを見ながらダラダラしていているうちに到着した。そんな、あっという間の時間で、プログレス補給船はISSの呼び鈴を押したのだから、やっぱり近所なのである。

 じつはそれも道理で、地球からISSまでの直線距離は約400kmだ。地上なら自動車に乗ってエンジン吹かして100km/hで走れば4時間の距離。東京-大阪間の直線距離にほぼ等しい。仮に、直線距離でビューンとやれば、あっけなく辿り着けるというわけだ。

 ちなみに、そのISSは時速2万7600キロの速さで飛んでいるらしい。90分で地球を一周する。ライフルの弾丸以上の速度で周回しているというのだから、ISSまで物資を届けるとしたら、そいつを探してドッキングさせることがいかに難しいことか。

 という小学生レベルの知識で「補給船ってスゴイなぁ」と感心したのは、友人が僕のモンキー君(木下の愛車)をちょっと馬鹿にしたからである。

自身の愛車、ホンダ「モンキー」に乗る筆者(木下隆之)。2020年シーズンは『BMW Team Studie』のスポーティングディレクターも務める現役プロレーシングドライバー

 木下「原チャリで伊豆までツーリングしようぜ」

 友人「いいけど、遠いなぁ」

 木下「早朝に出発すれば4時間で着くよ」

 友人「モンキーで4時間はシンドイぞ」

 木下「国際宇宙ステーションまで3時間40分で飛んでる奴がいるのに?」

 友人「……」

【了】

【画像】「木下隆之の、またがっちゃいました」の画像を見る(6枚)

画像ギャラリー

Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

最新記事