125ccクラスの軽くて細くて怖くないスポーツモデル!? イタリアンブランドSWMの「ヴァレーゼ125」で操る醍醐味を!
イタリアのバイクメーカー「SWM」から、排気量125ccクラスのスポーツモデル「VAREZ 125(ヴァレーゼ125)」が登場。キビキビと軽快なスモールネイキッドの走りをお届けしましょう。
ほかとはちょっと違うデザインに高いスポーツ性も
イタリアのバイクメーカー「SWM」から、排気量125ccクラスのスポーツモデル「VAREZ 125(ヴァレーゼ125)」が登場。キビキビと軽快なスモールネイキッドの走りをお届けしましょう。

SWMは1971年に設立され、エンデューロやモトクロス、トライアルといったオフロード系のカテゴリーで活躍したブランドです。1980年代に製造を停止した後、SWMモーターサイクルズとして復活。現在は排気量125ccから600ccまでさまざまなモデルを手掛け、再び活気を取り戻しています。
数あるラインナップの中、「ヴァレーゼ125」は、2020年から日本へ導入が始まっている小型普通2輪車です。入門的な要素が強いクラスですが、このモデルにはそれを感じさせない、かなり本格的な装備が備わっていました。
その筆頭が、手の込んだ車体でしょう。メインフレームはいくつものパイプ径から成るトレリス構造で組まれ、スイングアームの素材はスチールではなくアルミ鋳造を採用。これだけでコスト優先のモデルではないことが分かります。

また、前後サスペンションはFASTace(ファストエース)製で、フロントにφ41mmの倒立フォーク、リアにモノショックを装備。しかもリアはリンク式なだけでなく、プリロード調整が無段階で行なえるハイグレードなものがチョイスされているのです。
リアサスペンションはハンドリングや安定性を左右する要のひとつですが、ビッグバイクでもリンクレスだったり、6段前後のプリロード調整幅しかないことが珍しくありません。さらにはタイヤもマイナーブランドではなく、ミシュランが純正装着されているところも好印象です。
これらのことから実用性よりもスポーツ性を重視しているのは明らかです。820mmのシート高は腰高で、決して足つきが良い部類ではないものの、車体はスリムで乾燥車重は136kgに過ぎません。そのため、不安を覚えるようなシーンはほとんどないでしょう。

エンジンを始動させると、競技マシンさながらの小気味良い排気音を聞かせてくれます。もちろん公道モデルですから、音量自体は抑えられています。しかしながら、音質はモトクロッサーやエンデューロレーサー的で、「タタン、タタタンッ」を弾けるようにアイドリング。圧縮比が高いこともあり、スロットルを開閉すると鋭くレスポンスします。
ちなみにマフラーはARROW(アロー)製、グリップはPRO-GRIP(プログリップ)製と、こうした部分のパーツ選択も抜かりなし。「より良いモノを」という開発陣の高い意識がうかがえます。
走り出して予想外だったのは、低速トルクもしっかりあったことです。125ccですから、もちろん力強くはないものの、クラッチミートに気難しさはなく、回転数や半クラッチを意識しなくても車体はスッと前進。低速走行が続く場面やUターンなどでも緊張感なく扱えます。
とはいえ、やはり楽しいのは高回転まで回した時です。15PSの最高出力を10500rpmで発揮し、レブリミッターはその直後、約11000rpmで作動。このことからもギリギリまで回して本領を発揮するタイプであることが分かります。
実際、リミッターに当たるまで爽快に回り切り、パワーを引き出している感覚をいつでもどこでも手軽に味わうことができます。絶対的な加速力は大きくありませんから、バイクを操る醍醐味に恐怖感なくひたれる、じつに良い素材と言えるでしょう。
「ヴァレーゼ125」が素晴らしいのは、そうやってスロットルを振り絞っても頼りなさがまったくないところです。既述の通り、車体もサスペンションもタイヤもオーバークオリティと言ってもいい装備で固められていますから、速度が上がっても、バンク角が増えてもそう簡単に安定性が崩れることはありません。スポーツライディングの基本を学ぶという意味でも、おすすめできるモデルです。

このクラスには、ホンダ「CB125R」や「CT125」、スズキ「GSX-S125」、KTM「125 DUKE」、そしてハスクバーナ「スヴァルトピレン125」といった多種多様なモデルがあり、近年は注目度がどんどんアップしています。
そんな中、他とはひと味違うデザインと高いスポーツ性を持っているのが「ヴァレーゼ125」です。これから到来するバイクシーズンに向けて、選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょう。
SWM「VAREZ 125(ヴァレーゼ125)」の価格(消費税10%込み)は49万5000円です。
【了】
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。