バイクもマリンも安全に楽しむにはルールが大事……だが!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.86~

バイク以外にマリンレジャーも楽しむレーシングドライバーの木下隆之さんは、マリン規則には不条理なことがあると言います。どういうことなのでしょうか?

バイクにはヘルメット、小型船舶にはライフジャケットが大事

 僕(筆者:木下隆之)は路上を走るバイク以外にも、海上で楽しむレジャーも好きである。海に出る時には、ライフジャケットを着用した方が安全であるのは道理であり、そのための規則も年々厳格化されてきている。

マリンレジャーを楽しむときはライフジャケットを着用する(イメージ)

 最近では、ボート(小型船舶)に乗る者すべてがライフジャケットを身につけなければならず、違反者には免許停止の可能性もチラつかせるほど法整備が進んでいる。

「海なんだから、はだかで泳がせろ」とはならないのである。

 それもそのはずで、海難事故は少なくない。海に放り出されると人は案外無力である。陸に上がった河童ならぬ、海にドボンした人間はまったく頼りない。クロールで100mを46.91秒(世界記録)で泳ごうが、水深124m(世界記録)まで素潜りしようが、大海原ではむしろ小魚よりも生命力がない。人は相当に無力なのである。だからこそ、よしんば落水してもプカプカしていられるライフジャケットは有用なのだ。

 だけどマリン規則で不思議なのは、ボートには定員数に相当するライフジャケットを装備せねばならず、それがボート個体専用でなければならない、そんな規定があることだ。

 つまりボートを購入したら、乗船定員の数だけライフジャケットを購入せねばならず、そのライフジャケットには船体名を記入しなければならない、とお上は仰せられる。そしてそのライフジャケットはその個体専用であり、ボートを買い替えたら、また新たにライフジャケットを新調しなければならないのである。

スポーツモデルに乗る時はフルフェイスタイプのヘルメットを着用する筆者(木下隆之)

 そもそもボートの乗船定員は、実質的な数値と乖離がある。乗船定員が12名だったら、実際はその半分の6名が相場だろう。定員人数で乗れなくはないが、乗ったら窮屈であろうという数字が乗船定員である。つまり、6名できつきつなのに、12名分のライフジャケットを船備しなければならない。それも買い替えのたびに毎度である。

 バイクを乗り換える度にヘルメットを新調しなけれはならないとしたら? ……こう考えれば、不条理である。船舶の規則はなかなか厳しいのである。愚痴でした(笑)

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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