正しいライディングスタイルがわからない!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.89~

レーシングドライバーの木下隆之さんは、教習所で指導されたバイクの乗り方を疑問に思っていると言います。どういうことなのでしょうか?

【雑記】トップライダーの走り方と、教習所で教わった乗り方

 バイクはそもそも2輪だから、停止状態では足で支えていなければその場で倒れる。走行中であっても、絶えずバランスをとる。ある程度の推進力が加わっていれば、倒れるより直立しようという力が働くが、極低速ではまったく直立しようとはしない。とっても意地悪な乗り物なのである。

MotoGP観戦でトップライダー達の驚異的なライディングに興奮!!

 だからライダーには抜群のバランス感覚が求められる。車体を下半身でガッチリとマウントし、マシンと同化したかのようなスタイルで走るのが正しい。さすれば、ヒラヒラと舞う姿は美しくもある。ニーグリップと呼ばれる方法はバイク乗りの基本型なのである。

「ニーグリップせい!!」

 限定解除の一本橋指南で、鬼教官がそう叫んでいたっけ。ただし、それって本当に正しいの? という疑問が、最近芽生えてきている。世界最高峰ロードレースMotoGPなどを観戦していると、必ずしもニークーリップが理想的だとは思えないのだ。

 カリスマ、V・ロッシも、世界王者M・マルケスも、日本の暴走族を真似たかのように足を広げる瞬間がある。さすがに直線では、空気抵抗を避けるために全身を畳んでカウルの中に小さく潜り込むが、ひとたびコーナーを前にすれば足を開き、挙げ句の果てにステップから足を離す。コーナリング中も同様で、内側の足はニッカホッカを履いた鳶職のようにすら思えてしまう。そして膝と肘、さらには肩まで(!)路面に擦り付けながら旋回している……。官憲のごとき鬼教官とて彼らに「ニーグリップせい!!」なんて口が裂けても言えない。

原付スクーターに乗る筆者(木下隆之)。バイクが何であれバランスは必要

 綱渡りだって玉乗りだって、バランスを取るために両手両足を広げる。体操の平均台だって、両手でバランスをとっている。絶えずバランスをとっていなければコケてしまうバイクで、両手はともかく足を開いてはならないという教えは本当なのか? ふと、疑問に思ってしまったのである。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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