バイクを降りて脱いだヘルメットのスマートな扱いって……? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.91~

レーシングドライバーの木下隆之さんは、ライダーたちが脱いだヘルメットを地面に置いて談笑する光景に疑問が生じたと言います。どういうことなのでしょうか?

気持ちの問題? 脱いだヘルメットをスマートに扱うこととは……

 かつて「将来のトップレーサーを夢見る性能豊かな青年」なる題材のTVドラマがあった。たしか主演はジャニーズの滝沢秀明だったと思う。レースシーンのロケ(撮影)は富士スピードウェイで行なわれており、僕(筆者:木下隆之)はその模様をたまたま見学していた。

バイクを降りて脱いだヘルメットはどう扱うのがスマートなのか?

 トップレーサー演じるイケメン俳優がマシンから降りる。演出的にはすぐに主人公の顔を撮らなければならないから、真っ先にヘルメットを脱ぐ。そして駆けつけた彼女と言葉を交わす……現場の監督らしき人はレースに精通しているわけではなかったようで、いかにもなベタベタ演出が続く。

 その時である、レース関係の監修を担当していた某レーシングドライバーの御仁が撮影を制して口を挟んだ。

「あの、滝沢くん。ヘルメットは地べたに置かないでくださいね」

 役者はセリフを回しており、脱ぎ終えたヘルメットを床に転がしていた。それが不自然だというのである。

 ごもっとも。我々レーシングドライバーは、ヘルメットを地べたに置くことは滅多にない。ましてや転がすなどご法度だ。頭部を守ってくれるヘルメットは大切にしており、丁寧に扱っている。

 注意された役者はすぐに謝り、ゴロンゴロンと転がっているヘルメットを拾い上げたのだが、門外漢にはヘルメットは特別な存在ではない、ってことを再認識した。

 なんてことが過去にあって、あらためて市井(しせい)のライダーを観察していると、意外と地べたに置く光景を見かけることに驚いた。ヘルメットを地べたに置いて(さすがに転がしてはいないが)、バイク談義に花を咲かせている。

 ライダーにとってもヘルメットは大切な保護帽であり、丁寧に扱うのかと思っていたが、それがそうでもないように見えた。

 となれば、サイドミラーに引っかける(被せる)のが正解なのか(内部構造への影響は)? シートの上に置くのか(高い位置から落下するおそれがあるのでは)? はたまたアゴ紐を締結してハンドルバーに逆さにぶら下げるのか? ライダーにとって脱いだヘルメットの最もスマートな扱い方ってなんなのか、気になるところである。

【了】

【画像】こんなヘルメットがあったのか!? 後方が見える「クロスヘルメットX1」(9枚)

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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