DCTを搭載するホンダ「レブル1100」に見た カスタム・スタイルの様々は可能性とは?

2020年12月にホンダの大型クルーザー「レブル1100」が日本市場に導入されました。優れた走行性を持つ同モデルはカスタムに対してどれほどの柔軟性を持っているのでしょうか。

「DCT」だからこその利点をフル活用

以前、当サイト(バイクのニュース)において、ごくごく簡単にホンダ「レブル1100」についてのライディング・インプレッションをお伝えさせて頂きましたが、やはり“アメリカン・クルーザーモデル”の醍醐味といっても過言ではないのが“カスタム”という行為でしょう。ここでは素材としてのレブル1100、その可能性を探っていきます。

ハーレーのスポーツスター・フォーティーエイトの全長2160mmと比較して、若干長めの2240mmとなるレブル1100。フロント周りのデザインは手を入れる箇所も少なく思えますが、リア周りはまだカスタムする余地がありそうです

 2017年に現行デザインのモデルが登場し、2020年には“日本バイクオブザイヤー”の軽二輪部門で金賞に輝いた「レブル250」ですが、2020年の12月にリリースされた“1100”はそのアニキ分的な存在。ゆえにシリーズを踏襲したデザインは中々によく出来たものなのですが、カスタムの可能性がゼロか? と問われればまったくそうではありません。

 ちなみに最大排気量モデルとなる1100では、一連のシリーズと異なりホンダ独自の技術による“DCT(デュアルクラッチトランスミッション)”が採用(DCTモデルのみ)され、「クラッチレバーがない」ことが特徴となっているのですが、ここは「ハンドルまわりを出来るだけシンプルにする」チョッパービルドの定石が見事にハマるポイントとなっています。

 ちなみにアメリカで生まれたカスタムカルチャーである“チョッパー”の素材、その多くは“ハーレーダビッドソン”をベースにしているのですが、同メーカーがクルマのように“アシでクラッチを操作し、タンク横のレバーでシフトを操作する”ハンドシフト・モデルを採用していたのが1972年のFLHまで(フットシフト・モデルのFLHFと併売)。

 それ以降はハンドルにクラッチレバーを装備し、アシでシフトチェンジする“今の一般的なバイク”と同じような操作系統に変更されたのですが、「車体を可能な限りシンプルにする」ことがオヤクソクのチョッパーの世界ではショベル・ヘッド以降も「あえてフットシフトをハンドクラッチに変更する」ことがひとつの定番となっています。

ジョッキーシフト化の一例(写真はヤマハSR)。操作が難しい、マニックなカスタムの一つです

 その中の一つでミッションケースに直接シフトレバーを装着し、競馬のジョッキーがムチを打つような姿で操作する「ジョッキーシフト」は、かなり操作が難しいマニアックなカスタムなのですが、この“レブル1100”の“DCT”なら、オールドスクールのチョッパー的な箇所にシフトレバー的なものを装着し、そこにシフトスイッチを取り付ければ操作が簡単な“未来型ジョッキーシフト”に変更出来るのではないか、という妄想が膨らみます。
 
 たとえばハンドル周りでシフト操作すべてを行う“DCT”の場合、ハイライザーやエイプハンガーを装着するとグリップ位置が遠くなり、運転しづらくなることが予想出来るのですが、このシステムならハンドル選択の自由度も広がりそうです。まぁ、速度に応じて勝手にシフトが変わる“DCT”の場合、そもそもそうしたことを考える必要はないのかもしれませんが、あくまでも“遊び心”のあるカスタムの手法、その可能性の提案のひとつと考えて頂ければ幸いです。

ドラッグレーサー風のスタイルとのマッチングも良好

 またハンドルにシフトボタンがあるという部分をあえて活かし、それを低めのドラッグバーやセパハンに合わせドラッグレーサーのエアシフターに見立てた上で、スイングアームを延長、前後サスをローダウンしたロー&ロングのカスタムもハマるかもしれません。

フリスコ・スタイルにうカスタムされたハーレーダビッドソン(製作は仙台のコズミック)

 更に付け加えて言えば、まるで燃料タンクの装着位置がフリスコ・スタイル(1960年代後半にアメリカのサンフランシスコ界隈で生まれたチョッパーの手法)のチョッパーのようなハイマウントに見える“レブル”シリーズの場合、たとえば先に述べたように高めのライザーに変更し、そこにドラッグバーやスーパーバーを装着したり、エイプハンガーにするだけでもチョッパー的な要素が高まりそうなのですが、やはりそうした場合に再考したいのがリア周りの処理。

基本的に250モデルのデザインを踏襲するゆえ、タイのK-SPEEDが製作したコチラのようなスタイルにもハマりそうなレブル1100。素材を活かした秀逸なデザインには唸らされます

 一連のレブルシリーズの場合、シート周りがループ状になっているゆえ、デザイン的な制約があるのですが、たとえばここはリアフェンダーをテールカウル状のものに換装したり、シート周りのフレームをカットすれば自由度が広がりそうです。ここら辺はタイのショップ、K-SPEEDがレブル250をベースに巧く処理しているのですが、“1100”でも、この手法は応用出来そうです。
 
 またハンドルとステップのポジション、フラットかつトルクフルな特性のエンジンを考えるとタンクをコンパクトなものに換装し、ハンドルやテール周りを変更すればダートトラッカーカスタムにもハマりそうですし、素材としての可能性は様々にあるでしょう。

ホンダ「レブル1100」筆者(渡辺まこと)

 過去を見るとデザイン的に完成度が高いヤマハV-MAXなどカスタムしづらい車種もありますが、どんなマシンがベースだろうとビルダーの創意工夫次第。レブル1100という素材の特徴を考えるとハイテックなスタイルがハマるとは思いますが、何はともあれ自由に楽しむのがカスタムの基本ではないでしょうか。レブル1100、カスタムの素材としても極上です。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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