30年前の鉄スクーターを新車で購入できる!? 2スト125ccエンジン搭載のヴィンテージストックを放出!
インドの巨大バイクメーカー「BAJAJ(バジャージ)」製の鉄スクーターを過去に輸入販売していた「CKデザイン」が、30年ほど前に新車状態でストックしていた車両を「Venus Roma 125」というモデル名で放出、販売します。
イタリアンテイスト漂う、インド製鉄スクーターのヴィンテージストック
バイクやクルマの旧車ファンの間で、イタリアの老舗スクーターブランド「ベスパ」や、かつて日本でも生産されていた「ラビット」(富士重工)、「シルバーピジョン」(三菱重工)などに代表される鉄製の外装を持つスクーターの旧車、いわゆる「鉄スクーター」も人気が高まっています。

ここに紹介する「Venus Roma 125(ビーナスローマ125)」もまた、鉄スクーターであり旧車になりますが、少し違うのは“新品で新発売される”という点です。
この車両を取り扱う「CKデザイン」代表の佐々木さんによると、1990年頃にインドの巨大バイクメーカー「BAJAJ(バジャージ)」から同社製の鉄スクーターを日本で輸入販売していましたが、当時のラインナップは「BAJAJ CLASSIC 100i」と「BAJAJ CLASSIC 150i」の2機種でした(排気量100ccと150cc)。
じつはその間に125ccモデルも存在し、30台ほど輸入していたのですが、それを当時の佐々木さんは「いまは売らずに保管しておこう」という不思議な直感が働き、木箱から開梱せずに倉庫へストックしたまま現在に至ります。
これは「デッドストック」と言っても意味は通りそうですが、その表現では「売れずに残った在庫」、読んで字のごとく「死に在庫」で「新品でも安く放出されるもの」となってしまいますので、ここでは「ヴィンテージストック」、いわゆる「新品未開封の状態で“販売せずに”保管していた貴重なもの」という表現が適切でしょう。

ちなみに「BAJAJ」のカタカナ表記には「バジャージ」や「バジャジ」、「パジャジ」などがありますが、佐々木さんは現地人が発する(早口で)「パジャジ」が近いと言います。
現在、世界最大のバイク市場となっているインドにおいて、「BAJAJ(Bajaj Auto Limited)」はインドを代表するバイクメーカーのひとつであり、常に生産販売シェアトップ3内に位置しています。またオーストリアのバイクメーカー「KTM」の筆頭株主でもあり、英国「トライアンフ」とグローバルパートナーシップの関係にあります。かつてはイタリア「ピアジオ」製品をライセンス生産していたという実績もあるのです。

1970年代からベスパの「ラージボディ」に憧れ、その後、様々な縁を経て「BAJAJ」との契約にこぎつけた佐々木さん曰く「いま新車で買える旧車はとても魅力的ではないか」とのこと。販売台数は30台限定で価格(消費税10%込み)は71万1700円となっています。
燃料タンクには混合燃料(ガソリン50に対してオイル1の割合)を注ぎ、エンジン始動はキック式、4段変速ギアはハンドル左のクラッチレバーを握り、グリップごと「コクン、コクン」と手前へ奥へと回転させてシフトチェンジ、重量物であるエンジンが後輪の車体右側にセットされているため、センタースタンドから降ろす際はバランスに気を遣うなど、近年のバイクには無い当時の特徴がそのまま表れます。
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アフターパーツも存在しない旧車の世界、鉄スクーターを所有するには「そういうもの」として受け入れることが大前提であり、また販売店についても、車両の魅力と旧車の世界を理解したショップに限られます。今回、メディア向けに小規模な発表会が行なわれた「モト・ビート シフトアップ」(神奈川県横浜市)も、佐々木さんと価値観を共有する販売店のひとつです。

CKデザインが30年の時を経て販売する「Venus Roma 125」は、2021年に新車で購入できる1990年頃に製造された鉄スクーターです。もちろん使用による劣化はありません。旧車に興味がある人にとっては朗報ではないでしょうか。
■CKデザイン「Venus Roma 125」(BAJAJ製)主要諸元
サイズ:全長1770×全幅770×全高1030mm
ホイールベース:1200mm
乾燥重量:92kg
燃料タンク容量:7.5リットル
タイヤサイズ(前後共通):3.50-10 4PR
前輪緩衝方式:片持ち式
後輪緩衝方式:スイングアーム式
エンジンタイプ:空冷2ストローク単気筒
排気量:123cc
最大出力:6.3PS/5200rpm
圧縮比:7.4対1
変速機段数:4速
点火方式:DC-CDI
始動方式:キック
潤滑方式:燃料混合
【了】