【MotoGP第8戦ドイツGP】世界戦に挑む中上貴晶選手 悔恨のタイヤ選択で13位

2021年6月20日にMotoGP第8戦ドイツGPの決勝レースがザクセンリンクで行なわれ、日本人ライダーとして唯一、MotoGPクラスに参戦する中上貴晶選手(ホンダ)は13位でフィニッシュしました。

バイクのフィーリングは良くなっている、後半戦にも期待

 MotoGPドイツGPの開催は2年ぶりとなります。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により開催されなかったため、2019年以来の開催となったザクセンリンクの決勝レースでは、マルク・マルケス選手(ホンダ)が優勝を飾りました。

ホンダのマシンを駆り、2021年シーズンのMotoGPクラスに参戦する唯一の日本人ライダー、中上貴晶選手(#30 LCR Honda IDEMITSU)

 マルケス選手は2019年までに6度ものチャンピオンを獲得してきたホンダの大エースであり、そしてまた、現在のMotoGPにおけるベストライダーの1人です。しかし、昨年初戦で負った右上腕骨の骨折により長期欠場を余儀なくされ、復帰した今季も万全ではない体の状態が続いていました。それがこのドイツGPで復帰後初めての優勝を挙げ、大きな注目を集めました。

 そのドイツGPで、日本人で唯一、2021年シーズンのMotoGPクラスに参戦する中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)は9番グリッドからスタートし、ポジションが上がらないまま13位でレースを終えています。週末を通して、バイクのフィーリングは悪くなかっただけに、悔しいレースとなりました。

中上選手は決勝レースでフロントにミディアムタイヤ、リアにソフトタイヤを選択

 決勝レース後、オンラインで行なわれた取材の中で、中上選手は「タイヤ選択を間違えました。(リアに)ミディアムタイヤを履くべきでした」と、レースを振り返りました。

 MotoGPでは、タイヤ選択がレースを左右する大きな要因のひとつです。そしてこのドイツGPの決勝レースで、中上選手はフロントにミディアムタイヤ、リアにソフトタイヤを選択していました。ソフトタイヤは走り始めのグリップは良いのですが、その分消耗が早い性質を持っています。

 レース中のタイヤの状況について詳しく話を聞くと、中上選手は次のように語りました。

「レース序盤、5周、6周目あたりまでは良かったんです。ただ、10周後には、タイヤのグリップが大きく低下して、もうアドバンテージがないことを悟りました。転倒しないように走るのがとても難しかったです。最後の10周は本当に難しくて、スローダウンしなければなりませんでした。きついレースでした。レース中、自分の決断にがっかりしていました」

レース序盤のペースは良かったという中上選手。序盤には少しの雨が降ったが、路面状況の大きな変化はなかった

 中上選手によれば、決勝日午前中のウオームアップ走行でフロントにミディアムタイヤ、リアにソフトタイヤを履いて走行し、そのときの感触が良かったがために、判断に迷いが出てしまった、ということでした。

 ただ、ドイツGP全体を振り返れば「(苦戦していた)ここ数戦と比べれば、バイクのフィーリングは良くなっていますよ」とも言います。惜しむらくはタイヤ選択、ということなのでしょうが、ドイツGPで得た自信は次戦につながることでしょう。

これまでに比べてバイクのフィーリングは良くなっていたという

 次戦、MotoGP第9戦オランダGPは、TT・サーキット・アッセンで2021年6月27日に決勝レースが行なわれます。オランダGPはシーズン前半戦の締めくくりとなるレースで、このあとは約1カ月のサマーブレイクに入ります。後半に弾みをつける結果を残したいところです。

【了】

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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