【MotoGP第18戦バレンシアGP】世界戦に挑む中上貴晶選手 最終戦を終えて振り返る2021年シーズン
2021年11月14日、MotoGP第18戦バレンシアGPの決勝レースがスペインのサーキット・リカルド・トルモで行なわれました。日本人ライダーとして唯一、2021年シーズンのMotoGPクラスに参戦する中上貴晶選手(ホンダ)は、転倒リタイア。ランキング15位で2021年シーズンを終えました。
最終戦は転倒リタイア、ランキング15位で2021年シーズンを終える
2021年シーズンMotoGP最終戦の舞台は、スペインのサーキット・リカルド・トルモです。今大会はホンダのファクトリーチームのライダーであるマルク・マルケス選手が前戦アルガルヴェGP前のオフロードトレーニング中に転倒し、これによって複視の症状が確認されたことで2戦連続の欠場となりました。また、同じくファクトリーチームのライダーであるポル・エスパルガロ選手も今大会のフリー走行(練習走行)3回目の転倒により決勝レースをキャンセル。ホンダは中上貴晶選手とチームメイトのアレックス・マルケス選手(ホンダ)のみが戦うことになりました。

中上選手は予選で9番手を獲得し、3列目から決勝レースをスタート。しかし、この日が引退レースとなったバレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)のすぐ背後を11番手で走行していた5周目の6コーナーで転倒を喫し、リタイアでレースを終えました。
バレンシアGPでも、中上選手は前戦アルガルヴェGPから抱えていたブレーキングエリアにかかわるバイクのバランスに腐心していました。このために、初日から「主な問題はブレーキングの安定性」と繰り返しています。レース後、中上選手に「転倒の理由はそのブレーキング・パフォーマンスだったのか」と聞くと、そうではなかったようです。
「転倒の理由はいくつかあります。レース後、チームとデータを分析しました。データで転倒前の周と比べると、ちょっとだけ進入スピードが速く、ちょっとだけバンク角も違っていました。プラクティス中と同じように走っていたんですけど。予想外の転倒だったので、かなりびっくりしました。もちろん、がっかりですよ。転倒でシーズン最終戦を終えることになってしまったんですから」

2021年シーズンを、中上選手はランキング15位で終えました。シーズン、そして各レースウイークともに波はありましたが、フリー走行や決勝日午前中のウオームアップ・セッションなど、度々トップタイムを記録してポテンシャルを示し、第4戦スペインGPでは4位でフィニッシュを果たしています。中上選手にとって、2021年はどんなシーズンだったのでしょうか。そう質問すれば、「とても、とても厳しいシーズンでしたね」と語りました。
「とくにシーズン後半は、何かがあるたび、起こっていることを理解するのはほんとに難しかったです。速く走れたセッションもあれば、様々な理由で転倒も多かった。どれだけきつかったのか、表現するのは難しいです。
でも、どんなときも常に最高のパフォーマンスを発揮しようとしていましたし、諦めませんでした。転倒しても常にプッシュし続けました。今季についてはすごく残念ですし、もちろん、チームにも申し訳ないです。でも、過去は変えられません。来季を見据えることが大事です。
11月18日、19日には2022年に向けたテストがあります。バイクに乗って、このきつかった時間を変えたいですね。そして、いいオフシーズンを過ごして、来季に備えたいと思っています」
中上選手は2022年シーズンを戦うため、そう語り前を向いていました。

また、バレンシアGPはロッシ選手のMotoGPライダーとしてのラストレースでした。今年42歳のロッシ選手はロードレース世界選手権に26年間にわたって参戦し、通算9度、最高峰クラスで7度のチャンピオンを獲得した、世界中で絶大な人気を誇る大スターです。ロッシ選手はバレンシアGPのレースを10位で終えました。
そこで、この日はロッシ選手の引退についても中上選手にお話を聞きました。
「バレンティーノは僕のアイドルみたいな存在なんです。彼と4シーズン、一緒に走れてとても幸運でした。誇りに思います。バレンティーノにはありがとうと言いたいし、彼の偉大なキャリアについておめでとうと言いたいです。彼と多くのレースを共有できてよかったと思います」

2022年シーズンも、中上選手は引き続きLCR Honda IDEMITSUからホンダのバイクでMotoGPクラスに参戦します。最高峰クラス5シーズン目の挑戦に注目です。
【了】
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

