バイクもクルマも「Z」がアツい!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.127~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクもクルマもイニシャル「Z」がアツいと言います。どういうことなのでしょうか?

往年の名車のオマージュに、青春の苦い思い出が甦る

 カワサキ「Z900RS 50th Anneversary」の抽選に漏れた知らせがあり、僕(筆者:木下隆之)は腰の力が抜け落ちた。どうしても購入したくて販売店に通いつめたのだが、願いは叶わなかった。大人になって「サクラチル」思いだ。

カワサキ「Z900RS 50th Anniversary」2022年2月1日発売。価格(消費税10%込み)149万6000円
カワサキ「Z900RS 50th Anniversary」2022年2月1日発売。価格(消費税10%込み)149万6000円

 ご存知「Z900RS」は、日本のバイクの歴史に燦然と輝く名車、1972年に北米デビューした通称「Z1」(900 super4)へのオマージュである。1969年後半、当時アメリカへの輸出を積極的に進めていたカワサキが、世界最速の座を4ストロークで狙うべく開発したのが「900 super4」であり、欧米の肝を抜くことに成功。スタイリッシュなデザインは彼らを魅了し、瞬く間に人気モデルへと昇華した。

 時に僕はバイク憧れの時期、1976年に二輪免許を取得した僕にとって「Z1」あるいは「Z2」は憧れの存在として君臨した。「いつかはZ1に……」と。

 時代は不思議なもので、「Z1」誕生から50年後の今、ネオレトロブームがやってきた。「Z1」を彷彿させる昭和のバイクが手に入る。高校生だったあの頃より多少は資金的に恵まれている。Z50周年記念モデルのひとつ、「Z900RS 50th Anniversary」を見て早速申し込みしたものの、あえなく落選……というほどの人気になってしまったわけだ。

 そしてスポーツカーの世界にも、同様な現象が起きている。最たるものが、日産「フェアレディZ」である。

日産「フェアレディZ」特別仕様車“Proto Spec”
日産「フェアレディZ」特別仕様車“Proto Spec”

 1969年に発売を開始した「フェアレディZ」もまた、アメリカを主な販売主戦場とした。クルマ文化先進国でも通用する性能とスタイルを盛り込んだ結果、およそ日本的ではないスタイリッシュなスポーツカーとなり一斉を風靡することになる。北米仕様が搭載するエンジンは直列6気筒2.4リッター。4気筒が常識だった時代には衝撃的だった。

 その「フェアレディZ」が2022年、モデルチェンジされて誕生。公開されたフォルムは1969年誕生のS30型の完全オマージュであり、フルコピーであることは明らかだ。全体のシルエット、フロントライトの処理、テールエンドの造形、現代の安全基準に合致させるために多少の違いはあるものの、エンブレムの書体などは当時のままである。

 つまり、バイクの世界では「Z1」の再来が話題になり、クルマの分野でも「フェアレディZ」が人気なのである。不思議なことに、ともにイニシャル「Z」である。

 なにやら不思議な感じもするが、これはもう不可解な不思議ではなく、当然の流れ、必然なのだろう。

 時代は無味乾燥としたEV時代に向かっている。その激流に抗おうとしている1960年生まれの、僕らのような昭和世代がいる。アクティブな階段を降りようとしているカウントダウン世代にもう一度活力を取り戻させるには、「Z1」であり「フェアレディZ」のリバイバルが都合良いのだ。

「サクラチル」とは大学受験の頃に聞いた知らせである。2つの「Z」は、そんな青春まで蘇らせてくれたのだ。

【画像】カワサキと日産の新型「Z」を見る(11枚)

画像ギャラリー

Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

編集部からのおすすめ

CB750Fにまたがって「バリバリ伝説」の世界をVR体験できる! バイク王がバイカーズパラダイス南箱根の7周年イベントに出展【PR】

CB750Fにまたがって「バリバリ伝説」の世界をVR体験できる! バイク王がバイカーズパラダイス南箱根の7周年イベントに出展【PR】

最新記事