最近ホンダ車によく搭載されているDCTとは一体何?
昨今、ホンダが販売するバイクには「DCT」というシステムが搭載されています。いったいどのような機能で、どのモデルに搭載されているのでしょうか。
最近ホンダ車に搭載されている「DCT」とは?
最近のホンダバイクの多くには、「DCT」というシステムが搭載されています。DCTとはいったいどのような機能で、どのモデルに搭載されているのでしょうか。
まず、DCTとは「デュアル・クラッチ・トランスミッション」の略称です。ホンダ独自のテクノロジーで、市販のバイクでは、2010年に世界で初めてスポーツツアラーの「VFR1200F」に搭載されました。その後、進化を続けながら「NC700シリーズ」や「TX700シリーズ」などに採用を広げています。
DCTの特徴は、マニュアルトランスミッションの構造のまま、クラッチ操作とシフト操作を電子制御で自動的におこなっている点です。そのため、ほとんどのスクーターに搭載されているベルトによる無段変速式(CVT)とは異なり、マニュアル操作に近い感覚で走行することができます。
つまり、ギア付き(有段ミッション)でありながらも、オートマチックの操作を実現し、これまでのバイクの概念を変える革新的な技術といえます。
DCTは、その名のとおり2つのクラッチ(デュアルクラッチ)を備えた構造となっており、奇数クラッチの1速・3速・5速・発進用クラッチと、偶数クラッチの2速・4速・6速用に分かれています。
シフトチェンジの際にクラッチの切られた前後のギアが待機状態となり、回転数に合わせて、瞬間的にギアチェンジを行うことで、伝達ロスを最小限に抑えることができます。
具体的な動作手順としては、まず1速(奇数ギア)に入ると2速(偶数ギア)が回転数に合わせて待機状態に入ります。回転数が上がると1速(奇数ギア)のクラッチが切られ、待機していた2速(偶数ギア)に切り替わります。
続いて、切り替わった2速(偶数ギア)の回転数に合わせて、前後の1速、3速(奇数ギア)が待機します。回転数が下がれば待機していた1速に変わり、回転数が上がると待機していた3速へ、スムーズにシフトチェンジを行う仕組みとなっています。
また、DCTは手元のスイッチを操作することで、「ATモード」と「MTモード」の2種類のモードに使い分けることができるのも、特徴のひとつです。
ATモードは、クラッチ操作不要でシフトアップとダウンを自動的に行います。そしてMTモードは、手元のシフトボタンで任意にギアチェンジを行うことができるなど、オートマチックの気軽さと、マニュアル操作に近い操作性を両立させています。
DCTのメリットとして、クラッチ操作がなくなるため、スロットルとブレーキの操作に集中することができる点が挙げられます。そのため、長距離ツーリングや渋滞などが楽になり、疲れにくくなる効果が期待できます。
また、マニュアル変速時に起こる駆動力の途切れが少ないことから、シフトショックを抑えることができるため、タンデム走行時の快適性が向上し、パッセンジャーへのストレスを軽減できる点も魅力のひとつです。
さらに、クラッチ操作を自動的に行うため、通常のマニュアル車よりも素早くシフトチェンジが行われ、なめらかな加速と減速が可能になります。加えて、マニュアルのバイクに近い操作感ながら、AT限定免許でも運転することができます。
では、ほとんどのスクーターに採用されている無段変速(CVT)とはどんな点が異なるのでしょうか。
CVTは、ギアが変速する明確な感覚の差は感じにくいですが、DCTではこのシフトアップ&ダウンの感覚がライダーにしっかりと伝わります。さらに、DCTは減速時でもしっかりとエンジンブレーキが効く感覚を感じ取ることができるなど、オートマチックでありながら、マニュアル車のような操作感を損なうことなく走行することができます。
DCTを搭載したホンダの車種
現在、新車で購入できるDCTを搭載したバイクには、どのようなモデルがあるのでしょうか。
ひとつ目の車種は、大型のスポーツツアラー「NT1100」です。排気量1082ccの水冷直列2気筒エンジンを搭載し、上質で快適なクルージングを楽しむことのできるモデルです。
純正アクセサリーには、フルフェイスのヘルメットを2個収納できる50?のトップボックスや、パニアケースなどが用意され実用性も申し分ない1台といえます。
ふたつ目の車種は、大型クルーザーモデルの「レブル1100」です。スタイルは兄弟車の「レブル250/500」を踏襲しており、低中速域を重視した排気量1082ccの水冷直列2気筒エンジンを搭載しています。
DCTをはじめ、最新の電子制御システムを充実させながらも価格が抑えられているため、コストパフォーマンスにすぐれたモデルとなっています。
3つ目の車種は、大型アドベンチャーモデルの「CRF1100L アフリカツイン」です。オフロードの走破性と長距離ツーリングの快適性を両立し、排気量1082ccのパワフルな水冷直列2気筒エンジンを搭載しているほか、MTモデルとDCT搭載モデルの選択が可能な1台です。
そして4つ目の車種は、ミドルクラスのアドベンチャーモデルの「NC750X」です。シーンを選ばない扱いやすさと走る楽しさを追求し、低中速域を重視した排気量745ccの水冷直列2気筒エンジンを搭載しています。
また、給油口をリアシート下に配置することで、タンク部分にヘルメットを収納できる、23Lのトランクを装備し利便性を高めています。こちらも、MTモデルとDCT搭載モデルの選択が可能となっています。
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DCTはクラッチとシフトの操作から解放され、自動変速でオートマチックのように快適に運転することができる機能です。また、MTモードに切り替えることで、マニュアル車のようにギアを選んで走ることも可能です。
バイクへの搭載は世界初となるホンダのDCTシステムは、マニュアルとオートマチックの特性を融合させた、革新的なトランスミッションといえるかもしれません。