バイクのエンジンは、バリエーションが楽しい!! ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.132~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクのエンジンはバリエーションが豊かだと言います。どういうことなのでしょうか?

クルマでは一般的な3気筒エンジン、バイクはちょっと違う

 4輪業界に身を置く僕(筆者:木下隆之)がバイクの世界に触れていると、エンジンバリエーションの豊富さに頬が緩む。リターンライダーとなり、まだ寒かった先日のウインターツーリングで集まった7台は、何も示し合わせていないのにすべて異なるエンジン形式だった。単気筒、縦と横のV型2気筒、水平対向2気筒、V型4気筒、並列3気筒。そして僕が乗って行ったカワサキ「Ninja ZX-25R」の並列4気筒である。

現行モデルの250ccクラスで唯一、並列4気筒エンジンを搭載するカワサキの人気モデル、「Ninja ZX-25R」シリーズ
現行モデルの250ccクラスで唯一、並列4気筒エンジンを搭載するカワサキの人気モデル、「Ninja ZX-25R」シリーズ

 クルマではこうはいかない。V型12気筒なんてバケモノも存在してはいるけれど、友人にそんなの転がしている裕福な奴はいないし、そもそも12気筒搭載のロールスロイスでドライブでもなかろう。V型8気筒も少数派である。たいがい6気筒か4気筒である。

 縦だ横だなんて変則技はない。というよりむしろ、とくにコンパクトモデルでの直列3気筒が勢力を伸ばしてきており、もはや“3気筒であらずはクルマであらず”なのだ。経済性に優れており、環境性能が叫ばれている昨今、3気筒でなきゃ白い目で見られるくらいのご時世だ。

 4気筒との比較でいえば、3気筒の環境性能は圧倒的に高い。シリンダーがひとつ少ないから、ピストンとの摩擦が4分の3、冷却損失も低い。コンパクトだから軽く小さい。部品点数も少ない。バルブのオーバーラップがないから排気干渉もない。理論上は、1気筒の排気量は500ccあたりがもっと高効率のようで、だから最近増殖中の1.5リッター勢は3気筒がほとんど。ダウンサイジングという大義名分で、3気筒が一大勢力になっているのだ。

 中でもトヨタの3気筒は徹底していて、120度等長爆発による振動や低回転域のゴリゴリサウンドなどお構いなしに、好燃費を連発する。ヤリスなどは実用で約35.0km/l走る。1トンの鉄の塊をバイク並みの燃費で走らせるのだから、クルマの3気筒は恐ろしい。

 だからさぞかしバイクの3気筒も経済性重視なのだろうと想像していたら、やっぱり嬉しいほどに裏切ってくれるのである。

 ヤマハ「XSR900」なんて、古いんだか最新なんだか判断つきかねる個性的なスタイルをしている。素材感がゴリゴリに迫ってくる。オーセンティックな雰囲気は、一周回って新鮮だ。

“ネオ・レトロ”スタイルが魅力的な、排気量845ccの直列3気筒エンジンを搭載するヤマハ「XSR900」(2020年型)
“ネオ・レトロ”スタイルが魅力的な、排気量845ccの直列3気筒エンジンを搭載するヤマハ「XSR900」(2020年型)

 搭載されるエンジンは、3気筒ならではの優れた低回転トルクを優先している。2気筒のゴロゴロサウンドではなく、4気筒ほど鼓動を捨て去ってはいない。ちょうどいい塩梅なのだ。聞けば、バイクの世界で3気筒エンジンは王道ではないという。クルマの3気筒は時代への迎合だが、バイクの3気筒は唯我独尊、我が道を行く。

 じつは、先日のウインターツーリングに参加した3気筒がまさにそれ。職業はカメラマン。かつてはサンデーレースを楽しんでいたそうだ。レトロな一眼レフのフィルムカメラで、パシャパシャと楽しそうに撮っていた。アーティストというか、美の世界にのめり込んでいた。バイクの3気筒乗りは、ちょっとセンスが良いな。

【画像】ヤマハ「XSR900」(2020年型)を見る(9枚)

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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