バイクの車名から想像する、開発者の想い ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.144~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、クルマやバイクの車名から、開発者が込めた思いを想像するのも面白いと言います。どういうことなのでしょうか?

車名には、開発者の想いが込められている

 ホンダ「レブル」シリーズが人気のようで、市街地でも高速道路でもよく見かけるようになった。そのスタイルはヤマハの「ボルト」やカワサキの「バルカンS」などのように、クルーザータイプ(かつては和製アメリカンとも?)だ。

ホンダ「Rebel 1100 DCT」
ホンダ「Rebel 1100 DCT」

 その名から連想できるように、どこかアウトロー的な悪(ワル)の香りが漂うと感じるのは僕(筆者:木下隆之)だけだろうか。このあたりはハーレーの世界観のように、タトゥーやピアスと親和性がありそうなのだが、いかにも和製アメリカンにはズシズシとした刺激と重みがある。

「レブル」の語源は何かと辞書を引いてみると「Lebel=反逆者」となった。「レブル 」ではなく「レベル」と読んでしまいそうだが、ともあれ、いかにもである。

 ヤマハの「ボルト」は電圧のボルトか? ビリビリと痺れる感じがイメージできる、と思ったら、英語表記は「Bolt」である。電圧は「Volt」だから、意外にもボルトとナットのボルトなのだ。確かにポスターには六角ナットがイメージされている。

 カワサキの「バルカン」は、パプアニューギニアのバルカン火山かバルカン砲(ガトリング砲の名前)をイメージしたに違いない。ローマ神話では「火山の神」。名は体を表すと言うから、印象はぴったりである。

 メーカーは自らが生み出したバイクを命名するにあたって、イメージを期待する。無数にある言葉の中から、雰囲気に合った車名を探すのは楽しくかつ苦労があるのだろう。

 ところで、ロールスロイスの車名にある統一性をご存知だろうか。

「ゴースト」
「ファントム」
「レイス」

 響きだけを聞くと、とてもスマートであり力強い印象があるが、実はその語源は不気味だ。

「幽霊」
「亡霊」
「生霊」

 これまでロールスロイスは、神秘的な名前を好んできた。音の無いものから命名していたのだ。圧倒的な静粛性を重ね合わせたのかもしれない。確かにキーンと鼓膜を突き刺すような静けさが、ロールスロイスには似合う。

ホンダ「Rebel 1100 DCT」と筆者(木下隆之)
ホンダ「Rebel 1100 DCT」と筆者(木下隆之)

 話が逸れたかもしれないが、名は体を表す。とかくアルファベットや数字の羅列を車名にする印象があるバイクの世界で、レブルやボルトやバルカンは、なかなかビートの効いた名称を語源としている。開発者が込めた思いを車名から想像するのも、楽しいものだ。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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