「東京国際フォーラム」バイク駐車場はすべて人の手で管理する安心水準
東京の代表的コンベンションホール「東京国際フォーラム」に待望のバイク駐車場が2022年7月1日に開業しました。東京駅周辺はバイク駐車場がほとんどない難所で、ここでの10台はまさに貴重。しかも安心感が他とは違う!
係員が事務処理を行ない、発券機や清算機はNG
「東京国際フォーラム」は旧都庁舎跡に、1997年に建てられた大型国際会議場です。東京と有楽町の駅間をまたぐ広大な敷地に、大型トラックも入庫可能な420台収容の地下駐車場を併設。2022年7月1日から受け入れ開始となったバイク駐車場は地下3階、出口料金所に最も近い場所に設置されました。

来場者は東京駅丸の内側と有楽町駅側の両方を利用できますが、車両の入庫は有楽町駅側から。駐車施設は入庫口から出庫口まで一方通行、バイクも矢印に従って進みます。入庫口からバイク駐車場のある地下3階までは、ほぼ一直線の下り坂です。
これまで施設運営会社がバイク利用を認めなかったのは、この広大な駐車場で四輪車との事故が起きることを恐れてのことでした。そのことも影響しているのでしょう、地上の入庫口では一旦停止を求められ「スピードを抑えて」「交差する車両に注意」など、事故防止と利用方法の説明があります。初めての利用では聞いておくべきでしょう。

東京国際フォーラムの駐車施設は、すべて乗用車用です。例えば、地下3階に降りるとゲートのある駐車券発券機がありますが、バイクで発券ボタンを押しても、ゲートは上がりません。有人で確認してゲートを開き、駐車券の発行はありません。後述しますが、入出庫時間登録、料金精算まですべて有人で行なうので、かなり駐車場の使い勝手が違うのです。
駐車場は9区画に分かれ、バイク駐車場は9区画にありますが、番号を探すより、とにかく出口(料金所)を目指して、ゆっくり外周を進みます。出口ゲートまで到着したら右折、その右側がバイク駐車スペースです。
駐車枠も広め、止めて安心の地下駐
バイク用は乗用車駐車場の一部を使い、区画線を新たに引き直して10台分を確保しました。デッドスペース利用ではないので、駐車がしやすいです。

規定上は幅1m、長さ2.5m以内の自動二輪車と原動機付自転車の駐車が可能。駐車枠にゆとりがあるだけでなく、枠外の転回スペースも広めです。満車状態の出庫時、他の駐車車両をかわすのに苦労する、ということも少なそうです。
2022年から都の施設へのバイク受け入れを小池百合子都知事が表明し、東京国際フォーラムは最初の事例となります。実施までの限られた時間も影響してか、いまのところバイク駐車のすべてがアナログです。
バイク駐車スペースには担当の警備員が駐在して入庫時間を記録。利用時間や料金の説明が記載されたB4サイズの利用案内用紙に記入し、これを駐車券として使います。
出庫は、バイク駐車スペースが清算機のすぐ近くなので、そこにある「駐車場管理事務所」に“歩いて”行き、利用案内用紙を提示して清算します。清算後に駐車しているバイクに戻るのは、駐車場が一方通行だから。ほんの10メートルほどですが、逆走による事故を防ぐためです。9区画を出て7区画で外周をショートカットして再び出口へ行くと、係員がゲートを開けてくれます。
バイク駐車スペースの満空情報も、こうした駐車スペースから地上入庫口の係員に無線で伝えられ、利用車を制限します。

つまり東京国際フォーラムは至るところに人の目があります。清算手続きなど面倒な部分はありますが、今時こんな至れり尽くせりの管理はありません。一般的な駐車場はほぼ無人なことが心配ですが、知る人ぞ知る超高額なヴィンテージ・バイクでも、ここなら盗難の心配は少なそうです。
さらに料金もお手頃です。100円/時間が基本料金で、5時間を超えて10時間までの駐車は上限500円です。10時間を超えた時間分は、再び基本料金で加算します。支払いはクレジットカード、ICカードに対応。利用時間は7時から23時30分まで。
都心を訪れた大型バイクが「止めて安心」の筆頭に挙げることができる駐車場です。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。