スズキの人気大型モデル「Hayabusa(隼)」の歴史に注目

スズキはこれまでにもさまざまなバイクを販売してきましたが、中でも代表的なモデルとして、「Hayabusa(隼)」を挙げる人は多いかもしれません。そんな隼は、どのような歴史を歩んできたバイクなのでしょうか。

スズキの人気モデル「Hayabusa」の歴史を振り返る

 国内のバイク四大メーカーのひとつでもあるスズキは、創業から今に至るまで、さまざまなバイクを販売してきました。中でも代表的なモデルとして、「隼 (以下、ハヤブサ)」を挙げる人は多いかもしれません。そんな隼は、どのような歴史を歩んできたバイクなのでしょうか。

スズキの代表的モデル「Hayabusa」
スズキの代表的モデル「Hayabusa」

 そもそも1996年の大型免許解禁時は、多くのライダーがそれまで主流だった400ccから大排気量のマシンにシフトしていき、ビッグバイクブームをもたらしました。

 そんな中、カワサキ「ZZ-R1100」は、優れた高速巡航性能で早くから高い評価を得ていました。その牙城を崩すべく、ホンダは「CBR1100XXスーパーブラックバード」を発売します。その結果、300km/hという超高速走行を目指した、激しい性能競争が繰り広げられていったのです。

 その両社の争いに真っ向から挑んだのが、スズキの「ハヤブサ」でした。

 スズキは「アルティメットスポーツ」をコンセプトに、1999年に初代「Hayabusa(GSX1300R)」を世に登場させます。

1999年に初代「Hayabusa(GSX1300R)」登場
1999年に初代「Hayabusa(GSX1300R)」登場

 スズキのリッターモデルはといえば、サーキット走行に特化した「GSX-R1100」がありますが、それに対し、ハヤブサはストレート最速に特化したマシンを目指し開発されました。最高速のために設計を一から見直し、流れるような独特なカウル形状のフォルムで空力抵抗を削減し、エアロダイナミクスを極めたのです。

 また、ライバル車が1100cc前後の排気量だったのに対し、ハヤブサは1298cc並列4気筒エンジン、最高出力175PSのパワーを誇り、ライバルを圧倒しました。ハイパワーエンジンと空力デザインに加えて、高い直進安定性能が融合され、あっさりと最高速度312km/hをマーク。この記録は、当時の量販市販車の最高速記録としてギネスに認定されたほどです。

初代〜3代目の「Hayabusa」
初代〜3代目の「Hayabusa」

 こうしてスズキは、他の追随を許さないハヤブサの性能を見せつけ、ライバル社との争いにピリオドを打ったのです。しかしその後、欧州で最高速度が問題視されたことで、300km/hの自主規制が引かれます。ほどなくスピードリミッターが導入され、初期型のハヤブサのスピードメーターも、350km/hまで表示されていたのが、300km/h表示に変更されました。
 
 また、海外市場専用モデルとして世界中で人気を集めたハヤブサは、日本にもかなりの台数が逆輸入され、しばらく大きなモデルチェンジがされないまま、販売が続けられていきます。

 しかし、初期モデルの登場から約9年の時を経て、2008年にフルモデルチェンジされます。正式名称は「Hayabusa1300」に変わり、初期型の長所を残しつつ2代目として進化しました。

2008年にフルモデルチェンジされた2代目「Hayabusa1300」
2008年にフルモデルチェンジされた2代目「Hayabusa1300」

 加えて、排気量も1298ccから1340ccに大きくなり、最高出力は175psから197psにアップしました。その他にも、内部機構パーツを一新し、インジェクションはデュアルスロットルバルブ&ツインインジェクター化され、パワー特性を3段階に選べるS-DMSも装備されたのです。また、スタイルや足まわり、フレーム剛性も一新され、速さだけでなく扱いやすさも配慮して大幅に改良されました。

2014年に国内販売を開始した2代目「Hayabusa1300」
2014年に国内販売を開始した2代目「Hayabusa1300」

 ハヤブサは初代の登場以来、逆輸入する形で日本国内に導入されてきました。しかし、2014年に日本の騒音規制が欧州と同等になったことで、欧州仕様車の日本での正規販売が可能となり、国内仕様の販売が開始されます。

 併せて、スペックは海外仕様と同等の最高出力197psとなり、国内二輪車で初めてETC車載器を標準装備し注目を集めました。

 そして2021年には、13年ぶりとなるフルモデルチェンジがおこなわれ、「Hayabusa」と名称を変えて3代目モデルが登場します。

2021年に13年ぶりとなるフルモデルチェンジがおこなわれた「Hayabusa」
2021年に13年ぶりとなるフルモデルチェンジがおこなわれた「Hayabusa」

 このモデルは、アルティメットスポーツを継承しつつ、あらゆる角度から改良が加えられました。また、エンジンは先代をベースにしつつも耐久性をさらに向上させ、より速くコントロールしやすいスポーツバイクとして完成度を高めています。

 この3代目ハヤブサの注目すべき装備のひとつが、「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」という最新電子制御デバイスの搭載です。

電子制御と組み合わさることで快適性を大幅にアップさせた新型「Hayabusa」
電子制御と組み合わさることで快適性を大幅にアップさせた新型「Hayabusa」

 主な機能として、パワーモードやトラクションコントロール、アンチリフトコントロール、エンジンブレーキコントロール、クイックシフトシステムなどを統合制御できるようになりました。加えて、総合的なバランスを進化させながらも、電子制御と組み合わさることで快適性を大幅にアップさせています。

 このように、20年以上の歴史をもつハヤブサですが、フルモデルチェンジのスパンが長く、これまで2回しかおこなわれていません。これはライバル車を圧倒した、初代モデルの完成度の高さが要因かもしれません。

Hayabusaラッピングを施された若桜鉄道の車両
Hayabusaラッピングを施された若桜鉄道の車両

 ちなみに、その他のハヤブサの歴史としては、2009年からおこなわれている毎年8月に開催されている「隼駅まつり」も挙げられます。これは、鳥取県八頭町にある若桜鉄道の「はやぶさ駅」がバイクの名前と同じことにちなんでおこなわれており、全国から2000台以上のハヤブサオーナーが集まるなど、町の活性化につながっています。

※ ※ ※

 最高速度312km/hを記録し、世界中のライダーに愛され続ける「Hayabusa」は、さまざまな魅力を持ったバイクといえます。これを深く知るには、実際にハヤブサを運転するのが一番の近道なのかもしれません。

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