パラモトライダーを支援するSSPとは? ~ハンディキャップがあってもバイクに乗れる~前編
バイクタレント兼こうのす観光大使・岸田彩美さんがサイドスタンドプロジェクト(SSP)について解説します。
パラモトライダーを支える「サイドスタンドプロジェクト」
こんにちは。バイクタレントの岸田彩美です。今回はサイドスタンドプロジェクト(以下SSP)について、どんな活動をしているのかお伝えしていきます。

青木3兄第として知られる宣篤選手・拓磨選手・治親選手は、過去にオートバイの世界最高峰レースである、WGP(World Grand Prix/現MotoGP)に参戦していましたが、拓磨選手はテスト中の事故で脊髄損傷のため下半身不随になりました。
SSPの活動は、2019年開催の鈴鹿8耐、MotoGP日本グランプリにて青木拓磨選手をもう一度バイクに乗せたいと動きだしたのがきっかけで始まったもので、新型コロナウイルスの影響でスタートは少し遅れてしまったものの、この取り組みを知った拓磨選手と同じような境遇の方から声があり、SSPを一般社団法人化。
当初は、パラモトライダーさんを対象として、過去に選手として走っていた方を受け入れていたそうです。
SSPは練習会も開催していますが、参加するにあたり必ずSSP専属の理学療法士さんが身体の状況や状態を診断した上で判断を下し、参加することが可能となります。
現在では、SSPの活動の輪がどんどんと広がり、ツーリングをしたことがある方や今までにバイクに乗ったことが無い方も受け入れるようになりました。また脊髄損傷の方だけでなく、義足を使用する方や腕が動かない方、さらに最近では全盲の方も参加しているそうで、延べ50人程のパラモトライダーさんがSSPにチャレンジしたそうです。

以前、埼玉県のファインモータースクールで練習会が行われた際に見学しにいきました。
一番初めに使用する車両は、KTM「DUKE 390」で、最初の一歩として補助車輪を付けた状態で走るところから始まります。
シフト操作は、左手のハンドルに取り付けられたスイッチの上下で行い、もし万が一の際にはリモコンでエンジンがストップできるような仕組みになっています。

足元のステップには自転車のビンディングペダルが取り付けられており、ライディングブーツにもそのペダルに固定できるようにクリートが装着されたものを使用。乗車後ベルトを取り付けて、身体とバイクをしっかりと固定させます。

パラモトライダーさんが着用しているヘルメット・ライディングウエア等はすべてSSPから借りる事ができ、様々なサイズが用意されていました。

ヘルメットには“B+COM”のインカムが取り付けられており、指示を受けながら走ることが可能です。また多くのボランティアスタッフさん協力のもと、安全を十分に確保したうえで練習を行います。
練習を重ね、補助車輪無しで走れそうだと判断が下されると、少し傾けることが出来る補助車輪に付け替えて練習をし、その次にもっと車両を傾けられるように補助車輪の角度を調整して走ります。最終的には補助車輪無しで走る方もいました。
教習所内で十分に練習し、次のステップに進むことが出来るようになったら袖ケ浦サーキットでの走行となります。先導車両のもと、サーキット走行を行います。ここでもしっかりと練習を重ねサーキットも十分に走れるようになった方のみ、最終目標であるアネスト岩田 ターンパイク箱根を貸し切り走行に参加可能となります。実はこの走行は、2022年9月11日(日)に開催され、大成功となりました。
次回はその様子をお届けしていきます。なお、ボランティアスタッフさんは絶賛募集中とのことですので、もしよろしければホームページより問い合わせてみてくださいね。最後までご覧いただきありがとうございました。
Writer: 岸田彩美
食べる事とインコが大好き。愛称:あやみん。2011年駒澤大学準ミスグランプリを取得後、ツインリンクもてぎのイメージガール、ツインリンクもてぎエンジェルを務めた。任期中に様々なバイクの楽しみ方に出会いその魅力に心を奪われた。トライアルデモンストレーション、MotoGP 日本グランプリでステージMCなどバイクのイベント出演や司会も務める。