バイクメーカーで異なる値付けが興味深い ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.172~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクメーカーごとに異なる、メーカー希望小売価格の値付けが興味深いと言います。どういうことなのでしょうか?

価格にはメーカーのイメージも反映されている?

 ヤマハ「YZF-R7」にまたがっちゃった僕(木下隆之)は、猛烈に欲しくなった。そのイケメンな姿は無条件にかっこいいし、攻撃的な走り味がハートに突き刺さったのだ。

ヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R7」のメーカー希望小売価格(消費税10%込み)は、100万円をわずかに下回る99万9900円という設定
ヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R7」のメーカー希望小売価格(消費税10%込み)は、100万円をわずかに下回る99万9900円という設定

 カタログをめくっていて興味深いと思ったのは、メーカー希望小売価格(消費税10%込み)が「999,900円」だったこと。ギリ100万円以下の値付けなのである。

 これは戦略的な設定だと想像するが、100万円ほどの高価な買い物に、わずか100円安いというのもなかろう。どうせなら「100万円ポッキリ」の方が潔いように思う。とは言うものの、100万円オーバーか、アンダーかは心理的な影響もあるのかもしれない。

 他のメーカーも調べてみたら、さすが、「漢(オトコ)」カワサキは潔い。100円単位は繰上げか繰下げされており、すべての価格で下三桁はゼロが並ぶ。1000円単位なのだ。数百円といった半端な数字は見当たらない。100万円以上もする高価なバイクを買うのに、100円玉をジャラジャラするのは沽券に関わるというわけかもしれない。

 スズキのバイクに関しては数百円単位が見られるが、一部生産終了モデル(在庫販売のみ)では数十円単位の「40円」という表記があった。なんとなくスズキっぽい気がする。

 不思議なのはホンダである。価格設定は緻密であり、きっちりと原価と利益率を掛け合わせて算出した気配がする。10円単位は見当たらないが、300円だったり400円だったり900円だったり……。キリの悪い数字が並ぶ。

 そりゃそうだ。ホンダはバイクの販売で世界最大手であり、ネジ1本の値段や生産工場の工数から正確に導き出す必要がある。100円をおろそかにすると数十億円の損失になる。

 とは言うものの、「スーパーカブ」シリーズになると、いきなりのザル勘定になる。いや、ザルではないのだろうが、「スーパーカブC125」が44万円、「CT125・ハンターカブ」も44万円、「ダックス125」も「モンキー125」も全て同価格の44万円なのだ。

ホンダの原付2種モデル「スーパーカブC125」をはじめ、「CT125・ハンターカブ」「ダックス125」「モンキー125」のメーカー希望小売価格(消費税10%込み)は、いずれも44万円になっている
ホンダの原付2種モデル「スーパーカブC125」をはじめ、「CT125・ハンターカブ」「ダックス125」「モンキー125」のメーカー希望小売価格(消費税10%込み)は、いずれも44万円になっている

 エンジンや一部シャシーを共用しているとは言え、姿形がこれほど変わればコストにも差があろう。マフラーの長さが変われば仕入れ価格も変化するだろうし、そもそもタイヤのサイズが極端に違うのだ。これで「どれでも44万円でどうぞ」とポップを立てられても、「ホントですか!?」なのである。

 ちなみに、同じシャシーとエンジンを使う「スーパーカブ110」と「クロスカブ110」は、はっきりと値段が異なる。「302,500円」と「363,000円」……6万500円も差があるのだ。「ん?」納得がいかない……。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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