いったいなぜそこに?高速道路トンネル手前の信号機のヒミツ

高速道路は基本的に信号機が設置されておらず、一般道路よりスムーズに通行できるのが特徴のひとつです。しかし、高速道路のトンネルを見てみると、なかには入り口上部に信号機が設置されていることもあります。この信号機はなんのために設置されているのでしょうか。

高速道路に信号機…?

 高速道路は、法定速度が一般道路よりも高く設定されているうえ、信号機や横断歩道がなく、比較的スムーズに通行できる道路となっています。遠方へ出かけたり、複数台でツーリングしたりする際に利用しているライダーも多いでしょう。

 そんな高速道路のトンネルの入り口上部には、信号機が設置されていることがあります。とくに、高速道路を初めて利用するライダーにとって、この信号機はかなり驚きの存在かもしれません。

高速道路のトンネルの入り口上部に設置されている「坑口信号機」
高速道路のトンネルの入り口上部に設置されている「坑口信号機」

 では、高速道路のトンネルに設置されている信号機には、どのような役割があるのでしょうか。

 高速道路のトンネルに設置されている信号機は、正式名称を「坑口(こうぐち)信号機」といいます。

 東名高速道路などを管理するネクスコ中日本の広報担当者によると、坑口信号機は「道路交通法第7条、道路交通法施行令第2条に規定される運用となっている」とのことで、管理や運用に関しては警察がおこなっているそうです。

坑口信号機は、高速道路のトンネルに設置が限定されたものとは限らない
坑口信号機は、高速道路のトンネルに設置が限定されたものとは限らない

 坑口信号機は、高速道路のトンネルに設置が限定されたものではなく、一般道路のトンネルでも設置されている場合があります。設置されているトンネルには基準があり、「長さが5km以上」「断続的に5km以上トンネルが続く道路」となっています。

 これらのトンネルでは、トンネルの後方の様子が入り口付近から視認しづらく、万が一、トンネル内で火災などが発生している場合でも、そのまま車両がトンネルに侵入してしまう可能性があります。

 坑口信号機は、そうしたトンネル内の危険を知らせるために設置されるものとなっているのです。

坑口信号機が赤だったらどうする?

 坑口信号機は、通常の信号機と同様に「青・黄・赤」のものもあれば、「黄・赤」の2色のものもあります。

坑口信号機は、通常の信号機と同様に「青・黄・赤」や、「黄・赤」の2色のものもある
坑口信号機は、通常の信号機と同様に「青・黄・赤」や、「黄・赤」の2色のものもある

 道路交通法第7条では「信号機の信号等に従う義務」として、「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない」との内容が定められています。

 さらに、道路交通法施行令第2条「信号の意味等」として、信号機の色の意味について記載されています。当然といえば当然ですが、道路を走行するうえで信号機のルールを守ることは非常に重要です。

 ライダー目線で改めておさらいしておくと、「赤色の灯火」では「車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと」とされており、バイクは停止線で止まる必要があります。

 そして、「黄色の灯火」では「車両及び路面電車は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く」とされており、赤色同様に停止することが求められます。

 最後に「青色の灯火」では「自動車、原動機付自転車、トロリーバス及び路面電車は、直進し、左折し、又は右折することができること」とされ、直進や右左折が可能な状態となっています。

赤色の灯火ならトンネルに入る前にバイクを停車させる必要がある
赤色の灯火ならトンネルに入る前にバイクを停車させる必要がある

 坑口信号機にもこれらのルールが適用されるため、赤色の灯火ならトンネルに入る前にバイクを停車させる必要があります。高速道路では速度域が高く、急に停車することが難しいため、あらかじめ信号機に注目しておくようにすると良いでしょう。

※ ※ ※

 高速道路のトンネルに設置されている坑口信号機には、トンネル内のトラブルを知らせる役割があります。通常、高速道路には信号機は設置されていませんが、この坑口信号機にしっかりと着目し、赤信号の際に誤って侵入してしまわないように気をつけましょう。

【画像】トンネル手前の信号機を画像で見る(6枚)

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