不動のホンダ「ダックス50」をプチレストア! グリップとシート表皮を交換して完成!!【vol.7】

前回までで車体周りや前後足周りのメンテナンスが完了しました。これでもう走り出せる状態にあるのですが、最後に細かい部分のリフレッシュ! グリップやシート表皮などを交換して、さらに完成度を高めます。

スロットル&ブレーキワイヤーの取り外し

 スロットル側のグリップは入庫したときからついていなかったので、純正新品を注文しました。

スロットル側のグリップは、入庫時からありませんでした
スロットル側のグリップは、入庫時からありませんでした

 といっても、このままグリップを装着するのではなく、せっかくなのでスロットルワイヤーとブレーキワイヤーへの注油をおこないます。

スロットルホルダーのボルトを緩める
スロットルホルダーのボルトを緩める

 まず、スロットルワイヤーを外すために、スロットルホルダー下部にあるナットを緩めます。

ブレーキレバーの取り外し
ブレーキレバーの取り外し

 続いてブレーキレバーの取り外し。根元にあるゴムカバーを外し、ボルトとナットを外します。共締めされているので、メガネレンチとプラスドライバーが必要です。

ブレーキレバーの取り外し
ブレーキレバーの取り外し

 ボルトを外すと油分が抜け切ってカラッカラ! ここはブレーキレバーの“軸”になるので、グリスが必要です。のちほどメンテナンスしましょう。

ブレーキワイヤーが外れない!
ブレーキワイヤーが外れない!

 ブレーキレバーを外しても、ブレーキワイヤーが引っ張られて取れません。

 ワイヤーにはテンションがかかっているので、ホイール側のアジャストナットを緩めなければいけないのです。

ホイール側のアジャストナットを緩める
ホイール側のアジャストナットを緩める

 というわけで、フロントドラムブレーキのアジャストナットを緩めます。

ブレーキワイヤーが外れました
ブレーキワイヤーが外れました

 はい、ブレーキワイヤーが外れました!

スロットルワイヤーの取り外し
スロットルワイヤーの取り外し

 続いて、スロットルワイヤー。

 スロットルホルダーを分解すると、外すことができました。

ワイヤー注油はフッ素オイルがおすすめ!

 ブレーキワイヤー先端に被せてある防水ゴムを外します。

 ワイヤーを引っ張って、中を少し確認しましたが、思った通り油分はゼロ……。カラッカラでした。ただ、ブレーキレバーを握っても気になる引っかかりはなく、見える範囲ではささくれなどもなかったので、今回は再利用します。

防水カバーの取り外し
防水カバーの取り外し

 ちなみに、純正スロットルワイヤーは廃番でしたが、ブレーキワイヤーはまだ購入可能。旧車の純正パーツ、特に消耗品は手に入るうちに買っておくのもひとつの手です。

 「オーナーが決まって、もし交換を希望されるなら、交換するつもりです」とナインゲート店主・細井さん。

ブレーキワイヤーへの注油
ブレーキワイヤーへの注油

 ワイヤーインジェクターをセットして注油します。

 ちなみにナインゲートで使用しているのはフッ素オイル。細井さん曰く「フッ素系はサラサラしていて、フリクションが軽くなるので、ワイヤーの動きが軽くなるのでおすすめです」とのこと。

 適量を注油したら、しばらく放置して馴染ませます。一般的なメンテナンスルブだと10~20分程度放置しますが、フッ素オイルは4~5分でOK。時間短縮できるのもおすすめのポイントだそうです。

ブレーキレバーのピボット部を洗浄
ブレーキレバーのピボット部を洗浄

 待っている間に他の作業をおこないます。

 パーツクリーナーでブレーキレバーのピボット部を洗浄。

ブレーキスイッチのメンテナンス
ブレーキスイッチのメンテナンス

 次に、ブレーキスイッチには接点復活剤を吹きつけます。

ブレーキレバーを磨く
ブレーキレバーを磨く

 ブレーキレバーがくすんでいるので、コンパウンドで軽く磨きます。

 このとき、“軽く”磨くのが重要! 磨きすぎるとピカピカになって、ショーモデルのようになってしまいます。今回はプチレストアの中古車を仕上げるのが目標です。

 あくまでも「ぼちぼちね」と細井さん。

ブレーキワイヤーのタイコにグリスを塗布
ブレーキワイヤーのタイコにグリスを塗布

 5分後、ブレーキワイヤーの防水ゴムカバーを装着し、タイコにモリブデングリスをつけます。

 モリブデングリスグリスは摺動抵抗が強く、多少なら水にも強い。もちろん潤滑性能も高いため、ワイヤーのタイコには最適だそうです。

ブレーキレバーの装着
ブレーキレバーの装着

 ブレーキレバーを装着。先ほどカラッカラだったボルトにも、モリブデングリスを塗布しました。

 モリブデングリスは高価なグリス。もし読者の皆さんが「持っていない」というのであれば、「何でもいいから、とりあえず手持ちのグリスを塗っておきましょう」とのこと。

 塗らないのが一番良くないことですよ!

フロントブレーキの遊び調整
フロントブレーキの遊び調整

 ブレーキの遊びの調整を忘れずに! ダックスはホイール側でのみ、調整可能です。

スロットルワイヤーへの注油
スロットルワイヤーへの注油

 スロットルワイヤーも同様に、ワイヤーインジェクターを使って注油します。

 先ほど、純正スロットルワイヤーは廃番だと書きました。社外品がありますが、見た目が変わってしまうし、まだ使えそうなので、今回は交換はせずに再利用することにしました。

グリップは挿入のタイミングが重要!

 スロットルワイヤーも4~5分ほど放置。その間に次の作業へと進みます。

 まず、スロットルパイプとハンドルの摺動部にテフロングリスを薄く塗布します。

スロットルパイプが摺動する箇所へグリスを塗布
スロットルパイプが摺動する箇所へグリスを塗布

 テフロングリスは薄くなっても流れにくく、雨にも強い。比較的長く成分が残るという特徴があります。また、普通のグリスだとアクセルが重くなりますが、テフロングリスは軽くなるのもメリットです。

スロットルパイプへボンドを塗布
スロットルパイプへボンドを塗布

 5分後。逆手順でスロットルワイヤーとスロットルパイプを装着します。

 スロットルパイプ表面とグリップ内側にボンドを塗布。細井さんのおすすめはコニシのボンドG17。定番ですね!

 塗ったあとにすぐグリップを挿し込むのではなく、しばらく放置するのがポイント。生乾き状態(手で触ってベタつくくらい)になったらGOサインです!

グリップの装着
グリップの装着

 グリップはねじらないように、端を手のひらで押し込むようにして一気に挿入! ボンドG17は速乾性なので、生乾きから完全に乾くまでが早いですよ。ここは焦らない、だけどスピード勝負です!

スロットル側のグリップ交換完了
スロットル側のグリップ交換完了

 スロットル側のグリップ交換がこれで完了! ノーマルグリップですが、真っ黒艶々でいい感じです。

左側のグリップ交換完了
左側のグリップ交換完了

 左側のグリップも油分が抜けてツルツル滑るので、純正新品に交換しました。

 作業手順は、基本的にはスロットル側と同じ。ただし、スロットルパイプがないので、テフロングリスは不要です。

ダックス50のシート表皮にはタッカーが打ち込まれていない!

 ダックス50のシートは後部に『HONDA』の文字がレタリングされていて良い雰囲気を出していましたが、破れていたので泣く泣く交換です。

シート裏の小物入れを取り外す
シート裏の小物入れを取り外す

 純正はないので、無地の社外品を使用します。

 シートの取り外しは、前方のボルト2本を外すだけ。

純正シート
純正シート

 簡単に外れます。

シート裏の小物入れを取り外す
シート裏の小物入れを取り外す

 シート裏側に小物入れがあるので、取り外します。現行車ではなかなか見られない凝った造りに感心します。

新品表皮のチェック
新品表皮のチェック

 用意した表皮を被せて、サイズなどが合っているかを確認。ノーブランドの社外品だと、たまに全然合わないことがあるのです。必ず古い表皮を外す前におこないましょう。

 今回は問題なく使用できそうです。

ツメで固定
ツメで固定

 一般的には表皮裏側に打ち込まれているタッカーを外していくのですが、ダックス50はベースからツメが出ていて、それに表皮を引っ掛けるタイプ。

 今も昔もあまり見ない珍しいタイプです。

 「さっきの小物入れといい、このツメといい、お金がかかっているシートですね~。表皮の交換はラクといえばラクそうだけど、慣れない分、大変といえば大変かも……」と、細井さんもやや困惑気味。

表皮が外れて、スポンジとシートベースが分離
表皮が外れて、スポンジとシートベースが分離

 表皮を剥がし、スポンジとベースを分離。

 スポンジはヘタリも少なく、問題なく使えそうです。

シートベースの状態をチェック
シートベースの状態をチェック

 対してシートベースにはサビがあって、割れも見られます。割れている部分は溶接で補修、サビもできる範囲で落とします。

シートベースの補修
シートベースの補修

見えないところもしっかり補修!

 まずは割れている箇所を補修します。ベルトサンダーで割れ周辺のサビや塗装を落とします。

シートベースの補修
シートベースの補修

 シートベースの鉄板が剥き出しになって、下地作りはOKです。

シートベースの補修
シートベースの補修

 割れている箇所を溶接します。

シートベースの補修が完了
シートベースの補修が完了

 くっつきました! 完全に割れていた「端っこ」だけでなく、割れが進行しないように「ヒビの先端」も予備的に溶接している点にも注目です。

スポンジに合わせて修正
スポンジに合わせて修正

 溶接をすると熱で多少変形してしまうので、スポンジを合わせて形を修正。最後にタッチペンで錆止めを施せば完了です。

サビ落とし
サビ落とし

 続いて、スチールブラシで大きな錆を落とします。

タッチペンでサビ予防
タッチペンでサビ予防

 ある程度サビが落ちたら、タッチペンを塗って終了です。

 シートベースは見えないところですが、見えないからこそ、普段はなかなか手を入れられない。だから、こうした機会にしっかり補修をしておけば、長く使い続けることができるのです。

前後をキメて、マメに確認!

 準備が完了したので、いよいよシート表皮を張っていきます。

表皮の仮止め
表皮の仮止め

 まずは仮止め。ざっくりと表皮を被せ、前側のパイピングの位置を合わせて、ツメをかけます。

表皮の仮止め
表皮の仮止め

 次に表皮をしっかり引っ張って、後ろ側のパイピングの位置を合わせてツメをかけます。

表側をチェック
表側をチェック

 前後を仮止めしたら、シートの表側をチェックします。パイピングの位置が最重要ポイント。ズレていたら、やり直しです。

表皮の装着
表皮の装着

 前後の位置がキマったら、次は横側。表皮をしっかり引っ張りながら、ツメに引っ掛けていきます。

 引っ掛ける順番は、前→後ろ→左側中央→右側中央→前と左側の中間点→後ろと右側の中間点、というように、対角線をキメていって、徐々に範囲を狭めていくのがベストです。

 失敗しないポイントは、マメに表側をチェックすること。1つか2つ、ツメを掛けるたびに表側を見る……面倒ですが、良いシートを作るためには必須です!

 また、スポンジのヘタリ具合による個体差もあるので、現物合わせが基本です。スポンジによってはパイピングの位置が合わないこともありますが、中間点を調整しながら、見栄え良く張っていきましょう!

シート表皮の張り替え完了!
シート表皮の張り替え完了!

 完成しました! 表面のシワは購入時の折り目。座っているうちに馴染みますので、気にしなくて大丈夫です。

ピカピカにする必要はない。だけど点サビは気になる

 最後の仕上げとして、くすんだフェンダーや点サビが見られるマフラーガードを磨きます。

点サビが見られるマフラーガード
点サビが見られるマフラーガード

 先ほども書いたとおり、やりすぎるとショーモデルのようにピカピカになってしまいます。もちろん、ピカピカにすること自体は悪いことではないのですが、そうするとピカピカにしていない箇所との落差が大きくて、なんだかチグハグな車体になってしまいます。

 今回は、あくまでも年式相応の見た目になるように、目立つサビなどを落とす程度に留めておきます。

ナイロンたわしで磨く
ナイロンたわしで磨く

 ちょっとした点サビなどはナイロンたわしでこすればOK。サビがどんどん落ちていきます。

コンパウンドとサンダーで磨く
コンパウンドとサンダーで磨く

 しつこいサビやくすみは、コンパウドとサンダーで処置。ここでついつい磨き過ぎてしまいますが、グッと我慢です(笑)。

サビが落ちて綺麗になったマフラーガード
サビが落ちて綺麗になったマフラーガード

 サビが取れて、綺麗なマフラーガードになりました! このほかにも、フェンダーやライトステーなども磨いて……ついに完成です!!

お店の駐車場で走りまわる細井さん
お店の駐車場で走りまわる細井さん

 嬉しくて、ついつい駐車場で走り回る細井さん。

 異音もなく、ブレーキもよく聞くし、タイヤもしっかりグリップ!! お世辞にも速いとはいえないけれど、それがまた楽しいのです。

 というわけで、長かったダックス50 プチレストア計画は終了。いよいよ次回は、完成した車両をじっくりとお見せしますよ!

【画像】ホンダ「ダックス50」プチレストアの様子を画像で見る(46枚)

画像ギャラリー

Writer: 佐賀山敏行

カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。

編集部からのおすすめ

無理せず引き出せる絶大な安心感! ブリヂストン「BATTLAX RACING STREET RS12」で味わう極上のハイグリップ【PR】

無理せず引き出せる絶大な安心感! ブリヂストン「BATTLAX RACING STREET RS12」で味わう極上のハイグリップ【PR】

最新記事