不動のホンダ「ダックス50」をプチレストア! グリップとシート表皮を交換して完成!!【vol.7】
前回までで車体周りや前後足周りのメンテナンスが完了しました。これでもう走り出せる状態にあるのですが、最後に細かい部分のリフレッシュ! グリップやシート表皮などを交換して、さらに完成度を高めます。
スロットル&ブレーキワイヤーの取り外し
スロットル側のグリップは入庫したときからついていなかったので、純正新品を注文しました。

ブレーキレバーを外しても、ブレーキワイヤーが引っ張られて取れません。
ワイヤーにはテンションがかかっているので、ホイール側のアジャストナットを緩めなければいけないのです。
ワイヤー注油はフッ素オイルがおすすめ!
ブレーキワイヤー先端に被せてある防水ゴムを外します。
ワイヤーを引っ張って、中を少し確認しましたが、思った通り油分はゼロ……。カラッカラでした。ただ、ブレーキレバーを握っても気になる引っかかりはなく、見える範囲ではささくれなどもなかったので、今回は再利用します。

ちなみに、純正スロットルワイヤーは廃番でしたが、ブレーキワイヤーはまだ購入可能。旧車の純正パーツ、特に消耗品は手に入るうちに買っておくのもひとつの手です。
「オーナーが決まって、もし交換を希望されるなら、交換するつもりです」とナインゲート店主・細井さん。

ワイヤーインジェクターをセットして注油します。
ちなみにナインゲートで使用しているのはフッ素オイル。細井さん曰く「フッ素系はサラサラしていて、フリクションが軽くなるので、ワイヤーの動きが軽くなるのでおすすめです」とのこと。
適量を注油したら、しばらく放置して馴染ませます。一般的なメンテナンスルブだと10~20分程度放置しますが、フッ素オイルは4~5分でOK。時間短縮できるのもおすすめのポイントだそうです。

ブレーキレバーがくすんでいるので、コンパウンドで軽く磨きます。
このとき、“軽く”磨くのが重要! 磨きすぎるとピカピカになって、ショーモデルのようになってしまいます。今回はプチレストアの中古車を仕上げるのが目標です。
あくまでも「ぼちぼちね」と細井さん。

5分後、ブレーキワイヤーの防水ゴムカバーを装着し、タイコにモリブデングリスをつけます。
モリブデングリスグリスは摺動抵抗が強く、多少なら水にも強い。もちろん潤滑性能も高いため、ワイヤーのタイコには最適だそうです。

ブレーキレバーを装着。先ほどカラッカラだったボルトにも、モリブデングリスを塗布しました。
モリブデングリスは高価なグリス。もし読者の皆さんが「持っていない」というのであれば、「何でもいいから、とりあえず手持ちのグリスを塗っておきましょう」とのこと。
塗らないのが一番良くないことですよ!

スロットルワイヤーも同様に、ワイヤーインジェクターを使って注油します。
先ほど、純正スロットルワイヤーは廃番だと書きました。社外品がありますが、見た目が変わってしまうし、まだ使えそうなので、今回は交換はせずに再利用することにしました。
グリップは挿入のタイミングが重要!
スロットルワイヤーも4~5分ほど放置。その間に次の作業へと進みます。
まず、スロットルパイプとハンドルの摺動部にテフロングリスを薄く塗布します。

テフロングリスは薄くなっても流れにくく、雨にも強い。比較的長く成分が残るという特徴があります。また、普通のグリスだとアクセルが重くなりますが、テフロングリスは軽くなるのもメリットです。

5分後。逆手順でスロットルワイヤーとスロットルパイプを装着します。
スロットルパイプ表面とグリップ内側にボンドを塗布。細井さんのおすすめはコニシのボンドG17。定番ですね!
塗ったあとにすぐグリップを挿し込むのではなく、しばらく放置するのがポイント。生乾き状態(手で触ってベタつくくらい)になったらGOサインです!

左側のグリップも油分が抜けてツルツル滑るので、純正新品に交換しました。
作業手順は、基本的にはスロットル側と同じ。ただし、スロットルパイプがないので、テフロングリスは不要です。
ダックス50のシート表皮にはタッカーが打ち込まれていない!
ダックス50のシートは後部に『HONDA』の文字がレタリングされていて良い雰囲気を出していましたが、破れていたので泣く泣く交換です。

用意した表皮を被せて、サイズなどが合っているかを確認。ノーブランドの社外品だと、たまに全然合わないことがあるのです。必ず古い表皮を外す前におこないましょう。
今回は問題なく使用できそうです。

一般的には表皮裏側に打ち込まれているタッカーを外していくのですが、ダックス50はベースからツメが出ていて、それに表皮を引っ掛けるタイプ。
今も昔もあまり見ない珍しいタイプです。
「さっきの小物入れといい、このツメといい、お金がかかっているシートですね~。表皮の交換はラクといえばラクそうだけど、慣れない分、大変といえば大変かも……」と、細井さんもやや困惑気味。

ある程度サビが落ちたら、タッチペンを塗って終了です。
シートベースは見えないところですが、見えないからこそ、普段はなかなか手を入れられない。だから、こうした機会にしっかり補修をしておけば、長く使い続けることができるのです。
前後をキメて、マメに確認!
準備が完了したので、いよいよシート表皮を張っていきます。

前後の位置がキマったら、次は横側。表皮をしっかり引っ張りながら、ツメに引っ掛けていきます。
引っ掛ける順番は、前→後ろ→左側中央→右側中央→前と左側の中間点→後ろと右側の中間点、というように、対角線をキメていって、徐々に範囲を狭めていくのがベストです。
失敗しないポイントは、マメに表側をチェックすること。1つか2つ、ツメを掛けるたびに表側を見る……面倒ですが、良いシートを作るためには必須です!
また、スポンジのヘタリ具合による個体差もあるので、現物合わせが基本です。スポンジによってはパイピングの位置が合わないこともありますが、中間点を調整しながら、見栄え良く張っていきましょう!
ピカピカにする必要はない。だけど点サビは気になる
最後の仕上げとして、くすんだフェンダーや点サビが見られるマフラーガードを磨きます。

先ほども書いたとおり、やりすぎるとショーモデルのようにピカピカになってしまいます。もちろん、ピカピカにすること自体は悪いことではないのですが、そうするとピカピカにしていない箇所との落差が大きくて、なんだかチグハグな車体になってしまいます。
今回は、あくまでも年式相応の見た目になるように、目立つサビなどを落とす程度に留めておきます。

嬉しくて、ついつい駐車場で走り回る細井さん。
異音もなく、ブレーキもよく聞くし、タイヤもしっかりグリップ!! お世辞にも速いとはいえないけれど、それがまた楽しいのです。
というわけで、長かったダックス50 プチレストア計画は終了。いよいよ次回は、完成した車両をじっくりとお見せしますよ!
Writer: 佐賀山敏行
カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。











































































