最新モデルはインジェクションが主流!? キャブレーターとの違いとは?
バイクのカタログを見ると燃料供給装置という項目があり、最近のモデルはインジェクションと記載されている事がほとんど。しかし、以前はキャブレーターが主流でした。両者は、エンジンにガソリンを送り込むという役割に変わりはありませんが、その違いは一体どこにあるのでしょうか。
インジェクションとキャブレーターの違い
バイクのエンジンにガソリンを送り込む役割を持つ装置には、インジェクションとキャブレーターという2種類が存在します。現在はインジェクションが主流となっていますが、その違いは一体どこにあるのでしょうか。それぞれのメリット、デメリットも含めて解説していきます。

エンジンを作動させるには、ガソリンと空気を混ぜた混合気を作り出し、シリンダーの中に送り込む必要があります。これにスパークプラグで点火して、爆発させることで動力を得ているのですが、この一番初めの行程であるガソリンと空気を混ぜる役割を果たすパーツには、大きく分けて2種類の形式が存在します。
具体的にはインジェクションとキャブレーター。インジェクションは比較的新しいモデルに採用されている現在の主流、キャブレーターは15年ほど前まで主流でした。つまり、中古車ではまだキャブレーター車が多く流通しており、どっちがいいのかと意見が割れる理由にもなっています。
そんな役割を同じくする2種類のパーツですが、その仕組にはどんな違いがあるのでしょうか。
それぞれのメリットとデメリット
まずインジェクションは、簡単に言ってしまえばスプレーのようなもの。電子制御でノズルから出るガソリンの量が、緻密かつ積極的にコントロールされています。
一方のキャブレーターはシリンダー内でピストンが下るときに起きる負圧によって、ガソリンが噴射される仕組み。キャブレーターの凄いところは、アイドリングから高回転、さらには加速時など、さまざまなパターンに合わせてアナログでガソリンの量を決めている点にあります。
では何故、キャブレーターはインジェクションにその役割を引き継ぎつつあるのでしょうか。

そのきっかけは排ガス規制で、冒頭で紹介した制御の緻密さに理由があります。
例えば2008年に姿を消したヤマハ「SR400」が、インジェクション化されて復活したのはいい例でしょう。
強化された排ガス規制をパスするには、効率よく、きれいに爆発を起こす必要があり、そのためにはガソリンの量をつねに最適に保つ事が重要。それはアナログ制御であるキャブレーターには不可能なレベルでの、電子制御による緻密なコントロールが必須で、インジェクションでないと実現できませんでした。
なお、コンピュータなどが必要になるためインジェクションのほうがコストは高く、キャブレーターのほうが安価。一方で、キャブレーターは定期的なオーバーホールが必要など、メンテナンスが必須な点もハンデとなっています。
キャブレーターに価格以外のメリットはないの?
では、キャブレーターにはメリットはないのでしょうか?

一般論として挙げられるキャブレーターのメリットが、ダイレクトな吹け上がりです。インジェクションの場合、電気で制御して作動しているため、ごくわずかですがアクセルに対してタイムラグが出てしまいます。
試しにインジェクション車でアクセルを細かく開けたり閉じたりしてみても、ブワーンという感じであまりキレはよくありません。しかしキャブレーター車で同じことをすると、ワンワンワンとレスポンスよく断続して吹け上がり、吸気音もアクセルにリンクして、豪快なものになることが多い為、キャブレーターが好まれる理由になっています。
また、カスタムやチューニングという点でもキャブレターのほうが簡単で、本体を交換したり、中に入っているジェットと呼ばれるガソリンの量を決めるパーツを交換するだけで、セッティングを変えることが可能。
インジェクションの場合はコンピュータによる電子制御なので、セッティングを変えるにはコンピュータのプログラムを書き換えたり、サブコンピュータを付けたりする必要があり、費用も手間もかかってしまい現実的ではありません。
というように、緻密な制御でエンジンの持ち味を最大限に引き出すインジェクション、そしてアナログならではの味わいが感じられるキャブレーターと、それぞれの持ち味は異なります。
冒頭でも触れたように中古車市場には、まだまだキャブレーター車が多く流通している現在は、どちらも選べるいい時期なのかもしれません。