通常の速度で走ってもいいの? 「徐行」標識のある道路の決まりを徹底解説

バイクで街中を走行していると、「徐行」標識があるにもかかわらず、交通量が少ないからと、見るからに徐行ではないスピードで走行する車両を見かけることがあると思います。この行為は、違反にはあたらないのでしょうか。

徐行とは何キロのこと?

 見通しの悪い交差点や道路の曲がり角、上り坂の頂上付近や急な下り坂付近では、「徐行」の標識を目にすることがあります。

 この徐行とは、道路交通法第2条第20号において「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう」と定められています。一般的にはおよそ10km/h以下、かつ1m以内で停止できるようなスピード」と規定されており、これはバイクだけでなくクルマなどでも同様です。

 しかし、徐行の標識があるにも関わらず、見るからに徐行ではないスピードで走行する車両を度々見かけるのも事実。

 徐行の標識が設置されている道路を、普通の速度で走行する行為は、違反にあたらないのでしょうか。

徐行の標識がある場所を徐行しなければ「徐行場所違反」
徐行の標識がある場所を徐行しなければ「徐行場所違反」

 警視庁交通相談コーナーの担当者は、徐行の決まりについて次のように説明します。

「もちろん徐行とされているところは徐行しなければならず、普通の速度で走ってしまうと徐行場所違反となってしまいます。ただし、徐行を何km/hまでとするかは、法律には定義されていません。そのため何km/h以上出したら捕まる、何km/hまでならセーフととお答えすることはできないものの、通説では10km/h程度が目安と言われています」

 つまり、徐行標識が設置された道路を普通の速度で走行すると「徐行場所違反」が適用されてしまうという訳。徐行場所違反とはその名の通り、道路標識などで徐行をすることが指定されている道路やその区間で、車両を徐行させずに走行する行為をさします。

 この違反が適用されると違反点数2点に加え、二輪車の場合は6000円、原付の場合は5000円の反則金が科せられる事になるので注意してください。

他にもある!? 徐行に関する決まりとは

 徐行に関連した規定はこれだけではありません。

 例えば、バイクやクルマを歩行者用道路で走行させることはできませんが、警察署長の許可を得ることで通行することができるようになる場合があります。ただし、許可を得ている状態でも、歩行者用道路は徐行する必要があり、もし徐行せず走行した場合は「歩行者用道路徐行違反」。前述の徐行場所違反と同様の罰則が科せられます。

雨天時などに水や泥を飛散させないよう徐行しなかった場合も違反となる
雨天時などに水や泥を飛散させないよう徐行しなかった場合も違反となる

 その他には、泥はね運転も徐行に関連した罰則のひとつとして挙げられます。

 道路交通法第71条には、「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。一、ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」と規定されています。

 つまり、雨天時や雨天後の道路を走行する場合、ライダーは歩行者に水や泥を飛散させないように、徐行しなければならないという訳。泥はね運転が適用された場合、違反点数は加算されないものの二輪車の場合は6000円、原付の場合は5000円の反則金が科せられる可能性があるため、注意してください。

 また、道路の左側部分に設けられた安全地帯のそばを通過する場合において、その安全地帯に歩行者がいた場合は徐行をしなくてはなりません。これを怠ると「安全地帯徐行違反」となり、前述の徐行場所違反と同様の罰則が科されます。ただし、安全地帯の中はそもそも通行してはいけないという点と、安全地帯に人がいない場合は、安全地帯のそばを通過する際に徐行の義務はないという点は覚えておくと良いでしょう。

工事現場などで見られる、標識ではない徐行の注意喚起は法的効力ないが危険な場所に変わりはないので徐行する事が重要
工事現場などで見られる、標識ではない徐行の注意喚起は法的効力ないが危険な場所に変わりはないので徐行する事が重要

 さらに、徐行標識が設置されていない道路を制限速度内で走行していても、交差点や横断歩道、見通しの悪い場所などを徐行せずに走行しなかったことが原因で事故を起こしてしまった場合も安全速度違反と見なされ、安全運転義務違反に該当する場合があります。

 安全運転義務違反が適用されると違反点数2点に加え、二輪車は7000円、原付の場合は6000円の反則金が科せられることになり、もし反則金を支払わなかった場合は3か月以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金が科せられることになってしまうので要注意。

 ちなみに、工事現場や通学路などに設置されている徐行の「看板」は標識ではないことから、法的な拘束力はありません。しかし、子どもが飛び出してきたり工事車両が頻繁に出入りしたりと、スピードを出していると危険であることに変わりはないので、慎重に走行するようにしましょう。

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