たまに見かける放置バイク…勝手に撤去してもいいのか?

マンションやアパートの入り口や駐車場、店頭などでは、放置されたバイクをたびたび目にすることがあります。実際、放置バイクの存在に長年悩んでいるという管理業者の人もいるかもしれません。では、私有地にある放置バイクは、勝手に撤去してしまっても問題ないのでしょうか。

迷惑な放置バイク!勝手に撤去しても良いのか

 マンションやアパートの敷地内や駐車場などでは、長い時間放置されたバイクを目にすることがあります。放置されているバイクは本来の駐車スペースを狭めるだけではなく、マンションの景観を損なったり、いたずらや盗難といった犯罪の温床になったりする可能性も捨てきれません。

放置されているバイクに困っているという管理業者・自営業者の人もいる
放置されているバイクに困っているという管理業者・自営業者の人もいる

 実際に数日、数週間どころか、半年にわたって放置されているバイクに困っているという管理業者・自営業者の人もいるかもしれません。では、私有地にある放置バイクは、勝手に撤去してしまっても問題ないのでしょうか。渋谷警察署の担当者は、次のように話します。

「警察の方から、こうしてくださいとおすすめすることはありません。ただ、私有地内に放置されたバイクについて警察に通報した場合、ナンバーから所有者の情報がわかることもあります。連絡がつけば警告はするのですが、公道ではないため駐車違反を適用することはできません」

 バイクが公道に放置されている場合は駐車違反が適用され、駐車禁止場所の場合は違反点数1点と6000円の反則金が、駐停車禁止場所の場合は違反点数2点と7000円の反則金が課せられます。また、バイクを駐車禁止の場所で駐車し、ライダーが車両から離れている場合は放置駐車違反が適用され、違反点数3点と1万円の反則金が課せられることがあります。

放置バイクの多くはマンションやアパートの敷地内、駐車場などで多くみられる
放置バイクの多くはマンションやアパートの敷地内、駐車場などで多くみられる

 しかし前述のように、放置バイクの多くはマンションやアパートの敷地内、駐車場などに見られます。つまり、こういった違反の適用外となってしまうことから、警察でもなかなか対応しづらい面があるのかもしれません。

 ただ、前述の警察署担当者は、次のようにも話します。

「実際に被害に遭われた方は、貼り紙などで警告をおこない、それでも数週間以内に移動されない場合は撤去したり、罰金を科すという内容が多いようです。また、被害に遭われた方達の多くは、警告をしてしばらくしたら施設の管理権に基づいて処分するなり移動するなり、何らかの対処をしているようです。

ちなみに、施設の管理権に基づいて放置バイクを処分、もしくは移動させた場合は窃盗にはなりません。警察の方にバイクの所有者から問い合わせがあっても、先に私有地に放置したのがいけないでしょう、というように案内をしています」

私有地に放置されたバイクである場合は管理権に基づいて勝手に撤去しても良い
私有地に放置されたバイクである場合は管理権に基づいて勝手に撤去しても良い

 つまり、私有地に放置されたバイクである場合は管理権に基づいて勝手に撤去しても良いというわけです。ただし、放置バイクが盗難車である可能性もあるため、すぐに処分してしまうのではなく、まずは警察に連絡し、盗難車であるかどうか確認してもらうと良いでしょう。

 盗難車ではないと確定した場合は、「〇月〇日までに撤去をしなければ処分いたします」といった警告文を貼り、しばらく様子を見ると良さそうです。また、前述のように私有地に放置されたバイクの処分は、警察などの行政では対応できないため、費用はかかってしまうかもしれませんが、放置バイクの処分を承っている業者に依頼すると良いかもしれません。

 なお、処分するのが勿体無いからといって自分のバイクにしてしまうと、元の所有者が現れた場合、「バイクを盗難された」と訴えられてしまい、遺失物横領罪として刑事事件に発展し、逮捕される可能性もあります。もし遺失物横領罪に該当してしまった場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金・科料の刑に処される可能性が高いです。

 また、窃盗罪として立件された場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金という厳罰が下る可能性もあるなど、「勝手に処分した場合」と「自分の利益になる扱いをした場合」とでは、扱いがまったく異なるというわけです。

※ ※ ※

放置バイクには、景観を損ねたり駐車スペースが圧迫されたりといったデメリットがあるため、早くなんとかしてしまいたい気持ちはあるかもしれません。しかし、まずは警察に連絡するなどして、慎重な判断をすると良いでしょう。

【画像】放置バイクの撤去方法を画像で見る

画像ギャラリー

最新記事