【MotoGP第7戦ドイツGP】怪我人相次ぐホンダ勢で唯一出走の中上貴晶選手、厳しいレースを14位で終える
MotoGP第7戦ドイツGPが2023年6月16日から18日にかけてドイツのザクセンリンクで行なわれました。ドイツGPのMotoGPクラスでは、ホンダのライダー4人中3人が負傷により欠場となり、ただ1人、中上貴晶選手が決勝レースに出走しました。中上選手は14位で決勝レースをゴールしています。
異例の状況、ホンダのライダーは中上選手のみに
MotoGPの2023年シーズン序盤、ホンダ勢は苦戦が続いています。そしてその状況は、第7戦となるドイツGPでも変わりませんでした。

前戦イタリアGPの負傷により、ファクトリーライダーであるジョアン・ミル選手とサテライトチームのライダーで中上選手のチームメイト、アレックス・リンス選手は欠場。さらに、もう1人のファクトリーライダー、MotoGPクラスで6度のチャンピオンを獲得してきたマルク・マルケス選手はドイツGPのレースウイーク中に合計5度の転倒を喫し、日曜日朝のウオームアップの転倒によって左手親指に小さな骨折を負ったことで、決勝レースを欠場しました。
このため、決勝レースに出走したホンダのライダーは中上選手ただ1人、という異例の状況となりました。
その中上選手自身も、金曜日のプラクティス2で転倒し、右手小指を痛めていました。攻めなければタイムが出ないが攻めれば転ぶ、という悪循環によって、ホンダ全体が満身創痍の状態です。

中上選手は予選で18番手となり、後ろから2列目よりレースをスタートしました。15周で行なわれた土曜日のスプリントレースは17位、日曜日の決勝レースでは14位。結果は厳しいものでしたが、中上選手はホンダ勢としてただ1人、第8戦ドイツGPまで欠場することなく参戦を続け、決勝レースではアメリカズGPを除いて完走し続けています。

中上選手はMotoGP.comのインタビューで「ホンダとしても自分としても厳しい状況でしたし、バイクのフィーリングも……」と、ドイツGPを振り返りました。
「もちろんベストを尽くして結果を望んでいましたけど、それだけのペースやフィーリングもなかったので、厳しいレースになるのはわかっていました。最後はなんとかグループで戦うことができて。もちろん14位という結果は望んでいないですけど、ゼロポイントよりは、いいですからね」

「現状、プッシュし過ぎると転倒して怪我をするリスクがあまりにも高いんです。残念ですけど、まずは一息ついて、今後に向けて改善策をチームともホンダとも出し合って、バイクを良くしていきたいです。次のアッセン、また頑張りたいです」
次戦、第8戦オランダGPは、6月23日から25日にかけて、オランダのTT・サーキット・アッセンで行なわれます。ホンダは復活の光を見出すことができるのでしょうか……。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。