【MotoGP第8戦オランダGP】中上貴晶選手、ペナルティを受けるも今季自己ベストリザルトを獲得
MotoGP第8戦オランダGPが、2023年6月23日から25日にかけてオランダのTT・サーキット・アッセンで行なわれました。MotoGPクラスの決勝レースで、中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)は今季自己ベストリザルトとなる8位でゴールを果たしています。
シーズン前半戦を、今季自己ベストリザルトでしめくくる
MotoGP第8戦オランダGPの決勝レースで、中上貴晶選手(#30/ホンダ)は好スタートを切ってレース序盤に順位を上げました。5列目14番手という後方スタートから、1周目に10番手に浮上。「すごくいいスタートが切れてトップ10以内に入っていたので、1周目は作戦を考えるのが楽でした」と、中上選手はレースを振り返ります。

その後もじりじりとポジションを上げ、レース中盤の10周目には7番手にまで浮上しました。しかしその後、ロングラップ・ペナルティ(※レース中、コース外側に設定されたエリアを通過しなければならないペナルティ。通常よりも大回りとなるため、ペナルティを消化すると数秒ロスのラップタイムとなる)を科されてしまいます。トラックリミットをオーバー(※コース外のグリーン部分にタイヤが触れること)したためでした。
痛恨のペナルティでしたが、中上選手は14周目にこれを消化。ポジションダウンをひとつにとどめ、8位でゴールしたのです。中上選手にとって、今季の自己ベストリザルトでした。
「(トラックリミットをオーバーしていたのは)リザルトを見たらセクター4でした。そこではいつもぎりぎり、紙一重のところを走っているので……。自分としては明らかに(グリーンに)触ったな、というのは1回しかなかったので、ちょっと複雑な気持ちではあります」と、中上選手は決勝レースで受けたロングラップ・ペナルティについて語ります。

「結果的には触ったということで、ペナルティを受けてしまったんですが。ちょっと残念ですね。6位になれたペースもあったんです。ただ、ペナルティを受けて8位。シングルでフィニッシュできました。全体のレースの感想としてはベストを尽くせたし、現状ではいいレースができたんじゃないかなと思います」
今季、苦戦が続くホンダ勢のなかで、シングルフィニッシュは健闘と言って良いでしょう。それほど、今のホンダは苦しい状況にあります。
改善の糸口を見出すべく、中上選手はオランダGPのレースウイークで、前戦ドイツGPに続きシャシーの比較を行なっていました。しかしそれらは、違いはあれど、劇的な改善をもたらすものではありませんでした。

「いま自分たちが抱えている問題は、車体、シャシーで全て解決することではないです。僕もそうコメントしているし、ホンダも理解しています」と、中上選手は土曜日の時点で明言しています。
今回については金曜日からテストしていた新しいセッティングと電子制御がうまくいったことがひとつの要因だったようでした。囲み取材に応じる中上の表情は、いつもよりも少し、明るく見えました。
「アッセンのレイアウトに助けられたところもあるとは思います。得意としているアッセンでしたから。でも、前向きにサマーブレイクに入れます」

シーズンはすでに前半戦を終え、MotoGPは約5週間のサマーブレイクに入ります。後半戦は、8月4日から6日にかけて、イギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれる第9戦イギリスGPから始まります。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。