【MotoGP第9戦イギリスGP】不安定な天候のなかMoto2小椋藍選手は16番手スタートから「期待通り」の8位フィニッシュ
MotoGP第9戦イギリスGPが、2023年8月4日から6日にかけてイギリスのシルバーストン・サーキットで行なわれました。Moto2クラスに参戦する小椋藍選手(#79/イデミツ・ホンダ・チームアジア)は、決勝レースを8位でゴールしました。
不安定な天候の中で組み立てたレース展開
MotoGPは約5週間のサマーブレイクを終え、イギリスGPから2023年シーズン後半戦に入りました。シルバーストン・サーキットでは不安定な天候のレースウイークとなりました。

金曜日はドライコンディション。Moto2クラスに参戦する小椋藍選手(#79/イデミツ・ホンダ・チームアジア)はフリープラクティス2で少しタイムが伸び悩んだものの、翌日に向けて改善点は見えていました。しかし、土曜日の予選Q2はウエットコンディション。さらに完全なウエットコンディションではなく、コースの一部は乾き始めているという中途半端な状況でした。元々雨を得意としていない小椋選手は、こうしたコンディションに苦しめられる形で、Q2では16番手となります。
「レインタイヤを履くのなら、しっかり濡れていたほうが僕は好きだったんですけど、いちばん難しい感じになってしまいましたね」
予選をそう振り返った小椋選手は、翌日の決勝レースに向けて「スタートがキモ」だと考えていました。

「16番手からのスタートなので、スタートでできるだけ頑張って(順位を上げたい)。最初の3~5周くらいである程度まで追い上げたあと、前はかなり離れてしまっているでしょうね。そこからは自分のレースとして良いものにできればな、と思っています。運が良ければ前がそんなに離れていないかもしれないし、という感じですね」
しかし、ドライコンディションとなった決勝レースは小椋選手の狙い通りとはいきませんでした。1周目は12番手に浮上したものの、レース中盤に入っても9番手を争っている状況。小椋選手は8位でゴールとなりました。
「スタートからいくつかポジションは上げられましたけど、問題はそのあとですね」と、小椋選手はレースを振り返っています。

「レース序盤は(チェレスティーノ・)ヴィエッティのほうが少しだけ速かったんです。そのあと(サム・)ロウズとヴィエッティとでやりあっていて、ミスしたり……。後半は自分のペースが周りよりも良くなったんですが、それが最後の5周くらいでした。レースが悪いというより、今週は組み立ての問題のほうが大きかったかな、と思います」
Moto2クラスで16番手からのスタートから8位でゴールというのは、決して悪い結果ではないでしょう。そう水を向ければ、小椋選手は「ドライ(コンディション)ではある程度良いペースだったので、順位が上がるのは分かっていました。期待以上ではなくて期待通り。“普通”のレースでした」ときっぱり。その表情は、納得のいかないレースだったと語っているようでした。

ただ、シーズン序盤の苦戦と今回のそれは違い、あくまでも組み立てが悪かっただけとのこと。重ねた経験を大きな糧として戦う小椋選手ですから、次戦ではまた、力強いレースを見せてくれるはずです。
次戦のMotoGP第10戦オーストリアGPは、8月18日から20日にかけて、オーストリアのレッドブル・リンクで行なわれます。
■Moto2クラスとは……
Moto2クラスはトライアンフ「ストリートトリプルRS」の3気筒765ccエンジンをベースに開発されたオフィシャルエンジンと、シャシーコンストラクターが製作したオリジナルシャシーを組み合わせたマシンによって争われる。2021年8月、トライアンフによるエンジン供給は2024年まで延長された。タイヤはダンロップのワンメイク。クラスとしてはMotoGPクラスとMoto3クラスの中間に位置する。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。