どう対処するのが最適? ツーリング中に免停になった場合の帰宅法
運転免許に関する罰則のひとつに「免許停止(免停)」があり、その名の通り免許の効力が停止され、しばらく運転することができなくなる罰則ですが、もしツーリング中に免停になってしまった場合は、どうやって帰宅すればよいのでしょうか。
ツーリング中に免許停止!?帰ってこられるの?
運転免許を持っている人は誰しも、交通ルールを厳守して公道を走行しなければなりません。そのため、交通違反をして取り締まりを受けたり事故を起こすと違反点数が加算され、一定の条件に達すると行政処分の対象となり「免許停止(以下、免停)」になることがあります。
そして免停になると、行政処分によって運転免許の効力が停止されてしまいます。
免停になる条件や停止期間は、過去3年間の違反点数の累積と前歴によって決まり、例えば前歴がない場合は累積が6点から8点で30日、累計が9点から11点で60日、累計が12点から14点で90日という具合です。
そして前歴の回数が増えるごとに免停になる違反点数が低くなっていき、免停の期間が延長される仕組み。なお、累積が15点以上になると免停ではなく、免許取消し処分になり、当該免許は永遠に使用できません。
では、もしもツーリングの最中に取締りを受け、免停になってしまったら、そのままバイクに乗って帰宅することは可能なのでしょうか。

実は交通違反で取り締まりを受けて免停処分が決まったとしても、すぐ免許の効力が無くなるわけではありません。実際に免許の効力が停止されるのは「免停通知書」が届いて、出頭して手続きをおこなってから。
つまり、仮にツーリング中に交通違反で捕まって警察から免停だと言われても、そのままバイクに乗って帰宅することが可能です。もちろん通知書が届いて出頭するまでは、いつも通りバイクを運転しても問題ありません。
ちなみに、免停通知書が送られてくるのは、交通違反をして取り締まりを受けた後、数週間から1か月程度。この免許通知書には、処分の内容によって「出頭要請通知書」と「意見の聴取通知書」の2種類があります。
まず出頭要請通知書は、免許停止の期間が90日未満の場合に送られてくる書類で、前歴がなく累積が6点から11点、または前歴が1回で累積が4点から5点の人が対象です。
通知書には出頭する日時と場所が記載されているので、紙面の内容に従って出頭手続きをしなければなりません。指定される出頭場所は管轄の運転免許センターが一般的です。

なお、通知書が届いてから出頭を無視しつづけると、罰金が科せられたり逮捕されたりする可能性もあります。通知書を受け取ったら速やかに手続きをおこなうようにしましょう。
通知書の指定日に出頭し、手続きを行った時点で免許停止処分が始まります。つまり、出頭した帰りは運転できなくなるので、公共の交通機関を利用するか、家族や知人にクルマで送り迎えをしてもらうなど、帰宅手段を確保しておきましょう。
出頭場所の運転免許センターに出向いたら、所定の申請書類に必要事項を記入したのち、運転免許証を提出します。申請書類をすべて提出すれば、免停の手続きは終了。免停中は期間満了になるまで、くれぐれも運転することのないよう、十分に注意してください。
意見の聴取通知書というのは、免許停止の期間が90日以上、または免許停止の処分の場合に送られてくる書類。前歴がなく12点から14点、または前歴が1回で6点から9点、さらに前歴が2回以上の人が対象で、科される処分が出頭要請通知書よりも重いので、公平公正に処分がおこなわれることを保障するために、事実確認などの手続きの説明が記載されています。
また、意見の聴取は、通知書に指定された日付と場所でおこなわれ、指定された日付を変更することは可能ですが、やむを得ない事情以外での変更は原則として認められていません。
出頭日には、通知書と印鑑、免許証を持参してください。意見の聴取が終わると、免許停止の日数が書かれた「運転免許停止処分書」が渡されます。この処分書が渡された時点で免停がはじまり、意見の聴取をした日が停止期間の1日目になるという訳です。

ちなみに、免停の処分が決まったあとに「免停講習」を受講することで、免許停止の期間を短縮することが可能。免停講習の受講は義務ではないため、自身の判断で受けるかどうかを選択することができます。
免許講習の区分は3つで、短期講習は免停期間が30日の人が対象。講習時間は6時間で、1日で終了します。
中期講習は免停期間が60日の人が対象で講習時間は10時間、2日に分けて受講。長期講習は免停期間が90日以上の人が対象で、講習時間は12時間ともっとも長く、2日に分けて受講する必要があります。
講習を受けて短縮される日数は、免停期間が30日の人で20日から29日、免停期間がもっとも長い180日の人で60日から80日。
なお短縮される日数は一律ではなく、試験の結果や受講中の態度などが加味されて決まります。
判定は優、良、可の3段階に分けられていて、成績に応じて免停期間が短縮される仕組み。例えば、免停期間が30日の人が優秀な成績を収めて「優」を取れば、29日短縮されて免停期間は1日で終わります。