【MotoGP第14戦日本GP】雨による赤旗終了の決勝レースで11位の中上貴晶選手「ひどい天気の中で待っていてくれたファンに感謝」
MotoGP第14戦日本GPが、2023年9月29日から10月1日にかけて、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行なわれました。中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)の母国グランプリ決勝レースは、11位でした。
強さを増す雨の決勝レース、赤旗終了で11位
前戦インドGPから連戦で行なわれたMotoGP第14戦は、日本GPです。もちろん、中上貴晶選手(LCRホンダ・イデミツ)にとっての母国グランプリとなります。しかし、中上選手は初日から苦しい走りを強いられました。予選のQ1、Q2の振り分けを決める初日午後のセッション、プラクティスでは18番手。Q2へのダイレクト進出を逃します。今季のホンダ勢の苦戦を考慮に入れたとしても、流れに乗れていないことがこの結果から分かります。

中上選手自身、初日を終えてまず「正直、かなり苦戦していますね」とコメントしました。「1回目を走ったとき、“なんでこんなことになっているんだ!?” という感覚だった」と言います。
「ブレーキングでのバイクバランスがとれていないんです。バイクが止められず、コーナーにも自信を持って入っていけない。バイクが止まらないのに加え、コーナーに飛び込んでいくときの姿勢がマッチしていないですね」
土曜日の予選も18番手。午後、12周で行なわれたスプリントレースでは17位フィニッシュ。順位を見ればほとんど変わっていないことから、大きな改善はないまま苦しい状況が続いていることがうかがえました。
実際に、土曜日を終えた中上選手は「ブレーキングの悪い状態から少し改善はできているんですけど、すごく良くなったな、という感覚までいけなかったので、それがタイムにも影響しました。スプリントの12周で、思うようなペースで走れなかったし、オーバーテイクもうまくできない状況でした」と語っていました。

また、土曜日にはもうひとつの問題が表出していました。ホンダが課題にし続けている、リアのエッジグリップ不足とそれによるスピニングです。ブレーキングでもコーナー立ち上がりでも苦戦し、ホンダのトップスピードはライバル陣営をしのぐものではありません。苦しい戦いを強いられたのは必然、と言っていいでしょう。
「スプリントでは特に、立ち上がりのトラクションでリアのエッジグリップがかなり不足していました。現状、手札も限られているし、その手札も弱い状況ではあります」
ところが、日曜日の決勝レースは状況がガラリと変わります。金曜日、土曜日は天候に恵まれ、暖かい気候の下、ドライコンディションでの走行だったのですが、日曜日、MotoGPクラスの決勝レースの時刻が近づくと、雨が降り始めたのです。

決勝レースは予定通り15時にスタートしましたが、スタート直後にマシンの乗り換えを許可するホワイトフラッグが提示され、ライダーたちはピットインしてレインタイヤを履いたマシンに乗り換えると、強さを増す雨の中、レースを続けました。
しかし12周を終えたところで赤旗が提示され、レースは中断。その後、終了となりました。
中上選手はそんな難しいコンディションのレースを、11位で終えています。

「赤旗になる数周前、いたるところでアクアプレーニングが起こって、ストレートではすごくスピンしていました。だから赤旗を待っていたんです。グリップを考えると、(赤旗のあと)どうやってリスタートするんだろうと思っていましたよ。コンディションは悪くなっていっていましたからね」
「とにかく、11位でフィニッシュです。最高の結果というわけではありませんが、全力は尽くしました。とてもポジティブなフィーリングで家に帰れます。チームにも感謝したいし、それから、日本のファンのみなさんにありがとうと言いたいです。こんなにひどい天気だったのに、みんなグランドスタンドで待っていてくれたんですから」
次戦MotoGP第15戦インドネシアGPは、10月13日から15日にかけて、インドネシアのプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットで行なわれます。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。