コーナリングに没頭できるスポーツ性に注目 ミシュランの最新スポーツラジアル「パワーGP2」試乗
ミシュランの最新スポーツラジアルタイヤ「パワーGP2」の性能について、ジャーナリストの伊丹孝之さんが検証します。
サーキットでも高い実力を発揮
ミシュランから新しいスポーツラジアルタイヤ「パワー6」と「パワーGP2」が発表されました。いずれも2024年1月25日から発売を開始。前回お届けしたパワー6に続き、パワーGP2のインプレッションをお届けします。

試乗はパワー6と同じく、栃木県内のテストコース「GKNドライブラインジャパン・プルービンググラウンド」にて行いました。今回の装着車両には、スズキ「GSX-S750」を選択し、従来製品である「パワーGP」と同一条件で比較。ハンドリング路、高速周回路、散水路のそれぞれで、その進化を体感することができました。

パワーGP2のポジショニングは、パワー6よりスポーツ指向で、パワーカップ2よりはストリートを重視しています。もう少しわかりやすく書くと、100%公道向けのパワー6と、90%サーキット前提のパワーカップ2の間に位置。公道とサーキットの走行頻度は、それぞれ50%ずつを想定しているのが、パワーGP2というタイヤのキャラクターです。
サーキット50%と聞くと、多くのライダーは「そんな性能、必要ないし」とか「走行会には参加することもあるけど、せいぜい年に数回だから」とおよび腰になるかもしれません。
実際、そのトレッドパターンはいかにも溝が少なく、ボイドレシオ(トレッド全体に対する溝の割合)は、6.5%とのこと。前回お届けしたパワー6が11%だったことを踏まえると、格段にグリップ重視、あるいはドライ路面重視であることはあきらかです。

しかも、フルバンク時に地面と接地するサイド部分は、完全に溝のないスリック状態。その見た目はいかにも本気度が高く、普通にライディングを楽しんでいる普通のライダーが敬遠したくなる気持ちもわかります。
もちろん、パワーGP2の限界性能は高く、ハンドリング路のようなコーナーで従来製品と比較すると、特にリアタイヤのグリップ力向上を誰もが体感できるはず。GSX-S750のエンジンはレスポンスよくスムーズに吹け上がり、早い段階からスロットルを開けられる出力特性ですが、12月の路面温度の元でもパワーを余すところなくトラクションに変換。車体をグイグイ押し進めてくれました。

ここでまた、「いや、限界性能だの、トラクションだの言われても関係ないし」と思うライダーもいるでしょうが、パワーGP2で語るべき点は、フルバンクに至る手前にあり、バイクを倒し込む際の手応えの軽さにあります。クリッピングポイントに向かって車体をリーンさせると、スパッとシャープに旋回を開始。軽快だけど、接地感はしっかり伝えてくる絶妙なバランスで、車重を意識することなく、右へ左へと切り返すことができるのです。
この特性は、大小様々なコーナーが続くワインディングでメリットになることは間違いなく、特にスーパースポーツとの相性は抜群にいいはず。テンションを高く保ち、目を三角にせずとも、気持ちよくコーナリングに没頭できるスポーツ性が魅力です。
安定感や大らかさという面では、従来製品のパワーGPに分があるものの、パワーGP2は特別な入力や操作を意識せずとも曲がってくれるイメージが強く、曲率が読みづらいコーナーでも持て余さない扱いやすさが好印象でした。

そしてもうひとつ。意識しないと言えば、ウォームアップ性能の高さもそうです。内圧やトレッド面の温まりを探らずとも、走り出してすぐに適切な接地感をライダーに伝達。グリップは高ければ高いほど、それを引き出すためのプロセスが多くなるものですが、パワーGP2はストリート向けタイヤの気兼ねなさと、サーキット向けタイヤのパフォーマンスを両立。その意味で、確かにそれぞれのステージを50%ずつカバーする性能を持っています。
さすがに排水性はパワー6に及びませんが、常識的な速度域ならある程度のバンクもスラロームも、強めのブレーキングも許容。ツーリング中の不意なコンディションの悪化にも対応するウェット性能が確保されています。
ある程度のキャリアを積み、ワインディングではこれまでよりスポーティな走りを楽しみたい。あるいは、年に数回はサーキットで愛車のパワーを引き出してみたい。そんなライダーの期待に応えてくれるスポーツラジアルタイヤが、パワーGP2です。

サイズはフロント1種、リア5種の展開で、リアには400cc~650ccのミドルクラスにも対応する160/60ZR17も用意。オープン価格で、すでに販売が始まっています。
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。


















