やっぱり楽しい内燃機関、2つの英国ブランドに乗る ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.229~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、英国ブランドのトライアンフとロータスは、どこか似ているような気がすると言います。どういうことなのでしょうか?

高級感漂う装いに、刺激的な獰猛さ

 これまで経営的な浮沈を繰り返してきたロータスですが、このところ安定していると言えます。それまでのロータスは、レーシングカーにお情け程度の快適性を与えただけの超スパルタンなしつらえが個性でしたが、最新の「エミーラ・ファーストエディション」は、どこからどう見てもスーパーカーには違いない雰囲気を醸し出していながら、高級感を盛り込んでいるのが特徴のようです。

トライアンフ「SPEER TRIPLE 1200 RR」、ロータス「EMIRA FIRST EDITION」と筆者(木下隆之)
トライアンフ「SPEER TRIPLE 1200 RR」、ロータス「EMIRA FIRST EDITION」と筆者(木下隆之)

 とは言うものの、軟弱なスーパーカーに成り下がったワケではありません。搭載するエンジンはV型6気筒3.5リッタースーパーチャージャーであり、最高出力は405psに達します。

 ユニットは長年関係のあるトヨタのそれですが、トヨタ的な薄味に甘んじることはなく、ロータスが味付けするとここまで刺激的になるものかと、試乗した僕(筆者:木下隆之)は腰を抜かしたくなるほどスパルタンな印象を受けたのですから驚きです。

 コクピットに座った瞬間、コイツがただ者ではないことを想像させますが、その印象は走らせてもまったくブレません。右足がアクセルペダルに触れた瞬間に、回転計の針は狂ったように跳ね上がります。ビュンビュンと反応する様は尋常ではありません。右足に神経を集中させていないと、ボディが前後に揺すられて不快になるほどです。

 そのフォルムから想像するほど、直進性は良くはありません。天地を押しつぶしたようなハンドルをギュッと握り締めていないと、まっすぐ走らせられません。コーナリングしたくてウズウズしているかのような、かつてのミッドシップらしく、獰猛な性格を露わにしているのです。そうです、エミーラはミットシップなのです。

 ロータスのコメントによると、エミーラは最新にして最後の内燃機関モデルだそうです。まさかロータスのフルEV化戦略が成功するとは想像ができませんが、エミーラがとびきりガソリンエンジンらしいのは、ロータス内燃機関の集大成としての思いがそうさせているのかもしれませんね。

 今回エミーラの試乗に同行させたトライアンフ「スピードトリプル1200RR」もまた、ロータス同様のイギリス原産になります。左右にうねるようなワインディングに恵まれたイギリスは、軽快なフットワークが好まれる傾向にあります。ゆえにロータスやミニといったヒラヒラした走り味を信条とするモデルが誕生したワケなのですが、トライアンフも同様に、軽快なコーナリング特性が自慢のようです。

「スピードトリプル1200RR」はカフェレーサースタイルであり、排気量1158ccの水冷並列3気筒DOHC12バルブエンジンを搭載し、またがってみると前傾姿勢を強制されます。

 最高出力132kWのエンジンは超絶爆発的に反応します。搭載される電子制御のライディングモードをもっともスローな仕様に切り替えても、わずかなスロットル操作でノーズが持ち上がるのではないかというほど急激にトルクを立ち上げます。

 さらに優しいレインモードにしても過激です。走りの魂がぎゅうぎゅうに詰まっているのです。

 ちなみに「スピードトリプル1200RR」の生産は終了しているようです。これを最後に内燃機関と縁を切るロータスと、どこか似ているような気がするのは僕だけでしょうか……。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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