WRCに勝利するために!途方もない速さとパワーを持って生まれた”悲劇のマシン”日産「パルサーGTI-R」とは
筆者(木下隆之)は、パルサーGTI-Rの開発に携わっていた!
実は、当時日産契約ドライバーだった僕は、このマシンの開発に携わっていました。発売前の2年間、人目を避けた山の中で徹底的に走らせたのです。

インタークーラーは横置きです。本来ならばラジエターの前に風を受けるように組み込むのが冷却の点で効率が良いのですが、パルサーの開発途中で立ち上がったプロジェクトだったためにそれもままなりませんでした。
ですが、ボンネット内の巨大なインテークはパルサーGTI-Rの力瘤のような迫力があります。それがアイキャッチになっています。
リアの巨大な、鷲が羽ばたくようなウイングも、パルサーGTI-Rが実戦で戦うことを前提にされていたことを語ります。
タイヤは195/55R14インチでした。グループA規定では、タイヤハウスを改造することができず、従って市販車とほぼ同等の外径で走ることになりました。ですので、ライバルが15インチのタイヤを履くのに対してパルサーGTI-Rは小径の14インチです。大径のブレーキを組み込むこともできずに、その点でも不利だったのです。

それでも1991年のWRCスウェデッシュラリーでは3位表彰台に登っています。最大のターゲットだったサファリラリーでの勝利を逃しました。善戦したといえるかもしれません。
ちなみに、改造範囲の狭いグループNクラスでは年間チャンピオンに輝いています。強力なパワーユニットが炸裂すると、途方もない速さを披露したのです。悲劇のマシンと言われましたが、日産の歴史を刻んだマシンとして今でも根強いファンがいるのも確かですね。
◾️日産「パルサーGTI-R」
<エンジン>
形式:SR20DET
種類:水冷直列4気筒DOHC16バルブICターボ
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
総排気量(cc):1998
圧縮比:8.3
最高出力(ps/r.p.m):230/6400
最大トルク(lg-m//r.p.m):29.0/4800
燃料供給装置:ニッサンEGI(ECCS)
燃料タンク容量(リットル):50
<寸法・定員>
全長(mm):3975
全幅(mm):1690
全高(mm):1400
ホイールベース(mm):2430
乗車定員(名):5
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。














