新型トライトンは、バイクで言うならアドベンチャー系? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.234~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、三菱の新型トライトンは、バイクで言うならアドベンチャー系ではないかと言います。どういうことなのでしょうか?
クルマもバイクも、タフなキャラが人気?
泥沼のような湿地帯や、熱く乾いた砂漠など、道なき道の踏破性を武器にするクロスカントリートラックは健在です。荷物を積んで商品を届けるといった商用的な活用だけではなく、キャンプや釣りを楽しむアクティブ層のレジャーの足としても、荷台のあるピックアップトラックは人気なのです。

新型になってこの春に登場した「三菱トライトン」もそれです。ピックアップトラックのカテゴリーでの一番人気はトヨタ・ハイクラックスですが、トライトンも世界150カ国で販売されています。南米の数カ国ではNo.1シェアだと言いますから、道路環境の悪い国では特に人気のようです。
ハシゴ型ラダーフレームならではのタフな操縦性と、三菱のお家芸である四輪駆動力制御を武器に、王者ハイラックスの牙城に迫り、虎視眈々と開発を進めています。
そんなトライトンですから、悪路踏破性や耐久性に不満があろうはずはありません。ですが、新型になったトライトンの最大の特徴は、乗り心地にあるように僕(筆者:木下隆之)は思えました。
ハシゴ型ラダーフレームは、ダンプカーやトレーラーに採用されていることが証明するように、頑丈なフレームです。しかし乗り心地には難があります。乗用車がハシゴ型フレームではなく、ボディ全体をカプセルのように包み込むモノコックフレームを採用しているのは乗り心地を優先しているからです。
しかもトライトンのサスペンションには、一般的なコイルスプリングではなく、リーフスプリングを採用しています。日本語では板バネと呼びます。金属の板を積み重ね、その反力でバネの効果を生むタイプです。
これにも利点と欠点があります。荷台に重量物を積載するには、コイルスプリングでは限界があります。トライトンは荷物を積むことが最大の使命であるピックアップトラックですからリーフスプリングを採用していますが、やはり乗り心地は悪化します。ピョコピョコと飛び跳ねるのです。
ところが新型トライトンは、ハシゴ型ラダーフレームとリーフスプリングを組み合わせているのにもかかわらず、操縦性と乗り心地がとても良いのです。都会を闊歩するSUVほど優しくはありませんが、これまでのようにオンロードのドライブで閉口することはありません。
フレームとスプリングを新設計したことでそれが実現したとのことで、荷物を積んで運ぶという”働くクルマ”でもあり、キャンプ道具を満載して旅に出る”レジャーの足”でもあります。乗り心地が良いことに越したことはありません。
バイクの世界では、アドペンチャー系が人気です。オフロードでの踏破性にも優れていながら、ロングツーリングもこなします。ライダーの視点が高いことや、サスペンションストロークが豊かなこと、あるいはバイクといえども積載性に優れていること、それらが理由で、長距離移動の旅を楽しむライダーにも人気のようです。
トライトンもそれと同様に、荷物を運ぶだけの機能から脱して、日本を旅して巡るのにふさわしいピックアップトラックのように思えます。
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。




