不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア! いよいよエンジンを始動します【vol.14】

果たして5速ミッション組み換えビッグバルブ化エンジンは無事に動くのか?

 まずはエンジンオイルを規定量入れ、プラグを外してキックペダルを蹴ってシリンダーヘッドにオイルを回します。ついでに外したプラグをプラグキャップに差してヘッドに当てて確認をすると、バチバチと力強く火花を飛ばしました。

 プラグを戻してタンクに最低限のガソリンを入れ、コックをリザーブにして流れ込んだガソリンが、キャブレターのフロートバルブを閉じ、ガソリンが漏れない事を確認。

 そしてチョークを引いて数回キックをすると、早速かかりそうな気配がするも、キックで息が上がってきたのでセルボタンをプッシュすると、あっさりエンジンが始動!

 チョークを戻して数回アクセルを煽ってみると、なかなか迫力ある音が!と言うか凄く音がデカイ。レスポンスよく高回転まで軽く回って、調子はいいのだけど回転が落ちるとアイドリングせず、そのまま止まってしまいました。

 エアスクリューを絞って再始動すると、今度はアイドリングで止まる事は無かった上に、鋭いフケ上がりが心地良く、思わず顔がニヤけてしまいました。

 その後はセンタースタンドを立てたままクラッチを握り、1速から5速までシフトアップ。1速までシフトダウンしてニュートラルと、すべて問題なく入ります。

 次はクラッチの確認をするべくエンジンを止めて外に出ましたが、ここで問題発生。

 再度エンジンを始動してクラッチを握り、1速に入れると車体が前に進みます。これは、半クラッチ状態でクラッチが切れていないという事なのですが、ニュートラルに戻そうにもペダルが硬くて戻りません。そのため仕方なくエンジンを止めてから、ニュートラルに戻しました。

 ワイヤーの引きを増やせば解決すると思いましたが、何度やってもクラッチが切れません。これはおかしいと思いクラッチカバーを開けて確認すると、ようやく原因が判明。

CB125用のプレッシャープレート側面にクラッチカバー内面と接触し擦れた跡
CB125用のプレッシャープレート側面にクラッチカバー内面と接触し擦れた跡

 ホンダ「CB125」のクラッチプレッシャープレートがベンリイC92に比べて6㎜ほど厚く、クラッチレバーを握ってプッシュロッドがプレートを押しても、クラッチカバーに当たってしまいクラッチが切れなかったのです。

 それならベンリイC92用の薄いプレッシャープレートに交換すればいいと思い組み直してみると、不思議なことにクラッチスプリングがプレッシャープレートを充分押し付けているのに、クラッチバスケットがフリーなまま回ってしまいます。

 再度外して2つのプレッシャープレートを見比べてみると、ベンリイC92用では裏面の掘り込みが浅く、クラッチプレートを締め付ける前にクラッチセンターに当たってしまう事が判明。

 逆にクラッチセンターはCB125用が4㎜厚くなっているので、これをベンリイC92と同じ厚みに削ってやれば問題は解決です。

同僚の阿部技師にお願いしてクラッチセンターの厚みを4㎜カット
同僚の阿部技師にお願いしてクラッチセンターの厚みを4㎜カット

 薄くなったCB125用クラッチセンターとベンリイC92用プレッシャープレートの組み合わせで組み直すと無事にクラッチが切れるようになり、敷地内で試乗確認を完了することができました。

 ほんの15mほどを走っただけですが、手応えは良好です。

 一安心しましたが、続いてジェネレーターからの電圧を確認すると、何故か回転を上げても12Vに届かず、バッテリーの電圧を消費している状況。更に圧縮を測ってみると9.2kg/cm2しか無く、再び残念な気分になりました。

 次回は、これらの対策を検討します。

【画像】不動車となったホンダ「ベンリイC92」をレストアする様子を画像で見る(10枚)

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Writer: 市川信行(井上ボーリング ヘッド技師)

川越で創業70年の老舗内燃機加工屋「(株)井上ボーリング」で多種多様な4ストロークエンジンのシリンダーヘッドに関するオーバーホール作業を担当する加工技師。プライベートでもバイクのレストアを趣味としており、趣味を仕事に生かしてるのか仕事を趣味に生かしているのかよく判らないこの状況を楽しみながら、年間700台前後のヘッド再生をこなしている。

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