ヨンヒャク4発独占中のカワサキZX-4RRは大型キラーの万能バイクだ!
ラムエア加圧時80PSというハイスペックを持ち、RRという車名から尖ったキャラクターであると思われがちですが、今回『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』を公道試乗したバイクジャーナリストの青木タカオさんは、異なる見解を示しました。400ccクラス唯一の4気筒エンジン搭載マシンですから、非常に興味深いところです。
高回転だけじゃない!
カワサキレーシングチームカラーであるライムグリーンのフルカウルを身にまとい、心臓部はラムエア加圧時80PSを発揮するヨンヒャク4気筒!
高回転までガバ開けすると、12,000rpm付近からパワーがさらに盛り上がり、レッドゾーンが始まる16,000rpmまでよどみなく回っていく!!
低中速域のトルクをしっかりと出しつつ、どの回転域でも扱いやすい。400ccって、いつからこんなにもオールマイティで死角がまったくなくなっていたのでしょうか。

アップ&ダウンに対応するクイックシフターは2500rpm以上で作動。もぉ、大型バイクに乗る必要がないのではないかと思うほどの完成度の高さを感じてしまいます。『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』です!!
街乗りも気持ちいい
初めて乗ったのは、サーキットで行われたメディア向け試乗会でのこと。当然、公道よりスピードレンジが高く、4発ならではの高回転域の伸びや安定したシャシー、軽快なハンドリングとスポーツ性能に舌を巻くばかりでしたが、こうして一般道で乗ると、常用速度域で多用する低中回転域でもトルクが太く、オールラウンドに楽しめるバイクであることがわかります。
限られたパワーバンドではなく、クラッチミートして発進するところから力強い。レーシーなスタイルにRを2つ重ねた車名、史上最強のスペックとあって、80~90年代のレーサーレプリカがそうだったように尖ったキャラクターで乗りにくく、サーキットでこそ実力をフルに発揮するのかと思ったら、それは誤解なのです。

SHOWA SFF-BP倒立フォークとZX-10R譲りのSHOWA BFRCライトショックは吸収性に優れ、街乗りでも良好な乗り心地。ストリートでも気持ちよく走れます。
日本の道にちょうどいいヨンヒャク。普通二輪免許で楽しめるマシンとなっているのです。
ニーゴーの車体にヨンヒャク!!
車体は軽量コンパクトで、サイズ感が250ccクラスであるのはベース車両を『Ninja ZX-25R』にしているからです。つまりニーハンの車体にヨンヒャクを積んで、すばしっこいままにパワフル化。RZ250とRZ350のように、昭和の名車にもよく見られた奥義ともいえるもので、卓越した運動性能にもナットクです。

高張力鋼トレリスフレームのエンジンマウント部に若干の補強を加えただけで、車体の基本設計を共通化できるのは、ZX-25Rを開発した時点から400cc化を視野に入れた車体剛性としていたためだと、筆者は開発チームから聞いています。
F3.50×17/R4.50×17のホイールをはじめ、左右非対称のスイングアームなども共通。前後タイヤはフロント110/70R17→120/70ZR17、リヤ150/60R17→160/60ZR17と、1サイズ太くしています。
DOHC4バルブ4気筒エンジンはZX-25Rではボア・ストロークが50.0mm x31.8mmで排気量を249ccとしているのに対し、ZX-4RRはボアを7mm、ストロークを7.3mm拡大して398ccの排気量を獲得。ギアレシオはZX-25Rと同じです。

ラムエア加圧時49PS/15,500rpmのZX-25Rのハイスペックぶりも目を見張りますが、ZX-4RRでは腰下をそのままに80PS/14,500rpmを発揮。かつて400ccクラスの最高出力は、自主規制値の上限が59PSでしたから、これは驚異的としか言いようがありません。それでいながら車体重量は184→189kgで、わずかに5kgしか増えていないのです。
ZX-25Rではフロントブレーキを310mmシングルディスクとしていますが、ZX-4RRでは290mmダブルディスク仕様に。ラジアルマウント式4ピストンキャリパーは変わりません。
窮屈ではない乗車姿勢
シート高は800mmで、ZX-25Rより15mm高い。写真は身長175cm/体重66kgの筆者がまたがった場合で、足つき性に不安は感じません。

今回は『Ninja ZX-6R』と同時に試乗させていただいたので、比較すると上半身の前傾がゆるやかでツーリングユースにも対応していることがわかります。セパレートハンドルはトップブリッジの下にクランプされていますが、グリップは上方へ持ち上げられています。
スマートフォン接続機能を持つ4.3インチのカラーTFTメーターでは「スポーツ」「ロード」「レイン」「ライダー」、4種のライディングモードを設定でき、さらにラップタイム計測機能を大きく表示した画面「サーキットモード」に切り替えることができます。

普段の街乗りからツーリング、そしてサーキット走行までシーンを選ばず、どんな環境でも不満を感じさせない『Ninja ZX-4RR KRT EDITION』。精密機械のごとく部品点数が多くコストのかかるマルチエンジンを積み、足回りや電子制御など充実した装備を誇りながら価格は118万8000円となっています。

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。














