バイクもコーヒーも“精製”が重要!? 精製ナシには語れない石油とコーヒー豆の世界!デイドリップ通信VOL.18
バイク乗りのコーヒー店主、黒田悟志さんによる連載コラム。今回は精製によって作られる“燃料”と“原料”についてのお話です。
そもそも「精製」とは?
こんにちは! バイクを楽しむコーヒー屋、Day Drip Coffeeのクロダです。バイクとコーヒー、どちらも奥深い世界観を持つ魅惑の存在だと思っています。このコラムでは、そんな二つの世界を行き来して気付いたトピックや出来事をお届けしています。
と言うことで、今回のテーマは「精製」について。はて、何のこと?と思われるかもしれませんが、バイクとコーヒーどちらにとっても大変重要なキーワードです。

バイクにとっての「精製」といえば、ガソリン。ガソリンの原材料は石油、もう少し正確にいえば原油から作られていますよね。この原油を「精製」することで、ガソリンになる油が分離・抽出されます。原油は国内でほぼ取れないため、大半を輸入に頼ります。輸入量の90%は中東諸国からで、中でもサウジアラビアとアラブ首長国連邦の2カ国だけで全体の70%も占めます。日本国内にも新潟や秋田、北海道などに油田があるそうですが、産出量は年間消費量のわずか約1日分だそう。
タンカーで運んできた原油は、製油所で精製されます。精製方法は案外単純で、ウイスキーの蒸留と似ています。350℃に加熱した原油を、高さ50mもある蒸留塔に吹き込むと、少しずつ温度が冷えていきます。気化したガスは成分によって沸点が異なるため、温度帯ごとに重油、軽油、灯油、ガソリン、LPガスなどと特定の成分ごとに蒸留され、石油製品が抽出されるという仕掛けです。
逆に言えば、原油を精製すると各種の石油製品がいっぺんに出来上がるという訳です。そのため例えばガソリンだけを作るというようなことは出来ず、重油だの灯油だのといった他の石油製品も、その成分比率に応じて同時に出来てしまいます。昨今は訪日観光客が増えて飛行機を増便したいのに、実は増便を断っているとか。省エネやEV化が進んだせいでガソリンなど各種燃料の消費が減り、精製も抑制気味になったこともあって、相対的にジェット燃料が供給不足になっているせいだとか。なんとまあ。
ではコーヒーの精製とは?
一方のコーヒーの「精製」について。これは収穫したコーヒーの実から豆を取り出す工程のことを指します。コーヒーの実は収穫されたあと、外側に付いている果皮や果肉を何らかの方法で取り除き、中から種子を取り出します。その果皮や果肉を除去する一連の作業を「精製」すると言います。つまりコーヒー豆というのは、マメと言うより「コーヒーたね」なんですね。コーヒーの実は“さくらんぼ”に似た感じの作りで、実際コーヒーチェリーとも呼ばれます。

コーヒーの精製方法はいろいろあるのですが、ものすごーく大まかに分けると「ナチュラル」と「ウォッシュト」の2通りがあります。
「ナチュラル」は収穫したチェリーをコンクリートの床などに広げ、天日干しまたは機械乾燥します。ある程度乾いたら脱穀し生豆を取り出します。果肉が付いた状態で乾燥させるため、その間に果肉の風味が豆に移るので、独特の風味や複雑な味わいを持つコーヒーに仕上がることが多いです。精製においてのナチュラルという言い方には、「自然派」とか「有機栽培」などの意味合いではありません。
対して「ウォッシュト」は水洗式とも呼ばれ、水をたくさん使う方法です。収穫したチェリーをパルパーと呼ばれる機械にかけ果肉を除去すると、ヌメリの付いた豆が現れます。それを水槽に入れしばらく置くと、微生物によりヌメリが分解されます。プールに移して分解されたヌメリを洗い落とし、一定の水分値になるまで乾燥させたら出来上がりです。ウォッシュトは水洗い工程のおかげで、異物や未熟豆などを取り除きやすく、またクリアな味わいに仕上がります。つまり同じチェリーでも精製方法が違うと全く別物の味になります。
「バイクとコーヒー」を概念的に捉えてみると、ハード系(車両やコーヒー器具)にソフト系(燃料や原料)を投入することで、感覚的に得られるモノ(スピードや味わい)があり、ソフト系は「精製」が必須、というところが共通していますね。でも同時に異なる点にも気付かされます。それはバイクはハード系(車両)がメインなのに対し、コーヒーはソフト系(原料)がメインなところです。
バイクは「乗り物」、コーヒーは「飲み物」という呼び方にも表れていて、乗り物はハード系、飲み物はソフト系そのものです。コーヒーは僕らが飲むのに対し、ガソリンは僕らではなくバイクが飲むものですし。そういう意味では、バイクって人や動物と同じように一つの存在として感じやすいですね。それゆえにどこか相棒のように思えてしまうのかもしれません。
Writer: 黒田悟志
世田谷の自家焙煎カフェDay Drip Coffee店主。自転車ロードバイクに20年ほど乗ってきたが、2年前オートバイに目覚めて自動二輪免許取得。両足2気筒から4スト単気筒へ。昨年はSSTRにも初参加しバイクライフを堪能中。









