「これ、いつ頃のバイク?」「え、最新なの?」 街を走れば声をかけられる寛容な一台 ロイヤルエンフィールド「クラシック350」の魅力
2024年12月に発売されたロイヤルエンフィールド「クラシック350」2025年モデルの魅力について、モーターサイクルジャーナリストの伊丹孝裕さんが検証します。
幅広いラインナップでユーザーをサポート
現在、日本で12機種をラインナップしているのがロイヤルエンフィールドです。排気量は349cc/411cc/452cc/648ccの4種類、エンジン形式は空冷単気筒/水冷単気筒/空冷2気筒の3種類を組み合わせ、オンロードからオフロード、クルーザーからカフェレーサーまで幅広くカバーしているブランドです。

そんな中、349ccの空冷単気筒をスチールパイプフレームに搭載する「クラシック350」は、「ブリット350」と並ぶ最もベーシックなモデルであり、車名が示す通り、古きよき味わいを現代に残しています。
源流となる「モデルG2」まで振り返るなら、歴史を75年以上もさかのぼることになるわけですが、クラシック350の名で登場したのは、2008年のこと。その後、幾度かの改良を受け、昨年末から発売開始となったのが、今回試乗した2025年型です。
では、従来モデルとはなにが違うのか。基本的には電装系のアップグレードが中心で、ヘッドライトやパイロットランプのLED化、ギアポジションセンサーの追加、USBコネクター(Type C)の採用がそれに当たります。また、上位グレードのダークシリーズとクロームシリーズはウインカーもLED化された他、調整機構付のブレーキ&クラッチレバー、Tripperナビゲーションシステムを標準装備。操作性や利便性の充実が図られています。
ロイヤルエンフィールドの特徴のひとつが、同じモデルの中で多数のグレードやカラーバリエーションを展開している点でしょう。クラシック350もその例に漏れず、安価な順にヘリテージ/ヘリテージプレミアム/シグナルズ/ダーク/クロームの5シリーズがあり、計7パターンのカラーを導入。その印象は色の雰囲気やメッキパーツの有無、ホイールがワイヤースポークなのか、キャストなのかによってまるで異なります。どのシリーズを選ぶかだけでも悩ましく、しかも純正アクセサリーも充実しているため、自分仕様を作り上げていく楽しみもたっぷり残されています。

手工芸品のような味わい
クラシック350にまたがり、最初に目に入るのは、ヘッドライトナセルと一体になったメーター類です。スピードメーターを中央に置き、キーボックスとロゴ(シリーズによってはTripperナビゲーションのディスプレイ)をその左右に配したシンプルなものですが、あざとく作られたレトロではなく、質感の高さとぬくもりがバランス。これはエンジンの造形にも言えることですが、多くの人がイメージするバイクらしさに忠実で、手工芸品のような味わいがあります。
車体のスリムさも手伝って街並みに馴染みやすく、狭い路地や人通りの多いところを走っていても周囲の目が寛容です。試乗中、歩道を歩く年配の男性から声をかけられ、「これ、いつ頃のバイク?」、「え、最新なの」、「以前、SRに乗っていたことがあってね」と、しばし話が弾んだのですが、攻撃性がまったくないたたずまいは、確かに声を掛けやすい存在だと思います。
その印象は、走らせても変わらず。エンジンのレスポンス、ハンドリング、サウンドのいずれもがまろやかで、かといってダルくもない、ほどよさのおかげで街中を流すような使い方にぴったりとマッチ。扱うのになんの気構えも必要としない、気軽さが魅力のモデルです。
195kgの車重に対し、エンジンの最高出力と最大トルクはそれぞれ20.2PS/6100rpm、27Nm/4000rpmを公称します。同じ排気量の「ホンダGB350C」のそれが186kg、20PS/5500rpm、29Nm/3000rpmですから、スペック的には真っ向勝負といったところ。軽さではGB350Cがやや優勢ですが、クラシック350の重さは、それが静的質感にも動的質感にもプラスに働いているため、ネガティブな要素でもありません。
クラシック350で加速する時、とりわけ気持ちいいのがシフトタッチです。これはロイヤルエンフィールドのモデル全般に共通する美点でもあるのですが、ギアが送り込まれる時の節度と滑らかさが素晴らしく、この部分だけで組付け精度の高さが感じられるはず。また、減速する時のエンジンブレーキの掛かり方と回転の落ち方も絶妙で、スロットルをオンオフするだけでも存分に楽しめるエンジンに仕上がっています。

ロイヤルエンフィールドのディーラーとサブディーラーは、併せて全国に40店舗以上あるため、一度試乗に出掛けてみてはいかがでしょうか。
クラシック350の車体価格(消費税10%込み)は、次の通りです。
ヘリテージシリーズ…69万4100円
ヘリテージプレミアムシリーズ…69万8500円
シグナルズシリーズ…70万1800円
ダークシリーズ…72万3800円
クロームシリーズ…72万8200円
Writer: 伊丹孝裕
二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。




































