見た目過激でもライダーに寄り添うスーパーネイキッド? トライアンフ新型「スピードトリプル1200RS」には驚くばかり

排気量1160ccの並列3気筒DOHC4エンジンを搭載するトライアンフ「SPEED TRIPLE 1200 RS」の2025年型がリリースされました。国内導入は2025年4月となる最新型の海外試乗会に参加し、その性能を確かめてきました。

ライダーに寄り添う、最高出力183psのスーパーネイキッド

 トライアンフ新型「SPEED TRIPLE 1200 RS(スピードトリプル1200 RS)」のグローバル・プレス・ライドでポルトガルまでやってきましたが生憎の天気……。ツーリングの日程では、晴れ間は出るものの路面は終日ウエットでした。

トライアンフ新型「SPEED TRIPLE 1200 RS」の海外試乗に参加する筆者(小川勤)。ツーリングでもサーキットでも、天気は生憎の空模様で路面状況には慎重にならざるを得なかったが、逆に最新の電子制御を体感できる貴重な機会となった
トライアンフ新型「SPEED TRIPLE 1200 RS」の海外試乗に参加する筆者(小川勤)。ツーリングでもサーキットでも、天気は生憎の空模様で路面状況には慎重にならざるを得なかったが、逆に最新の電子制御を体感できる貴重な機会となった

 ツーリング中、メーターに表示される温度計は9~13度あたりを指しており、寒さを想定していなかった僕(筆者:小川勤)の装備では極寒です……。しかし、2025年モデルの「スピードトリプル1200 RS」は、僕をどこまでも手厚くサポートしてくれたのです。

 最高出力183psを発揮する排気量1160ccの並列3気筒エンジンを搭載するネイキッドモデルで、2025年モデルと2024年モデルはカラーリング以外にほとんど見た目の違いがありません。ディメンションも変えていないそうです。しかし、走り出すと中身は別物だったのです。

 エンジンはユーロ5+規制に対応させつつ、クランクまわりを見直すことで前モデルより3ps、3Nm向上し、電子制御を一新しています。ストリートファイターのルックスゆえに過激な乗り味を想像しがちですが、その内面には優しさに溢れていました。

 ライディングポジションは再考され、ハンドルは前モデルよりも10mmワイドに、7mm手前に持ってきています。これは身長165cmと小柄な僕にはとてもありがたい進化で、バイクをコンパクトに操れることを実感。シート高は830mmありますが、走行中に足つきを不安に感じることはありませんでした。

 また、オプションのグリップヒーターは腕をリラックスさせ、寒い局面では手での操作に正確性を与えてくれます。

 ライディングモードは「レイン」「ロード」「スポーツ」「トラック」「ライダー」の5種。今回、一般道では大半を「レイン」で走行しました。「レイン」を選ぶと1160ccの3気筒エンジンは穏やかになり、電子制御サスペンションはよく動いてウエット路面を追従。ABSやトラクションコントロールは介入度が高めで、いざという時の支えとして存在をアピールしてくれます。

 奇抜なルックスながらライダーに親身に寄り添ってくれる感覚はとても心強く、悪天候にもかかわらずポジティブにツーリングを終えることができたのです。

欧州の厳しい環境で鍛えられた強靭さ

 欧州の路面は、日本よりも過酷です。市街地では石畳が頻繁に出現し、峠でもアスファルトの隙間から草が生え、終日、路面が乾いているか濡れているかの判断がとても難しいコンディションにも翻弄されました。慎重に走っていてもラウンドアバウト(環状交差点)では砂が浮いていたりして、トラクションコントロールが介入することも珍しくありません。

エンジンと電子制御を刷新した2025年モデルの「SPEED TRIPLE 1200 RS」。価格(消費税10%込み)はカラーリングによって異なり、ジェットブラックが222万5000円、グラナイト/ディアブロレッドとグラナイト/トライアンフパフォーマンスイエローが227万円
エンジンと電子制御を刷新した2025年モデルの「SPEED TRIPLE 1200 RS」。価格(消費税10%込み)はカラーリングによって異なり、ジェットブラックが222万5000円、グラナイト/ディアブロレッドとグラナイト/トライアンフパフォーマンスイエローが227万円

 試乗前に「白線は滑るし、バンプがたくさんある。とにかく滑るから安全に」と説明がありましたが、状況は想像以上に過酷でした。

 しかし、トライアンフは欧州の厳しい環境できちんとテストしていることが伝わってきます。そして日常の多岐にわたるシーンで最新の電子制御がライダーをサポートしてくれることもよくわかりました。

 日常と言っても日本のそれとは異なり、路面状況だけでなく、ドイツのアウトバーンなどの速度域もしっかり想定しています。今回のウエット路面での試乗は、そういった欧州の厳しさの中で鍛えられた一面を見ることができ、逆に貴重な機会だったのかもしれません。

 そして、クルーズコントロールやキーレスといった快適装備も充実しており、雨のツーリングではとても重宝しました。ただし、サーキット走行をしない人はタイヤを少しツーリング寄りのタイプにすると、より扱いやすさが増すでしょう。

 2025年モデルとして新しくなった「スピードトリプル1200RS」は、最新の電子制御を獲得したことで、ネイキッドとして大きく飛躍しました。電子制御、と言うと自分の走りには関係がないと思う人も多いかもしれません。

 しかしそれを「スピードトリプル1200RS」が身近な存在にしてくれます。自分の好みや走る場所によって、スイッチひとつで「スピードトリプル1200RS」を変身させてみてください。

サーキットでも違和感なく、電子制御が頻繁に介入

 じつはツーリング日程の前日にポルティマオのサーキット試乗があり、最初の1本だけドライ路面で走ることができました。標準タイヤはピレリ製の「ディアブロスーパーコルサSP V3」ですが、サーキットでは「ディアブロスーパーコルサSC1」というハイグリップタイヤを装着し、モードは「トラック」での試乗でした。

アップハンドルを振り回す感覚のビッグネイキッドでのサーキット走行は、スーパースポーツにはない面白さに溢れています。サーキットではピレリ製ディアブロスーパーコルサSC1を履いて走行しました
アップハンドルを振り回す感覚のビッグネイキッドでのサーキット走行は、スーパースポーツにはない面白さに溢れています。サーキットではピレリ製ディアブロスーパーコルサSC1を履いて走行しました

 僕がポルティマオを訪れるのは10年ぶり、3度目です。アップ&ダウンの激しいコースは相変わらず強烈。ほとんどのコーナーがブラインドという特殊なレイアウトで、3~5速で曲がるコーナーが多いハイスピードコースです。

 ここでは183psの大パワーが本領を発揮。3速でもスロットル操作だけでフロントが持ち上がり、中回転域では2気筒のようにトラクションを稼ぎ、高回転域では4気筒のように伸びるトライアンフ独自の3気筒エンジンのキャラクターを堪能します。

 旋回しながらのギアチェンジ操作も、アップ&ダウン対応のクイックシフトを活用すれば迷わずに行えます。驚いたのは、ABSやトラクションコントロールの介入にまったく違和感がないことと、前後サスペンションのバランスがとても良いことです。新しくなった制御の進化は確実に感じられ、その制御を積極的に使っている実感も味わえるのです。

 特に、アップデートされた前後サスペンションの動きは秀逸で、ハイグリップタイヤをきちんと許容します。1本目でバイクにもサーキットにも慣れていないのに最高速は275km/hを超えてきました。

「この速度域で、この直進安定性を持つネイキッドが他にあるでしょうか?」というか僕自身、ネイキッドでこんな速度を経験するのは初めてかもしれません。

 この領域でも難しさを感じさせない2025年モデルの「スピードトリプル1200RS」の感動は、帰国後に何度振り返っても、驚きとして鮮明に蘇ってくるのです。

【画像】初代登場から進化を続けるトライアンフ「スピードトリプル」シリーズ。その最新モデルを見る(20枚)

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Writer: 小川勤

1996年にエイ出版社に入社。2013年に二輪誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。現在はフリーランスとして二輪媒体を中心に執筆を行なっている。またイベントレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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