背後のクルマにドキッ!! バックミラーの死角を後方レーダーが見守る「ブラインドスポットディテクション」とは?
ウインカーを出して車線変更しようとしたら、ホーンを鳴らされてドキッ! バックミラーで確認した時にはクルマなんて見えなかったのに……。そんな危険を抑制してライダーをサポートしてくれるのが「BSD(ブラインドスポットディテクション)」です。
バイクは「死角」がいっぱい!?
車線変更する際には、バックミラーを見るだけでなく実際に振り返って後方確認するように教習所で教わりまます。これを疎かにするのは論外ですが、しっかり確認したはずなのに、車線変更しようとしたらすぐ斜め後方(というか真横近く)にクルマが接近していてドキッとした経験があるライダーは多いのではないでしょうか?

その主な原因として、バイクのバックミラーはあまり視野が広くなく、車種やバックミラーの形状にもよりますが、ライダーの腕や肩に遮られるため直近の真後ろは見えません。
また人間の視界は200°ほどの広さがありますが、ヘルメットをかぶると若干狭まるため、おおむね真横から後ろは見えません。そのため、かなり広範囲で「死角」が生じます。
そこで前述したように「振り返って目視」が重要になります。
ところが高速道路などでは、直近の真後ろを走っているクルマが、たまたま自分と同じように車線変更しようとすると、確認のタイミングによってはずっと死角に入ってしまい、視界にもミラーにも映らないことがあります。
そんな危険を検知してライダーに警告してくれるのが「BSD(ブラインドスポットディテクション)と呼ばれる機能です。
高精度なミリ波レーダーで、後方からの接近を検知
BSDは近年話題の「ミリ波レーダー」を用いたライダー支援システムのひとつです。
「ミリ波」とは30~300GHz(ギガヘルツ)の非常に高い周波数帯の電波を指し、波長も1~10mmと極めて短いため、ミリ波は電波の中では光に近い性質を持っています。
そして「レーダー」は電波を対象物に向けて発射し、反射して戻ってきた電波を測定することで距離や方向を測定する装置です。
極めて波長の短いミリ波をレーダーに使うことで、対象物の距離や動きを高い精度で検出することができます(現在のクルマやバイク用のミリ波レーダーは最小で0.1mmの動きを検出可能)。
また雨や雪などの影響を受けにくく、光と似た性質ですが実際には光線ではないため、夜間や逆光などでも対象物を検出できます。

そんなミリ波レーダーを用いた代表的な機能としては、一定速度かつ前走車との車間を保って巡行できる「ACC(アダプティブクルーズコントロール)」や、前走車との衝突の危険を警告する「FCW(フォワードコリジョンコントロール)」がメジャーですが、これはいずれもバイクの車体前方に備えたレーダーを使用しています。
そして車体の後方にもミリ波レーダーを装備することで、後方から接近してくる車両の検知が可能になります。
接近車両があるとバックミラーに装備した警告灯が点灯し、その状態でウインカー操作すると、ライダーの車線変更の意思表示と判断して、警告灯が点滅することで注意を促します。
最近はミリ波レーダーを装備する国内外の高速ツアラーやアドベンチャー系が増えており、車体の後方にもレーダーを装備するバイクは基本的にBSDを備えています。
ちなみにヤマハの「トレーサー9 GT+ ABS」の2023年モデルは前方レーダーのみでしたが、2025年モデルの「トレーサー9 GT+ Y-AMT ABS」では後方レーダーが追加されてBSD機能が加わりました。
とはいえライダー自身の安全確認が大前提
BSDはクルマ(4輪車)だと高級車に限らずかなり普及していますが、バイクではまだ一部の車種に限られます。安全性を高める上で非常に有益なライダーサポート装備と言えますが、コストが高いことと、小型車だとレーダーを装備するスペースを確保するのが難しいから、と思われます。
もちろんBSDを装備しているバイクでも、安全確認はライダー自身が行なうことが大前提なので、車線変更の際には余裕を持って目視確認(バックミラーおよび振り返り)を繰りかえしましょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。













