巡礼者も転げ落ちるって!? 四国八十八ヶ所最難関「遍路ころがし」とは 自転車で挑んだ先にはナント250円のうどん!?

「お遍路さんも転げ落ちる」と言われる、四国お遍路最大の難所「遍路ころがし」ですが、信仰と自然が交差する道を自転車で、厳しくも美しいルートに挑戦してみました。

お遍路さんも転げ落ちる……それが「遍路ころがし」

 四国お遍路最大の難所として知られる「遍路ころがし」は、2度の峠越えの先にクライマックスの激坂が待っています。山深い四国の自然の中に延びる信仰の道を、自転車で走破してみました。

白衣に身を包むお遍路さん。元々は厳しい巡礼の途中に、万が一亡くなってしまった時、白衣がそのまま死装束になるという意味があります
白衣に身を包むお遍路さん。元々は厳しい巡礼の途中に、万が一亡くなってしまった時、白衣がそのまま死装束になるという意味があります

「遍路ころがし」とは、お遍路の道中でも特に険しく、巡礼者が転がり落ちるほどの難所を指す言葉です。

 そもそも「お遍路」とは、弘法大師(空海)が開いた霊場や修行の足跡を辿って巡礼することで、四国八十八ヶ所の札所を訪ね歩き、煩悩を断ち、悟りを目指す旅路です。巡礼者のことを親しみを込めて「お遍路さん」と呼びます。

 そんなお遍路の中でも、最難関とされるのが徳島県の十一番札所「藤井寺(ふじいでら)」から十二番札所「焼山寺(しょうさんじ)」へと至る「焼山寺道」です。

 長戸庵(ながとあん)、柳水庵(りゅうすいあん)、浄蓮庵(じょうれんあん)という3つの仏堂を越え、連続するアップダウンが待ち受ける、お遍路にとって最大の難所です。

自転車で挑む!? 「遍路ころがし」

 もちろん、自転車でお遍路の登山道を進むことはできません。舗装路を迂回して進むことになります。私(筆者:才田直人)が今回選んだのは、「チェリーロードライン(県道43号)」です。

 しかし、このルートも甘くはありません。藤井寺からは2つの峠を越え、最後に焼山寺への激坂が待ち受けます。つまり、3度の本格的なヒルクライムが必要なのです。

 最初に現れるのが「堀割峠」です。距離は約5kmで平均勾配6%と大きな峠ではありませんが、中盤に急勾配区間があるのが特徴です。

堀切峠の展望台の脇には自動販売機と東屋、なんとバイクラックまで設置されています。一息つきましょう
堀切峠の展望台の脇には自動販売機と東屋、なんとバイクラックまで設置されています。一息つきましょう

 切通しの美しいこの峠には、麓の集落「川島町」にちなんだ「川島峠」、桜並木の中を走ることから「桜美峠(おうびとうげ)」という別名も持っています。

「チェリーロードライン」という名称からも、この峠を経由するルートは桜の名所であることが分かります。

 峠の直前には展望台があり、眼下に広がる吉野川と平野を一望できます。ベンチと自動販売機がある、現代の「峠の茶屋」で一息つくのもオススメです。

 堀割峠から桜並木のダウンヒルを経て、次に待ち受けるのが「焼野峠」です。今回の3つの登坂の中で最も標高差があり、7km以上の登りが続きます。平均勾配は7%以上、後半には10%超の勾配が連続する本格的な登坂です。

 この峠の魅力は、なんと言っても静けさと山深さにあります。登り切っても、峠には石碑がひとつ立つだけ。眺望もなく、控えめなピークです。

 けれども、苔むした峠道には山岳と深く結びついた四国独自の文化が色濃く息づいています。山奥に縦横無尽に道が延び、人々が暮らしている四国。まさに「これぞ四国」と言いたくなるような、味わい深い峠です。

 焼野峠を越えてダウンヒルの途中、焼山寺までのショートカットルートが出てきます。ここは敢えて通過して、鍋岩という焼山寺の麓の集落まで下ります。どうせなら、焼山寺を最大限まで自転車で楽しむためです。

 そうして最後に待ち構えるのが、4kmにわたる焼山寺への激坂です。2つの峠を越えて疲労した脚に、平均勾配10%という数字が重くのしかかります。

 息も絶え絶えになりながら、ただひたすらペダルを踏み込む。自分自身と向き合う時間です。

 大きな駐車場が見えたらフィニッシュです。もうペダルを止めても大丈夫。この瞬間、これまでの苦労が一気に報われるような、達成感に包まれます。

参拝と、ご褒美のうどん250円!

 自転車を停めて少し歩くと、雰囲気のある山門が迎えてくれます。境内では本堂と大師堂をお参りし、小さな食堂でうどんをいただきましょう。あっさりとした出汁が疲れた体に染み渡ります。自販機もあるので、補給には困りません。

※ ※ ※

 お遍路の一部を切り取って「遍路ころがし」だけを走ってみる。そんな「美味しいトコ取り」の楽しみ方も、自転車旅ならではです。

 四国の文化と山岳の魅力を凝縮したような「焼山寺道」で、お遍路の厳しさをちょっと覗いてみる。そんな徳島の自転車旅もアリではないでしょうか。

【画像】美味しいトコ取り!? 四国の魅力を感じながら挑む自転車版「お遍路ころがし」を見る(12枚)

画像ギャラリー

Writer: 才田直人

1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。

編集部からのおすすめ

2026年 バリバリ伝説に再び注目? ライダーのバイク愛を教えて! 投稿キャンペーン始動であの名シーンがよみがえる!【PR】

2026年 バリバリ伝説に再び注目? ライダーのバイク愛を教えて! 投稿キャンペーン始動であの名シーンがよみがえる!【PR】

最新記事