どうなる!? 進まないバイク駐車スペース拡大 関係省庁連絡会議で課長級のベストメンバーがそろう
国土交通省都市局が中心となり、他省庁を巻き込んだ連絡会議が発足しました。都市局は駐車場法を担当し、バイク駐車対策で地方自治体に新しい施策を要請するなど中心的な役割を果たしていましたが、バイク駐車に関係する行政は広く、4輪車のように駐車スペースを拡大する方向になかなか進みませんでした。駐車場法改正から約20年「ようやくの第一歩」という評価もあります。
縦割行政を打破する、ようやくの「第一歩」
2025年5月12日、国土交通省都市局が主催するバイク駐車場整備のための会合がひっそりと開かれました。その名称は「市街地における自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」です。開催日すら知らされず、後に国交省ウェブサイトに掲載されたことで、そのことが初めて国民に公開されました。

バイク駐車場政策の必要性を訴える関係者は、この連絡会議の開催をこう評価します。
「ある意味、画期的な会議です。これまでのバイク駐車場政策は縦割り行政で、それぞれの役所が自分の狭い担当の中で政策を考えていました。だから、土地に余裕がある地域では効果を挙げますが、特に都市部ではまったくバイク駐車場が増えなかった。その課題を共有できるようになったことは、バイク駐車場整備の歴史約20年の中で、ようやくの第一を踏み出した感があります」
会議の事務局を務める都市局街路交通施設課は、専門用語でいう「路外駐車場」、つまり道路外の民有地の地下駐車場など政策を担当しています。
そこに、警察庁交通局交通規制課、経済産業省自動車課、さらに、国土交通省道路局から道路上の駐車政策について担当する路政課と、自転車駐輪場に駐車することなどを考慮し、自転車活用を推進する道路局参事官が加わりました。課長級の連絡会議です。
バイク駐車場の整備は省庁横断的な参加がなければ実現しないと、前述の関係者はこう話します。
「ライダーはあるべき所に駐車場があればいいだけですが、行政はそうはいきません。例えば、駐車場政策全体は国交省街路交通施設課が担当しますが、歩道にバイク置き場が欲しい時は、国交省路政課が動きます。駐輪場の場合は、自転車活用参事官の力が必要です。それでもまったく施策が進まない都市部では、バイクの駐車禁止規制を外すほかないのではないか、という話になりますが、その時は警察庁交通規制課が担当です。連絡会議に経産省自動車課が入っているのは、バイク交通環境問題を整えることが内需拡大という産業振興に結び付くからです」
実は、ここで話し合っても結局、施策を進める現場担当者は地方自治体や各警察署が動かなければ、課題は解決できません。これまで施策は、街路交通施設課が孤軍奮闘して、関係者に「お願い」という形をとってきました。
駐車場は「利益を得る事業者が整備するべき」、という原則があり、従来のやり方ではこの考え方を乗り越えられませんでした。
資料は公開するが、公開日程が非公表で「実施の推進」って……
かつてバイク駐車場の不足は大きな社会問題となりました。
2006年まで国交省が担当する駐車場法の整備対象からバイクが外れていたため、バイク駐車場は全国にほとんど存在しない状態でした。多くのバイクが路上に駐車いていたのは、駐車しようにもできない状況があったからです。
しかし、歩道に展示場のようにバイクが並んだ状態が世間から許容されるはずもなく、警察庁は道路交通法の駐車監視員制度導入に踏み切りました。多くのバイクが放置駐車違反で検挙され、利用台数は激減し、官製不況の批判が飛び出したこともありました。
連絡会議の開催で、行政間の連携を取ることができれば、地方自治体がバイク駐車場の整備が不可能だと主張する地域では、道路上での駐車場整備を拡大する、警察のバイク除外規定を整えるなどの対応で、駐車場整備を進めることができるかもしれません。多くの選択肢を採用できる可能性を秘めています。
ただ、残念なことに連絡会議の存在は、対外的にほとんど知らされていません。「連絡会議は非公表とし、会議資料は原則として公開する」と定め、そもそも会議日程を非公表にしているからです。
また、その会議の進め方も異例です。国交省で開催される会議の多くは、何月までに何回ぐらい開催するというスケジュールと、その論点を明らかにします。この連絡会議では日程も論点も定められないまま第1回が開催されました。目標があいまいな会議で成果を出すことができるのでしょうか? 街路交通施設課は、こう説明します。
「(連絡会議に)決まったゴールはない。(連絡会議の下に設置される)ワーキンググループで関係団体や地方公共団体にヒアリングを実施することについて第1回会議で了承を得たので、その結果を踏まえて、具体的なゴールを探っていく」
設置要綱は、連絡会議の目的をこう規定しています。
《関係行政機関相互の連携の下、路外駐車場をはじめとした市街地における一般公共の用に供する自動二輪車及び原動機付自転車のための駐車スペースの確保に関する施策の実施の推進に資すること》
バイク駐車場政策は駐車場法が改正された2006年以降、街路交通施設課が孤軍奮闘して地方自治体に対して拡大を呼びかけてきました。
結果、20年経過しようとする今でもバイク駐車場はできやすいところにしか実現していません。利用者が必要とする場所にはできない状況が、今も続いています。
連絡会議は、施策の実施の推進に役立てる(=資する)ことを目的としていますが、その施策が推進されていれば、バイク駐車スペースの不足は議論になりません。
日程も論点も未定の開催に踏み出しているところに、バイク駐車場問題の根深さを伺うことができます。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





